ep.067 黒いアルファード
JJは言う。
「全部で暴走族は10人だと思っていたでショ?」
「はい。違うんですか?理事長」
桜子は不思議そうな顔をした。
JJは、軽くため息を吐くと、一台のフルスモークの車を指差し、
「もっともっと洞察力を付けないと。あそこにあるアルファード、あれも彼らの仲間だったのネ」
桜子は驚く。
確かに、桜子自身は暴走族を10人と認識していたし、得物もナイフと特殊警棒だと思っていたのだ。
もし、スタンガンを持っていると知っていたら、最初に潰すはずなのだから・・・。
そして、それを奪い闘えは、無駄な体力を使う事も無いのだ。
「でもどうやって、理事長は対応されたのですか?」
桜子は不思議がる。
JJは、しょうがないネと呟き、語って聞かせた。
「平和的に語って、お引き取り頂いたネ」
全くもって、嘘である。
実際は、JJが車中から桜子の格闘を見ていると、黒いアルファードがロータリーに入ってきた。
後ろのスライドドアが開き、手に何かを持った男が飛び出す。
JJは考えた。
《成る程、あのアルファードで拉致るつもりネ・・・。だったら・・・》
JJはオロチから出ると、アルファードに向かって歩いた。
運転席のドアのガラスを叩く。
運転席に座っている男は、厳めしい顔をして、ドアガラスを開けた。
「何の用や、オッサン?」
JJは、セルフレームのPOLICEのサングラスを外す。
ニコリと笑うなり、右の拳を運転席の男の顔に叩きつけた。
嫌な鈍い音がして、鼻が潰れる。
JJの両指にはゴテゴテとシルバーアクセサリーが付いているので、殴られると確実に裂傷も出来るのだ。
男が顔を抑えた瞬間、アルファードのドアロックを外し、開ける。
男の髪の毛を掴むなり、引っ張り出した。
そこを男の下顎を目掛け、左の跳び膝蹴りを繰り出す。
顎の骨がぐしゃぐしゃに割れ、気を失い、アスファルトに顔面から落ちた。
JJはツブした男には目もくれない。
アルファードの鍵を抜き、自身のアルマーニのジャケットのポケットに直した。
《コレで、拉致は無くなったネ・・・》




