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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一日目
49/243

ep.049 一曲付き合ってくれる?

桜子が考えていながら食事を取っている処に、藍と皐月が談笑をしながらトレーに熱々のビーフシチューとシーザーサラダ、そしてカットされたフランスパンを持ってやって来た。

桜子の向かいに藍が、その横に皐月が座る。

藍が天使の笑顔で尋ねた。

「桜子ちゃん、浮かない顔して、どーしたんどすか?」

「あっ、藍に、皐月」

「心配事でも?」

「うん。ちょっとね・・・」

と桜子が言いかけた時、エリザベスとローズもトレーに晩御飯を乗せてやって来た。

「ハ~イ、桜子~。ホワッツ・ハプン?」

「どうしたの~、桜子」

桜子の左にローズが、その向かいにエリザベスが座った。

《かなわないわね・・・》

藍がすっと目を細め、

「ややこしい事でも、ウチらは気にしまへんえ。こころちゃんも、そう言うと思いますぅ」

了解(わか)った。ありがとう、みんな。22時にアタシの部屋に来てくれる?全て話すわ」

桜子以外の全員が、顔を見合わせ頷く。

桜子が切り出した。

「藍、食べ終わったら、一曲付き合ってくれる?」

「よろしおすえ」

桜子が決まってこう言う言い方をする時は、何か考え事をする時なのだ。


桜子は食べ終えると自分の器を洗い、バイオリンを取りに部屋に戻っていった。

残りの“はねくみ”の4人は、器を片すとリビングに移動する。

既にリビングには20名程の寮生が、お喋りをしたり本を読んだりして、寛いでいた。

皐月、ローズ、ベスは、各々ソファに座る。

藍が、グランドピアノの前に座り、目を閉じると静かに旋律を奏で始めた。

藍の白く細長い芸術品の様な指が、鍵盤の上を滑る。

ドビュッシー作、《月の光》。

美しく、そして、少し淋しげなメロディが、聴いている寮生の心を揺さぶった。

リビングの全員が藍のピアノにくぎづけになり、そして、《月の光》を奏で終わると誰もが立ち上がり拍手する。

藍は立ち上がると、ペコリを下げた。

静かに桜子が藍の傍に近付き、バイオリンを構え奏で始める。

ショパンの《夜想曲第2番、変ホ長調》。

桜子の大好きな曲の一つである。

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