それぞれの視点 それぞれの未来
「一日ちゃんの国の方式でやるのがフリーチェ様も最も安心して眠れると思う。僕達は満場一致でそう考えたんだ。一日ちゃんと出会わなければこんな事を考える事も無かったんだろうけど・・・」
「そうだな・・・あの時の俺達ははっきり言って今が良ければ、否、それですらなかったのかもしれない。ただ自分の中の思念に振り回されていたのかもしれない」
「でも今はそれぞれの世界の発展の為に動いている。だからもうこの足は止まらない」
ヒリズ、回帰、神消はそれぞれ顔を合わせ、一日と向き合う。その顔に最早暗さは無い。
「それは私も、いえ私達も同じですよ。次の世界へと進む為に!!それじゃ、今日はこの辺りで。まだまだやらなくちゃいけない事もありますから」
一日はそう言うと駆け出し、一足先に自分の世界へと戻っていく。それを見届けたヒリズ達も
「じゃ、僕達も戻ろうか」
と言った後自分達の世界へと戻っていく。
元の世界へと帰還した一日達は先に戻っていた命達と合流し会話しようとするがその直前、付いていたTVで流れていたニュースの音声が入って来る。
「昨夜午後八時頃、沖縄県那覇市にある住宅地で近隣の住民に対し脅迫状を無差別に送ったとして住所不定、無職の女が逮捕されました。女は今の世の中は~等意味不明な発言を繰り返しているという事で~」
それを見た言葉は
「最近は聞かないと思っていたのに、やっぱりこういう人達はまだまだ居るんですね」
と呟き、それを聞いた木の葉は
「仕方無いよ、まだ二年だから。でもこうした事件も報道されるようになってより世の中の動きが掴み易くなりましたね」
と続ける。
「報道される様になったというより、せざるを得なくなった・・・かな?戦争の終結以降、そっち方面の関心も日に日に高まってる。世界規模でね」
そう発言するシオンも又、何処か冷静な目でニュースを見て居た。
「シオンは母国にも関わってるんだよね、だからそう思うの?」
「ああ、世界規模で自己防衛や国際情勢の関心は年々高まってる。特に今まで腰を入れてこなかった所程急激にね」
様々な国を見て居るシオンならではの発言だった。
「そういえば、奴等の足取りはまだ掴めないの?こうした事件の報道もされているのに」
不意に言葉が口にした発言に一日は
「ええ、秋月家やあの生花って女と協力者はあの戦いの後、直ぐに転居して現在も行方知れずよ。民間情報も含めチェックはしているけど犯罪者って訳じゃないから余り大事には出来ないのよね。下手をすると逆にこちらが不利になりかねないし」
と返答する。
「今は息をひそめていますが将来的には・・・と言う事が無い様にはしたいですね」
「ええ、現状では反体制組織の悪戯が表に出た段階で調査し、そこから糸口を掴めればベストなのだけれど、そんな組織にそう簡単に繋がるとも思えないし・・・とにかく、今はこの沖縄の事件の様な政府に不満を持つ人達のニュースをしっかりチェックしていく事が大事ね」
会話の最中の一日の顔には笑顔の中にも僅か乍ら警戒心が感じられる。
「最近は復興とか再建とか、後新発見や発明と言った明るい話題も増えていますし、以前に比べてニュースが楽しくなったよ、学校の皆もそう言ってる」
「そうね、ならそれを続ける為にも私達は歩みを止める訳には行かない。でもまずはその前に・・・」
「おやつの時間?」
警戒心を察したのか、命は話題を切り替える、それを察したのか、一日もそれに乗っかって会話する。そして一日が能力で様々なお菓子を作り出すとその場にいた子供兵士達はテレビを見ながらお菓子を頬張る。
「つくづく創造の能力は便利だと思うわ。イメージを正確に出来ればこうした使い方も出来るんだもの」
お菓子を頬張る子供兵士を見て感心する一日。
「さて、私は次は・・・」
「考える時間?」
「ええ、これから先を見据えてね。今のニュースみたいな事件を起こさせない為に長い年月をかけて浸透させていかないと」
一日はそう言うとその場から離れ、自分の部屋へと戻っていく。
その日の夜、命は
「今日はフリーチェさんの三回忌、一日ちゃんも神妙な顔をしていた。勿論僕達も・・・そして沖縄のニュース、これは奴等とは関係無さそうだけど、その足取りは追い続けないと。僕達は学校の児童として学校に干渉していく。一方外では外からの干渉を受けて社会を変えていこうとする。
これが終わる頃にはこの日記を見返して落ち着いた時間を過ごしているのかな?」
と日記に記す。
翌日、一日達は全員揃って玄関から出、今日も学校に向かって出発し登校、授業、交流を終えて下校し帰宅する。
「今日も一日、色々学んだね」
「うん、社会が変わっているのを日に日に実感する様になってきたよ。まさか学校であんな事があるなんて。さ、早速情報を整理しよう、つっ・・・一日ちゃん!!」
そういうと二人は一日の部屋に入っていき、本日あった事を整理する。
命が語る落ち付いた時間、それが実現するのはこの日より70年後の事である。
今回で完結します。完全に勢いだけで只書きたいという欲求に押されて書いた作品ですが、無事に終える事が出来ました。
又別の作品も投稿したいと思っています。
貴重なご意見をくれた方、ありがとうございました。




