第八章:第二次人森戦争・前編-55
活動報告にも載せた通り、二日連続更新の一日目です。
久々の感じなので人によっては物足りないかもしれませんが、前編の総決算という事で目を通して頂ければ幸いです!!
「『ガフッ、ゴフッ……』」
独居房の壁を背に凭れ掛かり、吐血しながらノルドールがその場に座り込む。
恐らく折れた肋骨の何本かが肺へと刺さり、呼吸もままならないのだろう。まるで隙間風のようにか細い息遣いが聞こえる。
「『ああ、クソ……。痛ってぇ、なぁ……』」
声は弱々しく、目が霞んでいるのか視線は定まらず瞳孔は細り、砕けた装具に埋もれる潰れた両手は痙攣して動く気配はない。
「『アイゼン、ガルドさえありゃ……。もうちっと、マシだったかな……』」
「『私は、そこまで優しくはないぞ』」
ノルドールを侵していたグラッド手製の毒は、戦闘開始から数分して完全に解毒に至っていた。
最初の攻防で鈍かった身体の動きは時間が経つにつれ鋭さを取り戻していき、最終的には万全とまではいかぬものの何のストレスも無く身体を動かす事が出来るまでに回復したのだ。
これがエルフ族持ち前の性質から来るものなのか、はたまたノルドール自身身体能力と回復能力なのかは解らないが……。まあ、そこはスキルを得た際に何らかのきっかけが見えるだろう。
「『それに例えアイゼンガルドがお前の手にあったとて、お前では私には勝てんよ』」
「『はんっ……。やってみ、なきゃ、んなの、わかんねぇ、だろ……』」
まったく。身体に最早傷の無い場所など無い程に道極を打ち込んだというのに良く喋る。
「『分かったからもう黙りなさい。無駄に体力を使って早死にされては困る』」
「『あ゛ぁ?』」
私は道極を《蒐集家の万物博物館》に仕舞い、代わりに燈狼を取り出してからノルドールの側まで歩み寄り、しゃがんで彼の手を取った。
「『んだ、気持ち、悪ぃな……』」
「『お前にはまずスキルと経験と記憶を渡して貰う。死ぬ前にな』」
念の為に《救わざる御手》を発動しノルドールが死なぬようにしながら《完全継承》を発動させる。
「『記憶って、お前……』」
「『安心しろ。記憶が私に渡ってもお前から記憶が消えるわけではない。あくまで受け継ぐだけだからな』」
「『そう、か……』」
「『お前にはただ、それについて心の中で同意して貰う。その後にキッチリ、命を頂こう』」
「『お、おう……』」
そうして始まる、スキルの継承。
ノルドールと魔力が繋がり、彼が同意したのを皮切りに力の奔流が私の魂へと注がれ、定着し、《天声の導き》が私にアナウンスを始める。
『確認しました。技術系スキル《装具術・初》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《装具術・熟》を獲得しました』
『確認しました。技術系エクストラスキル《装具術・極》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《近接格闘術・初》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《近接格闘術・熟》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《武闘術・初》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《武闘術・熟》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《拳闘術・初》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《拳闘術・熟》を獲得しました』
『確認しました。技術系エクストラスキル《拳闘術・極》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《跆拳術・初》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《跆拳術・熟》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《護身術・初》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《護身術・熟》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《逮捕術・初》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《躍墜脚》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《飛練脚》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《転昇墜脚》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《爆転拳》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《昇爆拳》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《追昇爆脚》を獲得しました』
『確認しました。技術系エクストラスキル《山牙の拳》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《護身理解》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《護身心得》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《逮捕理解》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《息吹法》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《骨密度強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《骨代謝強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《中指骨強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《靱帯強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《拳強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《表層筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《深層筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《胸筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《大胸筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《背筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《広背筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《三角筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《上腕三頭筋強化》を獲得しました
