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第82話 勇者と魔王 2

それから、レイカが瓦礫を持ち上げている間にカエデが瓦礫の下敷きになった人を救助し、レイカは瓦礫を下に降ろした。


「いてて......一体何なんですか......」


「いきなりバンクが倒壊したですの......」


リコとコアネールも救助され、起き上がった。


「あ、あれ?リコにコアネール!?どうして?」


「「カ、カエデさん!?」」


カエデ、リコ、コアネールが顔を見合わせる。


3人はお互い顔見知りの3人がこの場にいることに驚く。


「ど、どうして2人がここに?」


「あー、話せば長くなるんですけどね」


「リコ、コアネール、無事で良かった......」


そう弱々しい声が聞こえてきた。


その声の方を見ると、目が虚ろになっているレイカの姿があった。


レイカは兄ヴァルロとの戦いで限界まで魔力を使い、魔力がまだ完全には戻っていなかった。


「レイカちゃん!?大丈夫ですの!?」


「バンク......倒壊させちゃってごめんなさい......」


ドサッ......


そう言うと、レイカは前のめりに倒れた。


「「レ、レイカちゃん!!」」






















「ここは......」


レイカが目を覚ますと、そこは病院のベッドの上だった。


「レ、レイカちゃぁぁぁぁん!!良かった目を覚まして!!」


レイカに抱きつくリコ。


「リコ、重い」


「魔力の使いすぎらしいですの」


リコの隣にはコアネールが立っていた。


「コアネール......」


「カエデさんが病院まで運んでくれたんですよ」


「カエデ?」


リコとコアネールの後ろには腕を組んで立っているカエデの姿があった。


「白銀の虎......僕を助けてくれたの?」


「白銀の虎じゃなくてカエデ、魔王と言えど放っておけないでしょ」


ムスっとした表情のカエデ。


「ありがとカエデ」


「......」


カエデはレイカの顔を見ないように、目を反らしていた。


「それよりリコとコアネールがこんなところにいるなんて」


「い、いやー、色々ありまして」


「主にリコの天然のせいでこうなってるですの」


「私天然じゃ......」


「それよりさっき下敷きになった人達は!?大丈夫だったの!?」


レイカは起き上がりながら聞いた。


「はい、幸い死傷者はいませんでしたわ」


「そう......良かった」


レイカは安堵の表情を見せた。


それを見て、また目を反らすカエデ。


カエデが持っていた魔王のイメージ像とレイカはあまりにもかけ離れていた。


「ところでカエデさん、ロイさんはどうされたんですか?」


心配そうに聞くリコ。


それを聞くと、カエデはムスッとした表情を見せる。


「知らないわよあんな奴」


「また喧嘩なさったんですか?デザール村でも喧嘩してましたし......」


「いつも夫婦喧嘩してらっしゃるですのね、あなた達」


「喧嘩なんかしてない!ただ向こうが勝手にどこか行っちゃったの!!」


(ロイって......まさか)


レイカは不思議そうに聞いた。


「ねえねえ、そのロイって人特徴は?」


「え?アホ面よ」


「無鉄砲ですわね」


「ほ、本当は優しい方です」


「他は!?」


「女好きよ」


「スケベですわね」


「お、女の子に対して優しい方です」


(アホ面で無鉄砲で本当は優しくて女好きでスケベで女の子に優しい人って......)


そのイメージを合わせて浮かび上がってきたのは、完全にレイカの描くロイのイメージだった。


「いやロイロイじゃん!!」


レイカはベッドから降りて立ち上がる。


「ねえ!その子って双剣を使ってる男の子!?」


「え、そうだけど何でアンタが知ってるのよ」


「それは......」







レイカはロイが自分の城で働いていたことを話した。


「ふーん、そんなことが」


「僕も驚きだよ、ロイロイから昼間は別の冒険してるって聞いてたけど、ここにいる全員がロイロイの知り合いだなんて」


「あの男、私も夜中に何かやってるのは気付いていたけど、私と魔王を倒す旅しながら魔王の城で働いてたのね......どんな神経してるのよ」


カエデは呆れたように言った。


「あの神経の図太さがロイロイの良いところだよ」


「まあ、そうなんだけど......」


2人の会話を聞いて、うんうんと頷くリコとコアネール。


「カエデ、思ったより冷静だけど怒らないの?」


「まあ人間隠し事の一つや二つあるものでしょ。隠し事のない人間なんていないだろうし、あの男なりに色々考えて実行してたんでしょ」


「うーわ、可愛くない性格、私に黙って他の女のとこ行ってたなんてムキー!!ぐらい言いなよ」


「うっさいわね!どうせ私は可愛くないわよ!」


「顔は可愛いのにね、理屈っぽい女って嫌われるよ」


レイカちゃんも結構理屈っぽいような、似たもの同士なんじゃないか……と思ったリコとコアネールだったが、言わないでおいた。


レイカは寝ていて乱れていた服と髪を整え、カエデを見た。


「っで?カエデ、喧嘩の続きやる?」


「......」


カエデはため息をついた。


「......ハア、もういいわよ、アンタ見てたら戦う気失せちゃった」


「そうなの?魔王なのに可愛いでしょ僕」


「やかましいわね!!」


「さっ!僕はもう大丈夫だし、長居はしてられない。病院を出ようか」















病院の外に出た4人。


「あー、一時はどうなるかと思ったけど、この100万Gがあればしばらく豪華な食事や宿が楽しめるね!」


レイカはたんまりとお金が入った袋を持ちながら言う。


「100万Gなんて私初めて見ました」


「極貧生活とはおさらばですね」


「まずはお腹減ったね、腹ごしらえしようか」


「「さんせーい!!」」


「これも何かの縁だからカエデも奢ってあげるよ」


「え、いや、私はいいわよ」


「いやいや遠慮しなくても大丈夫だよ」


ザッ!


その時、レイカの後ろには複数人の黒服男性が歩いてきた。


「へ?」


「君達、先ほどバンクを倒壊させた犯人だな」


「あ......」


「バンクの修理代100万G、耳を揃えて払って貰おうか」


「え......修理代?」

















倒壊させたバンクの修理代に100万Gを支払ったレイカ達。


「うわーん!!また文無しだよ!!」


「また藁で寝る日々となってしまうのですね」


「温かいご飯が食べられると思ったですのに!!」


3人は分かりやすく落ち込んだ。


「あ、あの......良かったら奢ってあげようか?」


あまりに不憫なのでそう言うカエデ。


「「「いいの!?」」」


「あ、うん......私もそんなお金ないけど」

面白い!続きが気になる!今後に期待!


と思っていただけたら


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