第24章(後日談)「風の先にある日々」
ブラックタイガーとの最終決戦から数日。
激しい戦いの痕跡が残る硫黄島の海には、静かな波が戻っていた。
ホワイトホース本部では、戦いを生き延びた隊員たちがそれぞれの持ち場へ戻り始めていた。
世界を脅かした戦いは終わり、長い緊張がようやく解けようとしていた。
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■ 本部の屋上
夕方、本部の屋上。
神崎レイは柵にもたれ、風を感じながら遠くの空を見つめていた。
「……終わったんだな。」
小さく呟くと、後ろから足音が聞こえる。
「なに一人で浸ってるの?」
ナツキだった。
手には紙コップの飲み物を二つ持っている。
「ほら。」
レイは受け取りながら少し笑った。
「ありがと。」
ナツキは隣に並び、同じように空を見る。
「でもさ、レイ。終わったっていうより…
やっと“始まる”んじゃない?」
レイは少し考え、頷いた。
「……そうかもな。」
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■ 訓練室
一方、訓練室ではシュンが新型装備のテストをしていた。
「おい!そこ危ないぞ!」
技術班員の声と同時に、小型ドローンが壁に激突する。
「うわっ!」
煙が上がる中、シュンは頭を掻いた。
「……まだ改良が必要だな。」
そこへレイとナツキが入ってくる。
「また爆発させたの?」
ナツキが呆れた顔をする。
「爆発じゃない。実験だ。」
シュンは胸を張った。
「どっちも同じでしょ…」
3人は顔を見合わせて笑った。
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■ 医療棟
医療棟では、レイの母ユキとナツキの母ミズハが話していた。
「子供たち、本当に強くなったね。」
ユキが窓の外を見る。
ミズハも優しく微笑んだ。
「ええ。でもまだ子供。
これからは…あの子たちの“普通の時間”も守ってあげたい。」
外では、夕焼けが広がっていた。
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■ 夜
夜、本部の敷地。
レイ、ナツキ、シュンの3人は芝生に座っていた。
戦いの話はもうしなかった。
ただ、静かな時間を過ごしていた。
シュンがぽつりと言う。
「なあ、俺たちさ…これからどうなるんだろうな。」
レイは夜空を見上げる。
「わからない。」
ナツキも笑う。
「でもさ、また何か起きたら――」
シュン
「俺たちが行くんだろ?」
レイは小さく頷いた。
「そうだな。」
風が静かに吹いた。
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■ ラスト
レイは空を見上げる。
戦いの傷はまだ残っている。
けれど、その先には確かに未来があった。
「……行こう。」
ナツキ
「どこへ?」
レイは笑った。
「さあな。でもきっと――
まだ俺たちの物語は終わってない。」
風が三人の間を通り抜ける。
その風は、
新しい物語の始まりを告げているようだった。
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『鬼ノ境界 シーズン1 完』




