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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
64/243

ep.064 一触即発!

桜子は、富田森市の隣の羽曳川市を目指して愛機を走らせた。

愛染病院を出発した時から、いかにも絵に描いたような暴走族が、桜子の後を追い掛けて来る。

最初は、二人乗り一台だけだった。

ライダーは無傷であったが、後ろに座っている男は、左腕を骨折している様に見える。

桜子が国道170号に出て5分も経たないうちに、おそらく連絡したのであろう、バイクが8台に増えていた。

桜子は、バックミラーをチラリと見て、

《ん?後ろの連中って、もしかして、ターゲットはアタシ?どうする?ちぎる事も出来るけど・・・。後々、他の生徒に降り懸かっても嫌だわ・・・》

桜子は、深くため息を()き、国道170号沿いのフランス風ファミリーレストラン“ル・スリィール”の二つ先の交差点を右に曲がる。

近鉄南大阪線・喜志南駅のロータリーにサクラ1300を停めた。

《しょうがない片すか・・・。でも何で?》


桜子が“ル・スリィール”の前を過ぎた時、店の駐車場からパールホワイトの ミツオカ・オロチが出ようとしていた。

《今日も昼ご飯、美味しかったサ~。人生は楽しまないとネ!》

運転席の男は、桜子とその後を追い掛ける暴走族の集団を目にし、

《あれは桜子ちゃんネ、デモ何で追われてるノ?それはダメでショ》

男は、目を細め、アクセルを踏み込む。

オロチのエンジンが咆哮し、暴走族を追跡し始めた。


桜子は愛機に跨がったまま、暴走族の集団が来るのを待つ。

直ぐに爆音をあげて暴行族はやって来ると、桜子の周りにバイクを停めた。

骨折している男が、

「昨日と違って、今日はあのデカい女は、おれへんねんなぁ!」

桜子は、ヘルメットを被ったまま無言である。

《デカい女?こころの事?》

「この折られた腕の分も含めて、お前、俺らで廻姦(まわ)したるからな。ヤクザのメンツなんてどうでもエエんや!」

骨折している男は、桜子に絶対言ってはいけない一言を発してしまった。

そして、この後、後悔する事を未だ知らない。

《このクサレが、稲美さんを・・・》

桜子のモードが、静かに、そして、確実に切り替わった。

ヘルメットを脱ぐと、刃物で切る様に暴走族を睨み据え、冷たく言い放った。

「お前ら、全員、潰す。死んで詫びろ!」

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