第40話 魔王城防衛戦
俺がいない間に魔王城は敵襲に合っていた。
「て、敵襲って......」
「ああ、今は魔王様やランド様を始めとした魔王軍の1/3が不在だ。指揮官がいないから統制が取れていない。非常にまずい状況だ」
サイさんは冷静な顔でそう言ったが、内心焦っているのが目に見えた。
「城の様子から察するに城に残っている者は各々出くわした敵と戦っているようだが、敵が何者かもわからず、戦力も目的も何もかもがわからない。魔王城に辿り着いたと言うことは相当な手練れと言うことは間違いないが......」
顎の辺りに手を添えながら呟くサイさん。
段々状況が飲み込めてきた。
今の魔王城はかなりの手薄、手練れのほとんどが出払っている上に、魔王様やランドさんと言った指揮官がいないせいでまとまりがついていない。
敵は不特定多数、実力も未知数、恐らく今戦っている魔王軍も困惑しながら戦っているのだろう。
またどこから進入してくるかがわからない、相手の目的もわからないから何を守ればいいかもわからないと来た。
これってマズいんじゃ......
「とにかく、私はとりあえずエントランスの方へ向かう。これ以上は進入させる訳にはいかない」
そう言ってサイさんは立ち上がった。
「ロイくんはここで隠れていろ。ここは城の端だから敵もあまり来ないはずだ」
そう言ってサイさんは部屋を飛び出して、駆け出そうとした。
「待ってください!!」
俺は手を伸ばし、サイさんの手を掴んだ。
サイさんは驚いた表情で立ち止まった。
「俺も行かせて下さい!!」
俺は意を決したように言った。
俺は決めたんだ、強くなるって。
「な、何を言ってるんだ!ここまで辿り着いたと言うことは敵は相当な実力者だ、正直言って君の戦える相手ではない!」
サイさんはそう言った。
サイさんは俺を守るために言ってくれているんだろう。
だけど俺は......
「役に立たなくてもいいです!囮でもいいので行かせて下さい!」
俺は真剣な目で言う。
それを聞いて困惑する様子のサイさん。
「お、囮ってそんなことが出来る訳......」
サイさんは俺の目を見た。
そして、しばらく俺の目を見つめながら、少しため息を付き、口を開ける。
「......言っても聞かなそうな目をしているな」
「......」
「わかったよ、だが死なないでくれよ。私の手前で君が死ねば魔王様に会わせる顔がない」
そう言って微笑むサイさん。
「あ、ありがとうございます!」
「ところで私の手はいつ離してくれるんだ?」
「へ?」
俺は無意識にサイさんの手を握っていた。
「す、すいません!つい!って言うか冷たっ!!」
俺は咄嗟に手を離した。
クソー!折角サイさんの手を握ったのにもうちょっと感触を堪能するべきだった!
「フッ!可愛いなロイくんは」
「い、いや......な、なんか恥ずかしいです」
「フフッ!ではそろそろ行こうか」
そう言って後ろを向くサイさん。
「は、はい!」
俺はサイさんの後ろを付いていった。
俺とサイさんは城の廊下を走る。
「ロイくん!周囲を警戒していろ!どこから来るかわからんからな!」
「は、はい!」
サイさんの後ろを走る俺。
すると、前方に人影が見えた。
「いたぞ雪女サイだ!」
前方の人影はこちらに気付き、そう叫んだ。
人影の背後にはもう一人男がいた。
二人の侵入者を発見した。
「敵は二人、ここは私に任せろ!」
サイさんは走りながら地面に手を当てる。
すると、サイさんの前方の地面は凍り付いた。
「雪女は危険度SS、討てば名が上がるぞ!」
男達は武器を握る。
「いくぞ!!」
サイさんは凍った地面をスノーボードのように滑る。
「この廊下は一直線!突っ込んできたところをやるぞ!」
「ハッ!!」
サイさんは突然加速し、物凄いスピードで床を滑った。
「な、何!?消え......」
その瞬間、サイさんは背後から男二人の首元に鋭く研がさせた氷の刃を突き付ける。
「動くな、私の質問に答えてもらうぞ」
な、なんだ今のスピードは......速すぎて見えなかった。
やはり魔王城のNo.4、圧倒的強さだ。
「くっ!離せ!」
「離してもいいがその時は......」
サイさんは男の首に氷の刃を少し当てる。
男の首からは少し血が流れた。
「お、おい大人しくしろ!」
もう一人の男が怯えるように言う。
「ゆ、雪女サイは魔王四天王で1番残虐と聞く......」
「そうだ、良く知っているな。私は他の男連中と違って甘くないぞ」
そう言うサイさんはとても恐ろしく冷たい表情をしていた。
サ、サイさんを怒らせるのはもう止めよう......
「さあ、わかったら質問に答えてもらうぞ?お前達の組織名は何だ?」
「こ、答えるなよ!答えたら裏切りも......」
ガキンッ!!
その瞬間、男は足からどんどんと凍り付いていく。
「ひ、ひい!!足が......」
「私は質問に答えろと言ったんだぞ?答えなければこのまま凍り付けにしてしまおうか」
男の身体はどんどんと凍り付いていく。
「そ、組織名は特にない!幹部達が革命軍と呼んでいる!」
膝辺りまで凍り付けになった男が言った。
「革命軍?」
男の話によると、自分達は帝国軍にも魔王軍にも属さない第三勢力的な組織だと言う。
リーダーの命令で動き、下っ端は幹部の命令に従っているとのこと。
「なるほど......下っ端には口封じのため目的すら教えていないのか......」
考え込むサイさん。
つまりは下っ端を何人捕まえようが敵の目的はわからないと言うことだ。
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