第53話 王女と田舎娘 2
「すいません、天然娘さんがあまりに楽しそうに話すからつい」
「バ、バカにしてますね!!私の方がお姉さんなんですよ!!」
「いえいえ、誰かに憧れて旅を始めるのも素敵だと思いますわ」
「もういいです!もうお姉さんスネちゃいました!」
「まあまあ」
ガサガサッ!!
リコとコアネールが話していると、2人の左にあった茂みから音がした。
その音と同時に茂みが小刻みに揺れている。
「茂みに何かいますわ天然さん!!もしかして人でしょうか?」
「う、うーん、どうでしょうか」
「すいません!!誰かいますの!?」
コアネールがそう声をかけると、その茂みから何かが飛び出して来た。
それは大きなイノシシのようなモンスターだった。
「ブルルルッッッ!!」
「モ、モンスターですわ!!」
「これはミツメイノシシですね、私の村近辺でも良く出没します」
「危険なモンスターじゃないですの!?」
「たまに人を殺すぐらいには危険ですね」
「バカーーーーーーーーー!!」
リコとコアネールは一目散に逃げ出した。
それを見て、ミツメイノシシが追いかけてくる。
「何で貴方はそんな暢気なのですの!!」
「慌ててもどうにもなりませんし.......」
「慌てないと死ぬでしょうが!!」
走って逃げる2人だったが、ミツメイノシシにどんどん距離を詰められる。
「ブルッフ!!」
「は、速いですの!!このままでは!!」
「大丈夫です!!」
そう言って親指を立てるリコ。
「貴方の大丈夫は当てになるですの!?」
「任せてください!」
そう言うとリコは前に立っていた木を蹴り、大きくジャンプすると、木の枝を掴んだ。
そして、くるりと一回転し、木の枝の上に登った。
「す、すごい......」
「手を!!」
そう言うとリコは枝の上から手を伸ばした。
コアネールがその手を掴むと、リコは力一杯引き上げる。
そして、コアネールも枝の上に登った。
「ハア.......ハア......これで大丈夫ですの?」
「はい、ミツメイノシシは木に登れませんから安心です」
「その安心は当てになるですの?」
「任せてください!お姉さんの言うこと聞いていれば間違いはありませんから!」
そう言っていると、木の下ではミツメイノシシが木から距離を取っていた。
「ブルフッ!!」
雄叫びを上げると、ミツメイノシシは物凄いスピードで木に向かって走り出す。
「これヤバいのでは無くて!?」
「あ」
「あ、じゃないですの!!」
バキキッ!!
ミツメイノシシの突進を受けた木は真っ二つにへし折れる。
「きゃあああああ!!」
上に乗っていた二人は木にしがみつくも、木はゆっくりと倒れ出す。
しかし、木の倒れた先は川が流れていた。
「ああああああ!!」
バシャーーーーン!!
リコとコアネールは木ごと川に落ちた。
「ぷ、ぷはっ!!天然さん!!」
「大丈夫です!木に掴まってください!!」
「はいですの!!」
折れた木にそのまま掴まる二人。
木はプカプカと川に浮かび、流されていく。
「危なかったですが助かりました!ミツメイノシシは水には入れません!」
岸を見ると、諦めて立ち去っていくミツメイノシシの姿があった。
「今度はホントに大丈夫ですの!?今度こそ当てにしてよくって?」
「大丈夫です!このまま流されて安全に陸地に上がれば問題ないです!」
「ホントのホントに信じてよくって!?」
「はい!お姉さんを信じなさい!!」
「あれは?」
川の流れる先を見ると、またしても大きな滝が見える。
木はその滝へ向かいどんどん進んでいっていた。
「あー」
「あれは大丈夫ですの!?」
「あれはダメですね」
「バカーーーーーーーー!!」
またしても滝から投げ飛ばされた二人。
コアネールは思った。
この娘は信用してはダメだっと。
「きゃああああああ!!!」
ガサッ!ガサッ!
ドカッ!
「あいたっ!!」
コアネールはお尻から地面に落ちた。
しかし、木に何度か引っ掛かり、地面に落ちる衝撃が弱まったことで軽い打撲で済んでいた。
「いたたたた、お尻を強打しましたの......でもあの高さから落ちて死ななかっただけでも奇跡ですの」
コアネールはお尻を抑えながらも立ち上がる。
「ここは一体......また結構流されてしまいましたね」
コアネールはキョロキョロ辺りを見渡すと、右側に灯りが見える。
その灯りをよく見ると、町があった。
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