第二十二話
授業が終われば、教室に戻れるだろうし。ここは眠っておこうと、俺は決めた。
そう決めて、すぐに何処でも眠れるのが俺の特技の一つ。
しかしだ。
目が覚めた時、すでにお昼だったのには、驚いた。
三年生の今日の日程はすでに終わっていた。都雅と勇気が迎えに来てくれて、ようやく目を覚ましたのだった。
「御世話になりました」
制服を着なおしながら、カーテンを開けて朝来先生の前に出た。
「あら、顔色も良くなったわね。帰りは気をつけてね」
「はい」
勇気から鞄を受け取って、保健室を出る。
「大丈夫?」
勇気が心配そうに、俺の顔を覗き込んだ。
「こんだけ寝れば大丈夫だよ。自分でもびっくりするくらい、寝ちまった…」
「それじゃ、学食寄れるかな?」
「ああ、大丈夫だけど、ちょっとその前に用事があるから、先に行っててくれよ」
「えっ、あっ。僕も用事あるんだけど」
「そう? 偶然だね。オレもなんだ。それじゃ、学食で待ち合わせようか」
俺が頷くと、勇気はぎこちなく笑って先に走って行ってしまう。
「何だろう…さっきから勇気の態度、変じゃなかったか?」
「んー……ところで、学食の場所分かる?」
「ああっと、そうだっけ」
都雅から詳しく聞いた後、短くお礼を行って急いで階段を上る。
駆け上りたかったが、さっきのこともあるから急ぎ足。
箱柳が残っていると厄介なので、辺りに気を配りながら三年のフロアを通り過ぎ、屋上へと階段を上った。