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repeat(リピート) ~運命の指輪に願うこと~  作者: しんいち
repeat0 プロローグ

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プロローグ

読者皆様へ


新作の小説になります。

平日の投稿を開始します。

全52 話?18万文字の超長編、タイムリープものの作品になります。

完結まで走り抜ける予定ですので、お付き合いいただければ幸いです。

更新時間に通知が届くよう、ぜひブックマークをお願いします!


  「明穂、ねぇ……明穂! 大丈夫? しっかりして!死んじゃダメ。」

 

 遠くから呼ばれている声がする。

 深い水の底から引き上げられるように、意識がゆっくり浮かび上がってきた。

 

「……う、ん……」

 

 まぶたを開いた瞬間、頭に鈍い痛みが走る。

 

「っ……痛っ」

 

 思わず頭を押さえると、体がぐらりと傾いた。

 すぐ横で支えてくれていた結衣が、慌てたように肩を抱き寄せる。

 

「大丈夫? どこか痛いところない?」

 

 心配そうにのぞき込む顔を見て、わたしはゆっくり首を振った。

 

「だ、大丈夫……。でも……あれ?」

 

 痛む頭を押さえながら周囲を見回して、思わず言葉が漏れる。

 

「ここ……どこ?」

 

「はぁ? ちょっと明穂、本当にヤバいんじゃないの? 保健室行こ。」

 

「……保健室?」

 

 わたしはぼんやりした頭のまま、周囲を見渡した。

 見慣れた階段の踊り場。

 遠巻きにこちらを見ている制服姿の生徒たち。

 窓から差し込む春の光。

 

「学校……? なんで私、学校にいるの? 今って夏休みじゃなかったっけ……」

 

「はぁ?」

 

 結衣が間の抜けた声を上げる。

 

「夏休み? 何言ってるのよ。この前春休み終わったばっかりでしょ。もうしっかりしてよ、明穂。ほら、立てる? 肩貸すから。」

 

「……うん。あっ、痛ッ。」


 左の指に痛みを感じ、思わず右手で押さえる。


「痛いの、大丈夫?」


「う、うん、突き指かな……、でも大丈夫。」 

 

 わたしは結衣に体を預けながら立ち上がり、ゆっくりと階段を降り始めた。

 

 頭が痛い。

 けれど、それ以上におかしいのは――記憶だった。

 

 頭の中で、断片的な映像が次々と現れては消えていく。


 知らないはずの景色。

 覚えのないはずなのに懐かしい感情。


 そして――意識が途切れる直前に聞こえた、 「すくって」という聞き覚えのある謎の声。

 

 どうしてそんなことを知っているのか、自分でも説明できない記憶。

 

 胸の奥が、落ち着かない。

 

「ねぇ……わたし、なんであんなところで倒れてたの?」

 

 隣を歩く結衣に問いかける。

 

「階段踏み外したのよ。いきなり崩れるみたいに倒れたの。そしたら、そのまま転がり落ちて……本当にびっくりしたんだから。呼んでも全然起きないし。」

 

 少し怒ったような声だった。

 でも、その言葉はわたしの中にうまく収まらない。

 

 そんなはずない。

 わたしは――確か外にいた。

 誰かと会っていた気がする。

 でも、そこから先がどうしても思い出せない。

 

「ねぇ、結衣……」

 

「なに?」

 

「今日って……何日?」

 

 結衣は一瞬だけわたしの顔を見つめ、ため息をついた。

 

「四月三日。今日から新学期。二年生になったばっかりでしょ、私たち。」

 

「……二年生。」

 

 その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に妙な感覚が広がった。

 

 知っているはずなのに、どこか遠い。

 初めてじゃない気がするのに、理由が分からない。

 

「もう明穂、新学期早々ホントついてないわねぇ。保健室着いたら、私、教室から荷物取ってくるから。一緒に帰ろ。」

 

「……うん。ありがとう。」

 

 わたしは小さくうなずきながら、階段を降り続けた。

 

 窓の外では、春の風が校庭を揺らしている。

 

 ――どうしてだろう。

 

 見慣れているはずの景色が、何故か二つに重なって見えた。

 

 まるで、既視感のように。

 

 その時のわたしは、まだ知らなかった。

 この既視感の正体も、これから起こる出来事も。

 

 ただ――

 

 少しだけ胸が騒いでいた。

 理由も分からないままに。

 



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