98.【雨に濡れた下り坂・大きな勝負】
アッチノ世界はアタシとゲームをしているのかもしれない……
前回の97.【単純で簡単なゲーム】の夢の中で、そんなことを考えたから、こんな夢を見たのかもしれないけど。
ある日の夢は……
芝生と木がいっぱいある大きな公園のような場所にいた。
そこは前に夢で見たことがあると思った。
赤い道路のどこかにある横道を入ると、いつも雨で濡れたような下りの坂道があって、その坂道を下りた先に似ている場所がある。
似ているというか、たぶん同じ場所な気がする。
前は誰もいなかったと思うけど、今回は色んな人と謎の生物達が集まっていた。
間を縫うようにウロウロしていたら、色んな人が行き交う中で、立ち止まってアタシをジーッと見ている人が一人いた。
いつも使ってしまう表現だけど……
まるで映画のワンシーンみたいだった。
先の丸っこい大きな編み上げブーツ、足元までありそうな長めの黒いモッズコート、坊主に前髪を貼り付けたような髪型、黒縁メガネ。
そんな姿をしている男の人だった。
アッチノ世界に出てくる人は黒縁メガネ率が高い。
でも、黒縁メガネより髪型にインパクトがあり過ぎて、つい見ちゃう。
その男の人の腕には腕章みたいな白い布が縫いつけてあって、何か書いてあったけど見えなかった。
アタシが目の前まで近づくと、男の人は両手をポケットに突っ込んだまま一礼した。
小さくため息をつきながらアタシの目を見ると、ニヤニヤしながら
「今ここにいるのは多種の世界の代表者だ」と言った。
多種の世界の代表者?
じゃあ、みんなターミナルから来たのかなぁ……。
夢で見た人がいないか周りを見渡してみたけれど、よくわからなかった。
「もうすぐ大きな勝負が始まる」
男の人は話を続けた。
大きな勝負って何だろうか。
そう思いながら何も言わずにいると、男の人は少し下を向いて言った。
「私はアナタに賭けたい。取り引きしないか?」
そう言うとアタシの顔を見た。
これは負ける気がしない。
でも、何を取り引きするんだろ。
またまた厨二病全開で鼻息を荒くしながら、そんなことを考えていたら目が覚めてしまった。
知っているような、知らないような。
スローのような、スローじゃないような。
矛盾しているような。
アッチノ世界で感じる独特な雰囲気が凄く好き。
たぶん、アッチノ世界のアタシと現実の世界のアタシが交差しながら夢の中に存在しているからかもしれないけど。
アッチノ世界で夢だと気がついた瞬間、
武器とか特殊能力とか全然ないのに無駄に強気になれたり、
「夢だからどうにかなる。なんでもやっていい」って感覚が楽しくて仕方がない時がある。
それにしても大きな勝負は一体どうなったのだろうか。
気になる夢でした。