『確認しました。補助系スキル《前腕筋群強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《大腿筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《大腿四頭筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《ハムストリング強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《回旋筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《下腿三頭筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《腹筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《腹斜筋強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《腸腰筋群強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《判定半減》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《被撃半減》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《衝撃半減》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《殺気感知》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《敵意感知》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《悪意感知》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《爆炎》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《爆裂》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《苦痛耐性・小》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《衝撃耐性・中》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《衝撃耐性・大》を獲得しました』
『重複したスキルを熟練度に加算しました』
ふむ。基本的な戦闘スタイルの基礎部分がアヴァリと似ていたせいか、強化系のスキルは殆ど彼女と被ってしまったな。
しかし彼なりの素晴らしいスキル群だ……。
……ああぁ。何度やっても飽きはしないな……。
この高揚感、充実感……。何と素晴らしく、他では得難い快楽だろうか……。ふふふ、ふふふふふふ……。
「『何、笑って……』」
「『ああ、いや気にするな……。さて──』」
私は改めて立ち上がり、項垂れるノルドールの首へ燈狼を当てがう。
「『その身体とのお別れだ。何か言い残したい事はあるか?』」
「『あ? ……約束、守ってくれよ。破りやがっ──ガフッ……たら許さねぇから、な?』」
吐血しながらノルドールは私を最後の力を振り絞って見据える。
そう仕向けたのは私だが、他に選択肢が無い中で愚直に私の言葉を受け止め、信じようとするその姿勢に、私は報いなければならないだろう。
それが、私がノルドールを殺し、利用するにあたっての彼に対するせめてもの誠意と責任だ。
「『ふふ。肝に銘じよう。それと、だ』」
「『あ゛ぁ?』」
「『お前の望みの一つ……貴族への復讐は、案外早く叶いそうだぞ?』」
「『なん、だって?』」
「『ふふ。楽しみに待ちなさい。私の中で、な……』」
それを最後に私は燈狼を振り被り、横薙ぐ。
殆ど抵抗無くノルドールの首を刃が通り抜けると、一拍遅れて重力に従い彼の首は重々しい音を鳴らして床に転がり、断面から血が盛大に吹き出した。
ノルドールの魂は燈狼の《脱魂》により問題無く回収し、彼の死体に対し次に《収縮結晶化》を発動。
努力の結晶とも言うべき彼の身体をスキルへと還元していった。
『確認しました。補助系スキル《拳闘士の矜持》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《肉体的才覚》を獲得しました』
ほう。これは素晴らしいっ!! 正にノルドールはような肉体だったからこそ得られる死体のスキルだな。やはり盗賊などとは比ぶべくもない。
「……ふぅ。後一人、頂くとしようか」
燈狼を仕舞い、ノルドールとの一戦で良い具合に荒れた独居房を後にする。
さてもう少し、ここを血で汚そうか。
懐中時計を確認すると五十分程が経過していた。
思いの外時間が掛かってしまったな、と少し反省しながら私は一人独居房から捕虜となっている軍団長達とヘリアーテ達が待つ監房室へと戻る。
皆が私に付いた血の跡と一人で戻って来た事を見て察し、直前まで聞こえていた雑談の声を鎮める。
「……一応聞くけどボス。ノルドールは?」
しっかりした状況把握をしようとヘリアーテが率先して私に結果を訊いた。
纏め役としてちゃんとした役割を果たそうとする彼女に僅かながらの感動を覚えながら、私はその答えを口にする。
「『見ての通り、処分した。私の望む形でな』」
敢えてエルフ語で返答し、軍団長達にも聞き取らせた。
すると軍団長達は一斉に狼狽え、テレリに至っては「『はぁぁッ!?』」と驚愕の声を上げる。
「『あ、アンタ……。本当にノルドールを殺したのッ!? 本当にッ!?』」
「『ああ、間違いなくな。何なら死体を見るか? それなら信じられるだろう?』」
まあ死体は既にスキルに還元してしまったから本当はもう無いんだがな。
「『ぐ……、この、外道野郎が……っ!! 本気で……ワタクシ達捕虜を、私欲で……』」
「『好きに言え。次はお前だ』」
「『──っ!?』」
私がテレリの独房へと近寄ると、彼女は怒りを滲ませた表情を露骨に一転させ、恐怖に慄いたように青褪めさせながら房の奥に身を寄せる。
「『こ、来ないでよっ!!』」
「『なんだ? ただ面接をしようというだけだ。まあ尤も、お前の私への印象は今の所ドン底ではあるから希望は限り無く薄いが、な』」
「『や、め……』」
「『足掻きたければ足掻け。だが私は、お前が女だからと手を抜くような軟弱者ではないぞ? 存分に試してみると良い……』」
「『いや……イヤァァァァッッ!!』」
テレリの髪を掴み上げながら独居房へと無理矢理引っ張り、泣きそうな彼女を新たに取り出した椅子へと強引に座らせ面接を開始する。
と、言ってもノルドールの時のように懇切丁寧に私を信用するよう誘導するつもりは無い。
彼女の過去、背景、来歴を色々と探ったが、ノルドールのように興味を惹かれる事柄は一切無く。
強いて言うなら霊樹トールキン内に建設されている貴族向けのオペラ等の舞台をやるような劇場で、時折楽器の演奏や自慢の歌唱力を披露していた事くらい。
