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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一日目
29/243

ep.029 “美女と野獣”という名のロールケーキ

残された四人が何気ない会話をして待っていると、真弓が何かが入った袋を二つ持って来る。

「こころちゃん、これ食べて」

直子が照れ、

「ちょっと~、ママ、こころ先輩、迷惑がってるじゃない」

「そんな事ないわよねー、こころちゃん?」

匂いから一つがカレーだと判断したこころは、素直に感謝し、

「せっかくの、直子ちゃんのママの気持ちに悪かばってん、遠慮なく頂きます」

深々と頭を下げた。

もう一つの袋を見るなり、コレは?と真弓に尋ねた。

「ミナミの“カフェ・ド・ヲタロウテ”の一日50本限定の特製ロールケーキ“ビューティ”よ。持って行って。ほんとはビターチョコの“ビースト”も買いたかったんだけど、売切れだったの・・・」

翔が、思わず漏らす。

「いいなぁ、ロールケーキ」

真弓が翔に諭す。

「明日、ケーキは買ってあげるから」

それを見ていたこころは、

「直子ちゃんのママ、このロールケーキは、翔くんに食べさしてあげて欲しかとです」

と言って、屈むとロールケーキを翔に差し出した。

「いいの?」

「うん、翔くんがお食べ。その方が、姉ーちゃんは嬉しかよ。食べて、ウチみたいに大きくならんと」

こころは、満面の微笑みで答える。

「うん」

それを見ていた主人の正が、子供たちに優しくしてくれるこころに感銘したのか、

「こころさん、月曜日の夜、ウチのご飯にご招待させて下さい。真弓、直子、翔、問題ないよな?」

家族全員が頷いた。

《よか家族やね。直子は幸せばい》

「こころ先輩、ぜひ!」

今回は直子も促した。

こころは、少し考え、

「じゃあ、月曜日の夜、伺います。先に言っておきますが、ウチ、ハンパ無く食べるとです。それでも良かですか?」

真弓は、任せなさいと胸を叩いた。

こころは頭を下げ、直子を引き連れバイクに戻る。

翔が見送りにやって来て、

「バイバイ、こころちゃん、月曜日に待ってるね!」

「うん、バイバイ、いい子にして待ってるとよ」

そういい残し、直子と走り出す。


こころはバックミラーに写る翔を見て、思わず言葉が口から漏れる。

「直子、いいご両親と弟さんばい、あの笑顔曇らせる訳にはいかんと・・・」

直子のこころの腰に回す腕が、一瞬強くなった。

V-maxは、一路、雪江の家を目指す。

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