第64話 カードのジョーカー
その頃
「ぐすん......イカちゃん、離れてても友達だからね」
リアは持っていたスカーフで涙を拭きながらサンダトルトを歩いていた。
「お兄ちゃんも大きくなってカッコよくなってたし、またイカちゃんとお兄ちゃんと会いたいな......」
すると、サンダトルトの広場に4つの人影が見えた。
それはカードのジャック、キングに包帯をグルグル巻きにしたクイーンともう一人若い男が立っていた。
「あっ!エースくん、キングさん、クイーンさん、ジャックさん!お待たせ!」
リアは4人に挨拶し、駆け寄った。
「クイーンさん!魔王にやられてケガしたって聞いたけど大丈夫!?」
「この通りですわ」
クイーンは自分に巻かれた包帯を指差して言う。
「手加減されてたみたいで、大事には至らなかったですけどね」
「そうなんですか......やはり魔王は強かったですか?」
「強かったな、肉弾戦から魔法まで隙がなかった」
「そうですか......」
「けれど、カード最強のジョーカーであるあなたなら、十分勝てるはずですわ」
クイーンはリアに向かって言う。
リアはカードの証である白いスカーフを取り出し、腕に巻き付けた。
「うん、リアは必ず魔王を倒すよ!ジョーカーのプライドにかけて!」
そう言うと、リアはカードのメンバー達を見る。
「ジョーカーさん、先ほどサンダトルトの郊外に魔王を見たと言う男がいるという情報を聞きました」
「そうなの?じゃあまだ魔王が近くにいるかも知れないね、とりあえず話を聞きに向かおうか」
リアを含め、カードのメンバーはサンダトルト郊外に移動した。
「この辺りですか?魔王を見たと言う男は」
カードのメンバーは魔王を見たと言う男がいるというサンダトルト郊外にやってきた。
「トートくん、何か見える?」
「ジョーカーさん......仕事中はコードネームで呼ばないと」
「あ、忘れてた。ごめんねエースくん」
リアを注意するエースという若い男。
カードのNo.2で参謀役のエースである。
「あれじゃないかでー?」
ジャックが指差した先には、1人の男が立っていた。
「そうかな?すいませーん」
リアが男に声をかける。
男は原っぱに座り込んでいた。
「何かなお嬢ちゃん」
「この辺で魔王を見たと言う男がいるという噂を聞いたのですが」
「ああ、俺だよ」
リア達が男に近づくと、男の周りには薄い透明の壁が張り巡られていた。
そう、この男は魔王軍ランドにやられた山猫山賊団戦闘員のシャムである。
「な、なんですかこの壁は」
「魔王軍第1魔将のランドに負けてな、閉じ込められてるんだ」
「絶対防御のランドの防御魔法ですね」
エースはコンコンと壁を叩く。
「すいません、魔王を探しているので魔王がどっちに行ったか教えてもらえませんか?」
「いいけど、まずはここから出してくれないか?」
ランドのシールドを叩くシャム。
「そうですね、僕がやってみます」
エースは剣を抜いた。
その剣は刃が真っ赤な剣だった。
それを上段に構えるエース。
「はあっ!!」
エースはシールドに斬り付ける。
しかし、シールドはビクともしなかった。
「ダメですね、僕の攻撃では何とも」
「魔王の攻撃でも破壊出来ないと言っていたからな、まあ大人しく半日待つか」
「待って、リアがやる」
リアは両手を合わせた。
「ま、待って下さい!ジョーカーさんがやると」
「はあああああああ!!」
ジジジジ......ジジジジッ!!!
リアが声を上げると、リアの両手から虹色の魔力の塊が形成された。
その魔力の塊に、どんどん魔力が蓄えられていく。
「ま、待って下さい!ジョーカーさん!!」
「はあっ!!」
手に溜めた魔力の塊を一気に放出するリア。
その放出した魔力の塊は勢いよくシールドにぶつかった。
ズドォォォォォォォォン!!!
その魔力の塊がシールドに当たると、物凄い轟音とともに爆発が起こる。
そして、ランドのシールドは粉々に割れて消え去った。
それと同時にシールドにぶつかり弾けた魔力が遠くの岩にぶつかり、凄まじい轟音と衝撃波を発生させた。
「うおっ!相変わらずスゲー!」
カードのメンバーは衝撃波に思わず目を背けた。
「よし!壊れた!」
「よし!じゃないですよジョーカーさん!貴方の魔法の威力を考えて下さいよ!」
「魔王でも壊せないシールドを壊せましたわね」
「これなら魔王にも負けないな」
関心するジャック、クイーン、キングと注意するエース。
「いてて......全く無茶する嬢ちゃんだな」
シャムは髪の毛がチリチリになって立ち上がる。
「まあ一応出してくれたから教えてやるよ。魔王と第1魔将ランド、そして若い剣士の3人は東へ向かっていったな。ただもう3時間も前の話だ、かなり遠くまで行ってしまっていると思うがな」
「そうですか、どうしようかエースくん」
「3時間ですか、しばらくすれば日も暮れますし追える距離ではないですね」
「じゃあ今日はみんなで飲もうぜ。久しぶりにカード全員揃ったんだしな」
ジャックはリアとエースと肩を組みながら言う。
「ダ、ダメですよ!そんなことが皇帝様に知れたら大目玉ですよ、ねえジョーカーさん?」
「そうだよ!エースくんの言う通り」
「ですよねジョーカーさん!」
「リアとエースくんは未成年だからお酒は飲んじゃいけないんだよ!」
「そこですかジョーカーさん!?」
真面目な顔で言うリアと驚くエース。
「未成年はジュースでいいから行こうぜ。サンダトルトに良い飲み屋を知ってるんでー」
「じゃあリアはオレンジジュースで」
そう言って歩き出すリアとジャック。
「キングさん、クイーンさん、何か言ってあげて下さいよ!」
「ジャックの店はいつも荒くれが集まってる店だからな。落ち着いた場所が良いのだが」
「安酒は私の口には合いませんわよ」
そう言ってジャックについて行くキングとクイーン。
「ふ、二人まで......知らないですからね皆さん!!」
「トートくんも行こうよ!!」
リアはエースに手を振り、誘う。
「い、いや......こ、今回だけですからね!それとコードネームで呼んでください!!」
こうしてサンダトルトの飲み屋に向かうカード一行だった。
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