軍団長になったのも、ユーリに資質を見込まれたのとボーンビシッド家という古から続く家名に更なる箔を付けるのが目的であり、強い信念や執念は何一つ存在しない。
なので私にとってのテレリの価値は三つ。
一つは当然彼女の保有するスキルであり、二つ目は専用武器である籠手と一体型になっている聖糸リンダール、その専用武器の解除をこの場で強要する事。
そして三つ目は、情報管理局局長として有している未知の情報。
現在トールキンにはムスカの眷属が潜入中であるが、ユーリの警戒心が強く蝿一匹でさえ通さないような場所が幾つか存在し、セキュリティ面でも侵入は不可能に近いものが敷かれていた。
流石にテレリにその中身までは期待してはいないが、最低限そこへの侵入方法くらいは知っているだろう。
特に必須なのが〝宝物庫〟の場所と侵入方法だ。
何故こんな戦時中にそんな場所の情報が必要なのかといわれれば、その宝物庫の中にあるという〝遺物〟を手中に収める必要があるからだ。
その〝遺物〟は明日の……エルダールを打倒するのに欠かせない要素の一つとなっている。
正直な話その他の情報はオマケに等しい。最早今後、如何なる作戦の変更が起ころうと覆りはしない。それだけの準備は、既に済んでいるのだからな。
何か見落としや予想だにしない新事実、大臣達すら知らないテレリ等の極小数人数のみ既知の情報がついでに手に入れば御の字と言えるが……期待し過ぎは宜しくないだろう。
と、言う事で今からテレリを使い倒すわけだが……。最期の情けを一度だけ、くれてやろうか。
「『さあテレリ』」
「『ヒィ……』」
「『今から五分、時間をやろう』」
「『……へ?』」
「『この五分間で私に〝生かしておく価値がある〟と認めさせて見せなさい。そうすれば相応しい形で生かしてやろう』」
「『……出来なかったら?』」
「『私はお前に〝要求〟をする。断れば呑むまで痛め付けるし、謝った所で止めはしない。実行するまで拷問する』」
「『え……え?』」
「『お前が苦痛無く死ねるには、スムーズに私の要求に全面的に肯首し続け、大人しく首と命を差し出す事のみだ。それ以外は苦痛を伴わせる。いいな?』」
「『ちょ、ちょっと待ってよっ!? そんないきなり──』」
「『私に時間を使わせるな。ホレ、始め』」
「『くっ……。わ、私は──』」
幾つかの悲鳴に耳が慣れて来た頃。
涙で腫らした目をそのままに、ノルドールの時同様にテレリの頭が床を転がる。
そして数秒の間を置いてから再び、《天声の導き》によるアナウンスが私の頭の中に響いた。
『確認しました。魔法系スキル《音響魔法》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《操糸術・初》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《操糸術・熟》を獲得しました』
『確認しました。技術系エクストラスキル《操糸術・極》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《算術・熟》を獲得しました』
『確認しました。技術系エクストラスキル《算術・極》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《鍵盤楽器術・初》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《鍵盤楽器術・熟》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《情報技術・初》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《情報技術・熟》を獲得しました』
『確認しました。技術系エクストラスキル《情報技術・極》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《薙断糸》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《弾交糸》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《流波弾糸》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《縫縛糸》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《束盾糸》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《罠絡糸》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《数学心得》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《計算機科学理解》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《計算機科学心得》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《情報科学理解》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《情報科学心得》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《情報学理解》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《情報学心得》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《情報工学理解》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《情報工学心得》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《計算理論法》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《計算模型法》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《礼儀作法》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《知性化》を獲得しました』
『確認しました。技術系スキル《理知化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《知能補正・I》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《知能補正・II》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《知能補正・III》を獲得しました』
