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もう令和時代なのに、まだ明治時代?

 奥村真子と入籍した2日後の2月10日、時刻は20時過ぎ。

 〈レッドマウンテン〉の休憩エリアのテレビで、完パケ(完成パッケージ。編集が完了したVTR)をチェックし終え一服しようと屋外の喫煙エリアに出た。

 タバコに火を点けて紫煙を一息吐き、ビルや街灯で仄暗い正面を向いた刹那、空から何やらヒラヒラと落ちて来る大量の物が目に入る。

 

 何? 今のは……。雪の結晶にしては大き過ぎるし一極集中に降る訳がない。「大きな雪」の一つが足元に落ちた。

「名刺? ……」

 拾って見てみると、「外務大臣 小村寿太郎 私設秘書 城咲慎之介」……何じゃいこりゃ!?

 

 出鱈目な名刺を持って火を消して中に入ると、陣内美貴社長はノートパソコンに向かい合って仕事中だったが、 

「社長、こんなもんが空から落ちて来ました。犯人は、うちのスタッフじゃないでしょうか?」

 社長の席に近寄って名刺を差出し、社長は一目見ると、

「何これ!? 令和の時代にありえないじゃない!? こんな名刺持ってるのは……」

 オレと目が合う。


「あいつしかいない……」

 陣内社長とのユニゾンが決まった。もう目星は付いている。 


 陣内美貴社長と共に、階段の方が早いと急いで屋上に上り、「犯人」を取押さえに向かう。屋上へ出る扉を開けると、やはりいた。「犯人」は、重留一実……で間違いなかった。

「ちょっと一実ちゃん、何やってるの!?」

「この前の合コンで、超イケメンだと思ってた男に嘘つかれたんです。他の男達も嘘なんじゃないかって。頭にきたから、貰った名刺を全部禊のつもりで! 今後は騙されないぞってね!」


 確かに、小村寿太郎という外務大臣を務めた政治家のセンセイはいた。宮崎県出身で、アメリカのハーバード大学に留学経験があるそうだが……、但し「明治時代の」、外務大臣。と付加えなければならない。 

 大正、昭和、平成、三つの時代をすっ飛ばした……。


 重留は苛立ち声高に言うが、もうちょっと歴史を勉強しなさい、としか言葉は思いつかない。

 

 だって、そんな大昔日の大臣が存命していて未だに続投し続けていれば、疾うにギネスブックに記載されているだろうし、ノーベル平和賞か何かを受賞していると……確言出来てしまうではないか、あり得ないし。                  

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