ep.071 やって来たのは・・・
JJは携帯を取り出すと、1番始めの短縮番号登録されている番号を呼び出し、掛けた。
ワン・コールで相手先に繋がる。
「ハロー。ボクだよ」
『あっ、代表、もう終わられたんですか?噂してたんですよ~。きっと早く片付くよ。って』
「その声は、ユキちゃん、ダネ?」
『はい、ユキです。もう後、5分もしないうちに、“ケルベロス”到着すると思います』
実はJJは、桜子が追跡されているのを見るなり、自身が代表を務める番犬警備保障株式会社の警備本部に、最強(最狂?)部隊“ケルベロス”の派遣を指示したのである。
本来、“ケルベロス”は、要人警護しかしない警備員だ。
しかしながら、実態はJJの私設軍隊に近い働きをするのである。
「誰がこっち向かってるノ?」
『はい、カズさん、シゲさん、ヒロさん、タケさん、そして、ジョージさんです』
「ワォ、豪勢ダネ。」
『はい、代表直々の出動要請だったので、本部で待機していたほぼ全員で出向きました・・・』
「あらら、そーなんだ。今、残ってるのは?」
『隊長のジンさんだけです』
「そっかぁ・・・」
JJがロータリーに入ってくる道をチラリと見た時に、黒塗りの大型バスとベンツ・E300が入って来た。
「来たみたい。サンクス」
JJは携帯を切るとバスとベンツに向かって、親指を上げグッドジョブ・サインを出す。
ニ台の車輌が停まると、バスから三人がベンツからは二人が降りて来た。
全員、黒スーツに白シャツ、黒のネクタイに色の濃い黒のサングラスの姿である。
身長差はあるものの、全員かなり鍛えあげられた身体をしていた。
五人は横一列に並ぶと、右端の1番イケメンの男が、
「大変遅くなり、申し訳ありませんでした。代表、お待ちになられたのでは?」
JJは腕時計をチラリと見ると、ニヤリと笑う。
「駄目ダヨ、タケ。お前ラ、かなり飛ばして来たでショ?」
「いやぁ、代表。なにせコイツが飛ばせって言うもんで・・・」
タケと呼ばれた男は、右隣の顔に傷のある男を右の親指だけを使い指差した。
バスから降りて来た三人も、口を揃えて、
「俺達は、ベンツの後を着いて来ただけだもんな」
顔に傷のある男は焦って、悪態を付く。
「シゲさん、それに、タケ。何だ、俺だけが悪者かよ」
JJがニヤリと笑い、
「違うよ、ジョージ。それダケ、こいつラに愛されてるんダヨ。イジってもらえるだけネ!」
タケもニヤリと笑い、
「まぁ、そう言う事だ」




