第39話 決意
「ハア......ハア......大丈夫かカエデ!?」
俺はジャックを倒し、息を切らしていた。
「ロイ、凄い!!」
振り返ると、顔を真っ赤に染め、俺を見るカエデが立っていた。
「ケガはないかカエデ」
「う、うん、ありがとう!!ロイ、凄くカッコよかったよ」
「ハッハッハ、まあカッコいいことだけが取り柄だからな俺は!!」
「ロイ......」
カエデは火照ったような顔で俺を見つめる。
「ロイ......私少し前から貴方のことが......」
これってもしかして......
こ、告白なんじゃ......
「......私、ロイのことが」
俺に唇を近付けるカエデ。
こ、これは......
俺は緊張しながらカエデの唇を受け入れようとした。
「カエデェェェェェエエエ!!!」
俺は目を開いた。
俺の目の前には白い天井が見える。
あ、あれ?カエデはどこに行った?
「なんですの、寝ていたと思ったら急に叫んで」
「ふえ?」
俺が横を見ると、ソファーに座りながら本を読むコアネールさんの姿があった。
「あ、あれ?コアネールさん?」
「軟弱さん、あれから6時間も寝ていたんですのよ」
あれから?6時間?
俺は全てを思い出した。
カフコ族のこと、ジャックのこと、俺が一撃でジャックにやられたこと。
そうだ!!あれからどうなった?
「コアネールさん!カエデは!?」
俺は身体を起こしながら言う。
いてて......
少し蹴られた脇腹の辺りが痛む。
「ほら、軟弱さんも安静になさってください。軽傷ですが脇腹の打撲が酷いですの」
「俺のことよりカエデは!?無事なのか!?」
「大丈夫ですの、別室にいます」
コアネールさんのその言葉に安堵が漏れる。
良かった.....けどあれから一体どうなったんだ?
「銀髪さんですが、傷は深いですが命に別状はありません。あれから私は城の兵士を引き連れてカフコ族の森へと戻りました。そしたら残っていたのは倒れた軟弱さんと銀髪さんだけでした。二人でジャックさんを退けたのだと思っていましたが?」
いや、俺は何もしていない。
まさか、一人でジャックを退けたのか?
「いや、俺は一撃でジャックにやられて......それからの記憶がない」
俺はベッドから下り、足を着いた。
脇腹は痛むが、大したことはないな。
「コアネールさん、カエデの所へ連れていってくれ」
「わかりましたわ、こちらへ」
俺はコアネールさんに付いて行き、すぐ近くの部屋へ来た。
どうやらそこは医療室のようだ。
「こちらに」
コアネールさんが立ち止まったところにはベッドが一つあり、そこにカエデが寝ていた。
安らかな顔をしているが、肩と脚には包帯が巻いてあった。
「カエデ......」
「重傷なのは肩の傷で剣で貫かれたようなケガをしていました。それに太腿には針で刺された傷、さらには顎の骨も少しヒビが入っていました」
そんな大ケガを......
カエデ、頑張ったんだな。
俺は苦虫を噛み砕いたような顔をする。
俺がもう少し強ければ、カエデにこんなケガを負わせることもなかった。
俺は本当に無力だ、誰も守れやしない。
血が滲むほど、握り拳を握る俺。
「軟弱さん」
コアネールさんはそう言うと、両手を重ね、深々と頭を下げた。
「ちょ!コアネールさん!?」
「この度はありがとうございました。このコアネール・サン・サンベルス、感謝の言葉もございません」
「い、いや!本当に俺は何もしてないから!お礼ならカエデに言ってくれないか?」
「もちろん銀髪さんにも目が覚めたらお礼を言います、こんなケガを負わせてしまった謝罪も。ですが軟弱さんは私の言うことを信じてくださって助けてくれた。その感謝ですわ」
そう頭を上げながら言うコアネールさん。
そうか......こんな俺に感謝を。
「ありがとな、コアネールさん」
「ん?私の方こそ感謝されるようなことは......」
俺は強くなりたい、皆を守れる力を得たい。
これだけこんな俺を信じてくれる人がいるんだ、その人達に報いたい。
「なあコアネールさん、一つ聞いていいか?」
「なんでしょうか?」
「カエデみたいに強くなるにはどうすればいいだろうか」
俺はカエデを見つめながら言った。
それを聞いてコアネールさんは「うーん?」と考え込む。
「それは年下の女の子に聞く質問でしょうか?」
「そ、それもそうだね......」
「教わればいいのではないでしょうか」
コアネールさんはそう言った。
「教わる?」
「私は武術に関しては素人ですが、勉学等は誰かに教わるのが効率良く向上させるためには重要だと思っていますわ」
誰かに教わるか......
