第44話 サイVSスカーレット
「おい、貴様」
サイさんは立ち上がり、スカーレットを睨む。
「よくも私の仲間を傷つけたな!数百倍で返してやるぞ!」
サイさんは両手を前に出した。
「雪女は氷のように冷静って聞いたけど、誤情報だったようね」
スカーレットもスッと腰を落とし、構える。
その気迫はさっきまで俺と戦っていたときとは別物のように研ぎ澄まされていた。
サイさんとスカーレットは睨み合う。
その瞬間、スカーレットに向かって氷柱が飛んだ。
それをしゃがんで避けるスカーレット。
氷柱はスカーレットを通りすぎ、数メートル先に壁にぶつかり弾け飛んだ。
それと同時にスカーレットがサイさんに向かって走り出した。
そして短刀を取り出し、斬りつけた。
ガキッ!!
金属と金属が交錯したような音がこだました。
スカーレットの短刀をサイさんが氷の刃で受けたのである。
「ほう、さっきのかまいたち男よりかは出来るようだな」
「......」
ガキンッ!!
サイさんは氷の刃に力を込め、スカーレットを弾いた。
そして、そのまま氷の刃を投げ付ける。
だが、その氷の刃は虚空を切った。スカーレットが消えたのだ。
刹那、スカーレットはサイさんの背後に現れる。
お得意の瞬間移動だ!
そのまま短刀を突き付けるスカーレット。
短刀はサイさんの背中に直撃した。
「サ、サイさん!」
「案ずるなロイくん」
俺は思わず声を上げたが、サイさんに諭された。
ガキンッ!!
その瞬間、スカーレットの短刀が折れ地面に落ちた。
「なっ!!」
「甘いな」
サイさんの背中を見ると、短刀で刺された部分だけ氷で覆われていた。
あれでガードし、逆に短刀をへし折ったのだ。
そしてサイさんは背後のスカーレットに向けて氷柱を投げた。
スカーレットは辛うじて避けるが、氷柱はスカーレットの太ももの辺りにかすり、服に少し切れ目が入る。
「くっ!!」
スカーレットは瞬間移動で少し距離を取った。
そして太ももを押さえた。
ス、スゲー......あの強かったスカーレットに対して全然押している。流石はサイさん、魔王城の第4魔将。
「さあ、もう終わりか?」
「......」
スカーレットは太ももから手を離すと懐に手を入れ、数本のナイフを取り出した。
「それは......投げナイフか、今さらそんな物で私を倒せると思ったのか?」
「はっ!!」
そう言うとスカーレットは数本のナイフを同時にサイさんに投げ付ける。
投げナイフは軌道を変え、四方八方からサイさんを襲う。
「こんなものいくら投げても私には効かないぞ」
そう言うとサイさんは自分の周りに氷の壁を発生させる。
ガッ!ガッ!ガッ!
その壁に投げたナイフが全て刺さり、動きを止める。
この氷の壁が有る限りサイさんに飛び道具は通用しない。
「だからこんなものでは私は......」
サイさんは刺さったナイフを良く見た。ナイフの持ち手の部分に小さな袋のような物がぶら下がっている。
「これは......」
ドガーーーーーンッ!!!
その瞬間、数本のナイフが急に爆発し煙が覆った。
ナイフの近くにいたサイさんは巻き込まれたように見える。
「サ、サイさん!」
「心配無用だ」
その声がした方を見ると、宙に舞うサイさんがいた。
爆発の前に咄嗟にジャンプしたようだ。
「奴は......」
サイさんが空中で辺りを見渡すと、着地先に立つスカーレットの姿があった。
サイさんは空中、あれでは移動することが出来ない。着地先のスカーレットから何かをされれば避けることは......
だけどサイさんには氷の壁がある、あれがあればどんな攻撃が来ても......
すると、スカーレットは指を口の前にかざした。
ボオオオオ!!!
スカーレットが指に息を吹き掛けると、そこから巨大な龍の形をした火炎が放出された。
あれは火魔法!!スカーレットは火魔法使いだったのか!!
その巨大な火炎は空中のサイさんに向かって直進する。
サイさんは避けられない、それにあの火炎では氷の壁が溶かされ通用しないだろう。
「サイさん!!」
「くっ!!」
サイさんはガードの体制を取ると、そのまま火炎に飲まれていった。
「そ、そんな!サイさん!!」
あの威力の火炎だ、しかも火魔法を苦手とするサイさん。
これはいくらサイさんでも......
バフッ!!
しかしその瞬間、火炎の中からサイさんが飛び出してきた。
「なっ!!」
「はあっ!!」
ドガッ!!
サイさんはそのままスカーレットの顔面を蹴った。
「くっ!!」
怯むスカーレット。
「終わりだ!!」
そして手に氷の刃を作り、スカーレットを斬った。
ザシュンッ!!
スカーレットは胸から腹にかけてを斬られ、流血した。
「ガハッ!!」
そして、片膝をつき、座り込んだ。
「油断したな」
サイさんは氷の刃をスカーレットの首筋に添えた。
「ハア......ハア......な、なぜ」
「確かに火魔法は私の弱点、ここまで火魔法を温存し、確実に私に当てる場面で繰り出したのは見事だった」
「......」
「だが私とてバカではない。苦手な火魔法対策を怠ると思ったか?」
「どういうこと......」
すると、サイさんは懐から何かを取り出す。
それは御守りのような物であった。
「火竜の護符だ、ゴラド様から貰った護符でな、火魔法耐性を上げる効果がある」
「そんな物を......ゴフッ!!」
スカーレットは吐血した。
「貴様の負けだ」
ス、スゲー......あの強かったスカーレットを圧倒した。
やっぱりサイさんは強い!!
「サイさん!凄いです!」
それを聞くとサイさんはスカーレットに氷の刃を突き付けながら親指を立てた。
「......ハア......ハア」
「教えろ、貴様らは何だ?何を目的に城を襲撃した?」
「.......」
「吐けば命までは取らない、答えろ、さもなくば」
「......全ては、ヴァルロ様のため」
そう呟くスカーレット。
ヴァルロ様?
「何だ?貴様らのリーダーの名か?」
「ヴァルロ様の目的には......玉が必要」
「玉?わからん、もっと具体的に......ん?」
シュルルルッッ!!
その瞬間、突然サイさんの背中目掛けて槍のような物が飛んできた。
ガキンッッ!!
サイさんは咄嗟に背後を振り向き、氷の刃で槍を防いだ。
な、なんだ!?
「危ない!ロイくん!!」
「えっ?」
シュルルルッッ!!
槍は俺にも飛んできていた。
しまった!避けられねぇ!
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