『確認しました。補助系エクストラスキル《知能補正・IⅤ》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《指強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《鼓膜強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《知力強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《咆哮強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《情報処理力強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《柔軟発想力強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《具体化力強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《抽象化力強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《情報分解力強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《情報変換力強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《総合説明力強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《空間把握力強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《声量強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《可聴域強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《美貌強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《魅力強化》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《音感知》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《振動感知》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《美声》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《技巧》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《轟音》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《音圧》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《音域》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《振動耐性・小》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《振動耐性・中》を獲得しました』
『確認しました。補助系スキル《音響魔法適性》を獲得しました』
『重複したスキルを熟練度に加算しました』
ふふ。
ふふふふ。
ふふふふふふ……。
ああぁ……ノルドールとは違い、アヴァリと被るスキルが少なかった分新たなスキルが目白押しだ。
《音響魔法》や《操糸術》は勿論、情報管理局局長を兼任していただけあって情報学関連の知識系スキルや情報処理に向いた強化系スキルが豊富だったのは実に有り難い。
これならば、アールヴと和平を結んだ後の局長が不在となった情報管理局を掌握した際に滞りなく運営する事が出来るだろう。
前世から記憶と意識を受け継いで転生した弊害なのか、当時に学んだそういった情報学に関連した知識やその他に身に付けたあらゆる技能がスキルとして私に反映されていなかったからな。
反映されていないだけで発揮する事は可能だったが……。不満は勿論あった。
それがこうしてスキルとして目に見える形で身に付けられたのは本当に大きい。主に私の収集欲から来る自己満足ではあるが、な。
で、次はコイツの死体の処理だ。ちゃっちゃと済ましてしまおう。
『確認しました。補助系スキル《舞台俳優の矜持》を獲得しました』
一つ、か。まあ、こんなものだろう。しかし舞台俳優、か……。コイツにとっては軍団長や情報局局長などという立場より、そっちの道に誇りを持っていたのだろうな。
まあ、生かすには足らん材料ではあるがな。
魂も一応は《脱魂》で回収したが……ふむ。《魂魄昇華》や《魂魄進化》くらいにしか使い道がないな。
脅して聖糸リンダールの専用武器は解除させたし、然りとてアヴァリやノルドールの様な強者の魂ではない。質としてはそこらの貴人とそう変わらんだろう。
コレは後々、戦時中に回収する雑多なエルフ達の魂と共に《魂魄昇華》で統合してスキル化してしまうか、状況に応じて必要になりそうなスキルを《魂魄進化》で熟練度に加算し、進化させるのに使うしかないな。
その点で言えば、少々残念ではある。
後は目当てであった宝物庫の場所と侵入方法も無事判明し、その他の立ち寄って損は無さそうな箇所の情報も搾り取れたな。
特にユーリが主導で進めているダークエルフのクローン技術や魔物化ポーションの散布装置に関する資料が収められている資料室等は、覗いてみても良いかもしれん。
……いずれ相見えるであろう、あの二種族の暗躍者達に対する切り札に成り得るだろうからな。
その他だとやはりアールヴ軍の戦略や作戦に関しては目新しいものは無かったな。ほぼ全て大臣達から既に聞き及んでいたものばかりではあるが、油断は禁物だろう。
少し考え過ぎかもしれんがユーリの事だ。テレリが捕らえられ情報を流す可能性を視野に入れていて、敢えて戦争に関する致命的な誤情報を彼女に刷り込み、信じ込ませているかもしれん。
誤情報を信じ込まされていては記憶を手に入れたとしても真偽を測れんからな。その事を念頭に置き、あらゆる可能性を模索し続けなければ。
で、だ。
……。
…………。
…………ここまで来ると寧ろ面白いな。
「テレリは情報局局長だぞ? なのに何故──」
何故そっちに居る筈のお前の情報は不自然な程に出て来ない?
えぇ? カリナン……。
実はノルドールからの獲得スキルは一部削除していたりします。
というのも戦闘スタイルと実力差の関係上、ノルドールよりアヴァリの方が格上なのにも関わらずノルドールの方が取得スキルが多い、という問題にぶち当たったからです。
二人は同じ近接戦に特化した戦闘スタイルをしていますが、ここでノルドールから新たな戦闘面に向いたスキルを獲得してしまうと、
「え。じゃあ何で似た戦闘スタイルで格上だったアヴァリからはそのスキル獲れなかったの?」ってなってしまうわけですね。
そしてその気持ち悪さを解消するべく、ノルドールで検討していた一部戦闘面に向いたスキルをアヴァリ戦の時に回し、あの時点で獲得していた事にしました。
なので現在、アヴァリ戦時に獲得したスキルのアナウンスが増えていたりします。そう修正しましたっ!!
ストーリーには関わらない部分なので改めて見に行かずとも今後に一切問題ありませんが、気になる方はアヴァリ戦を読み返して抱くか、もしくはそれに伴って編集した資料集をご確認頂ければ幸いですっ!!