「そうだよな!ありがとうコアネールさん!!」
そう言うと俺は部屋の出口に向かった。
「ちょ、ちょっと!軟弱さん!」
「しばらく出かけてくる!!カエデが起きたら戻ってくるよ!」
「それはいいですけど消息がわからなくなるのでサンベルスからは出ないで下さいね!」
「わかった!」
そう言うと俺は自分の部屋に向かった。
そうだ、俺は魔王城という世界最強の軍隊の中で働いているんだ。
教えてもらう相手としてそれ以上のものはない、魔王城の皆に修業をつけてもらって皆を守れる力を身に付ける。
そうと決まればカエデが目を覚ます前に少しでも修業をつけてもらって強くなる。
俺は自室に到着し、ワープ装置を取り出した。
よし!俺はやるぞ!俺は強くなってやる!カエデよりもジャックよりも、魔王様よりも!
そう思いながらワープ装置に吸い込まれた。
ワープ装置を経由し、魔王城の自室に到着した俺。
ここに来るのも2日ぶりか、昨日はカフコ族の1件でこれなかったからね。
自室の扉を開けて、廊下に出る俺。
誰に修業をつけてもらおうか、あんまり幹部陣には頼めないよな大変そうだし。
ここは仲の良いゴブリン達にでも......
ってあれ?なんだか今日の魔王城は閑散としてないか?
さっきから人っ子一人見てないが、いつもなら何人もこの廊下は通ってるはずなのに......
そのとき、俺は昨日の魔王様の発言を思い出した。
「えー、僕明日から遠征なんだよ?」
そうか!今魔王様達が遠征でいないんだ!だからこんなに閑散としているのか!
俺は前を見ると、ずーっと廊下が広がっている。
だけどそれにしても誰もいなさすぎやしないか?どうなってるんだ?
そのとき......
ドガァァァァァァアアア!!!
「う、うわっ!!」
いきなり何かが破壊されるような音と地響きが鳴り響いた。
俺は思わず耳を塞ぐ。
な、なんだ今の音は!?
エントランスの方から聞こえてきたが......
とりあえず行ってみるか。
そう考え、エントランスの方へ走り出す俺。
すると、いきなり部屋の扉から手が伸びてきて、俺を掴んだ。
「へ?」
その手は俺を引っ張り、部屋へと引きずり込んできた。
「いてて、一体何ムグッ......」
部屋へと引きずりこまれた俺は口を手で塞がれた。
一体誰がこんなこと......
俺は俺を部屋へと引きずり込んだ主を見ると、それはサイさんだった。
「ムグッ!ふぁいふぁん!」
「ロイくん、少し黙っていてくれ」
そう言って外の様子をチラチラと見ているサイさん。
一体何なんだ?
サイさんは俺の口を押さえ、数秒黙って外の様子を見ていた。
「よし、行ったようだな。すまないロイくん」
サイさんは俺の口から手を離した。
「ぷはっ!ど、どうしたんですかサイさん」
「敵襲だ、何者かが魔王城に進入してきている。すでにエントランスは突破され、内部に入られているようだ。かなりマズい状況だ」
え?敵襲って......
ええええええええええ!?
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