表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/9

第8話 群圧Ⅱ

鬼塚美鈴は森を見ていた。


知らない世界。


身体は前よりもずっと軽い。


身体の出力が恐ろしいほど上がっている。


そして出そうと思えば、もっと出せる。


人間の身体ではないような感覚。


化け物。


そんな言葉が一瞬よぎる。


だめだ。


弱気になるな。しっかりしろ。


それでも胸の奥のざわつきは消えない。


知らない森に放り出されて。


知らない力を身体に入れられて。


やっと同級生と合流したと思ったら。


今度は森そのものが壊れた。


西園寺はここが異世界だと言う。


現実が、どこにもない。



森は静かだった。


やがて鬼塚が顔を上げる。


「……移動しよう」


声は低い。


「ここにいたくない」


それだけで意味は伝わった。


藤堂優斗は短く頷く。


久我亮も木から手を離した。


西園寺ルカも小さく頷く。


そのときだった。


佐伯真帆がゆっくり顔を上げる。


「……待って」


声は小さい。


だが、全員が止まった。


佐伯は森の奥を見ていた。


焦点の合わない目。


「……誰かいる」


空気が止まる。


西園寺が反射的に聞く。


「……同級生?」


佐伯は首を振った。


「……違うと思う」


一度、浅い呼吸を整える。


「男の人」


「ひとりで、まっすぐ……こっちに来てる」


知らない人間がいる。


こんな森の中を。


迷わずこちらに向かってきている。


背中に冷たいものが走った。



すでに三人。


多い。


通常は一人。


多くても二。


そして、さらに五人。


多すぎる。


この範囲。


この時間。


八。


異常だ。


――報告する必要がある。


いや。


まずは五人の性質を見る。


木々の影。


この距離なら、こちらは見えない。


次の瞬間。


小柄な女。


焦点の合わない目。


視線だけが正確にこちらへ向いた。


偶然ではない。


探知系がいたか。


捕捉された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