第28話 王国サンベルス
「うわ!スッゲー!!」
俺はカエデとの旅でついに世界2位の国サンベルスへと辿り着いた。
俺の目の前にある大きな都市は今まで見た町とは比べ物にならない巨大で発展していた。
「スゴいなー!夢の国に来たようだ」
「ホントよね、私の故郷もド田舎だから他の町に来たら驚くことばかりよ」
カエデもキョロキョロと周りを見渡しながら言った。
「カエデの故郷ってどこなの?」
「オルトルバって町よ、知ってる?」
「オルトルバ?」
「あー、小さな町だし知らなくて当然よね。それよりもあなた」
カエデは俺の腰の辺りをジーッと見た。
「何よその剣?」
「えっ!!」
俺はカエデから貰った聖剣アンヘルと魔王様から貰った魔剣ディアブロを腰に付けている。
カエデが突然現れたこの魔剣に疑問を持つのは当然である。
「い、いやー実は、話せば長くなるんだけど」
俺はカエデにも本当の事を話そうと思っていた。
魔王様と同じくカエデにも嘘を付いてしまっている。だから嫌われようと捨てられようと本当の事を伝えたいと思った。
「何よ?」
「あ、あの......」
「止めなさい!!」
しかし、俺の言葉を遮るようにどこからともなく大声が聞こえてきた。
「な、なんだ?」
「あっちの広場から聞こえてきたわね。行ってみましょうか」
そう言って広場に歩き出すカエデ。
言いそびれちゃったけど仕方ないか、また落ち着いたときに説明しよう。
そう思い俺はカエデに付いていった。
「なんだなんだ?」
その広場には沢山の群衆が集まり、何かをしている。
その群衆の視線の先には大きな台の上に立つ女の子がいた。
「コアネール様!俺達は反対だ!!」
群衆達はどうやらコアネールという女の子に対して何かの抗議をしているようだ。
「ダメですの!これは決まったことですわ!」
「横暴だ!!」
女の子と群衆の言い合いは止まらない。
「カエデ、一体何があったのだろうか?」
「わからないわね......あの、すいません」
カエデは近くに立っていた男の人に話しかける。
「何かな?」
「これって何の抗議なのですか?」
「ああ、これは銅像の取り壊し反対の抗議なんだ」
男の話によると、サンベルスの中心にロバート・サン・サンベルスというサンベルス建国の父とも言われる英雄の銅像があるとか。
国民はその銅像を重宝し、心の拠り所にしている人もいるという。
それを急に取り壊すという発表が出され、数多くの抗議が寄せられているという。
「それでなんであの女の子に抗議してるの?」
俺は聞いた。
すると、男の人とカエデはまたしても驚きの表情を見せた。
「う、嘘でしょ......あなたコアネール・サン・サンベルス様を知らないの?」
「し、知らなかったらなんだよ!」
「はあ......」
カエデは深く溜め息をついた。
いや、常識がないのはわかってんだよ!!
「あの台に立っている女の子がコアネール・サン・サンベルス様よ。16歳にしてサンベルス王女、サンベルスを安定させ絶対的支持を持つ次期皇帝候補の才女よ」
「じ、次期皇帝候補!?」
「うん、めちゃくちゃ有名人よ。知らない人がいないぐらいに」
そうなのか......知らなかった。
皇帝と言えば帝国側の最高権力者である。
つまり皇帝の指示1つで世界の半分が動く、魔王様と対を為す権力者である。
なんか魔王様を見ているとそこまでの権力があるようには見えないけど、実際は世界の半分を牛耳っている絶対的権力者なのだ。
「ああ、それでコアネール様はお若いのに国のため尽力してくださっているのだが、今回は執拗にロバート像を取り壊そうとしていてね、反感を食らっているんだよ」
そう男は言った。
「うーん、コアネール様が何も無しにそんなことするとは思えないけど......何か理由があるのですか?」
「それが頑なに説明してくれないんだよ、一体どうしてしまわれたのか......」
「わかりました。ありがとうございます」
そう言うとカエデはペコリとお辞儀をして顔を上げる。
「ロイ、この問題は私達には関係のない問題だわ。早く宿屋を......」
カエデは振り返るがそこに俺の姿はなかった。
まさか!とコアネール様が立っている台の方を見ると、台の上に上る俺の姿がカエデの目に入った。
「おいおい可愛い王女様!何で銅像を壊すのかちゃんと説明してくれよ!」
俺は台に上りながら言う。
そんな優秀な王女様がこんなことをしているのに、どうしても納得いかなかった。
「あのバカ......」
カエデはズカズカと俺の方に早足で歩く。
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