第27話 魔剣ディアブロ
それからしばらく城内を探検し、城の屋上へと来た俺と魔王様。
外は少し明るくなっており、朝日が昇っている。
「ふー!やっぱこの時間、空気がおいしいね!」
屋上の縁へ歩き、伸びをする魔王様。
「はー、たくさん走り回ったので疲れましたよ......」
散々走り回り、疲労困憊の俺。
魔王様は元気で魔王様と遊ぶのはかなり重労働である。サイさんが言っていたことは本当だった。
「フフッ!もっと体力つけてね、お兄様」
そう朝日を見ながら言った魔王様。
「へっ?お兄様?」
「あっ!」
魔王様は振り返り、少し恥ずかしげに笑みを見せる。
「間違っちゃった......ロイロイとお兄様が少し似てるからさ」
そう言って目線を落とす魔王様。
「魔王様のお兄様と俺がですか?」
「うん、何となくだけどね」
「そうなんですね」
「でもお兄様の方がイケメンだったし背も高かったし強かったけどね」
さらっと言う魔王様。
「ですよねー、って言うか魔王様お兄さんがいたんですね」
魔王様のお兄さんか。
きっと魔王様に似て端正な顔立ちでスラッとしていて強いに決まっている。
しかし少し疑問なんだけどどうしてそのお兄様ではなく魔王様が魔王になっているのだろうか。
「あ、あの......魔王様」
「お兄様は5年前行方不明になったんだ」
そう朝日を見ながら言う魔王様。
「本当はお兄様が魔王になるはずだった。お父様もそれを望んでいたんだ。だけどお兄様はお父様が亡くなる少し前に突然姿を消した。お兄様もお父様もいなくなって、僕が仕方なく魔王になったんだ」
「そうだったんですね......」
「そっ!僕のお母様は僕を生んですぐに死んじゃったからもう僕には家族はいないんだ」
そうそよ風を浴び、綺麗な黒い髪を靡かせながら言う魔王様。
やっぱり魔王様がこんなに幼いのに魔王をやっているのにはそれなりの訳があった。
「でもね、魔王城のみんなが家族みたいなものだから。ランドは僕をずっと厳しく面倒を見てくれているし、サイちゃんはお姉ちゃんみたいに接してくれるし、他のみんなだって僕に優しくしてくれる」
だから僕も魔王として頑張れてるんだ!と笑う魔王様を見て、俺は激しく後悔をした。
魔王様は魔王城のみんなを家族と思っている。俺はこんな子を嘘を付いて騙してその家族の一員になってしまった。
それも魔王様はお母さんがいなくて、それで俺の母さんが病気だということを心配してくれた。そこに突け込んで仲間になった。
俺はなんて浅はかな人間なのか、そう考えると自然と涙が流れてきた。
それを見て魔王様は驚く。
「ロイロイ!泣いてるの!?」
「魔王様......俺はトンでもない大バカです」
「い、いや!ロイロイがバカなのは何となく気付いてたけどそれも個性だよ」
「いえ......そういうバカではなくて」
俺は魔王様に全てを打ち明けた。
母親が病気なのは嘘なこと、そんな嘘を付いたのは魔王様を狙う冒険者と旅をしているからであること。
これ以上魔王様を騙すのは出来ない、それならば俺は断罪されてしまった方が良い、そう思った。
「ふーん、そうなんだ」
それを聞いた魔王様は少し驚いたような表情を見せたが、冷静だった。
「はい、俺はここにいる資格のない人間です」
「いやいいよ、僕細かいこと気にしないし」
魔王様は今度は笑顔で言った。
「え......」
「お母さんが元気なら良かったじゃん。僕を狙う冒険者と旅をしているのも良いよ、ロイロイは本気で僕を狙ってる訳じゃないんでしょ?」
「そ、それはそうですが......」
「だったら良いよ。この魔王城には訳ありの人やモンスター達がいっぱいいる。そんなのは屁みたいなもんだよ」
それを聞いた俺は感激した。
魔王様は素晴らしい人だ。
こうやって色々な訳ありの人やモンスター達を救ってきたのだろう。
「その代わり!僕への尊敬の念を忘れないこと!それに僕のペットとして言うこと聞くこと!いいね!」
「はい!尊敬致します!ペットにでも何にでもなります!」
「よろしい!じゃあ早速なんだけど......」
魔王様は懐から何か小さい機械のような物を取り出した。
「へ?何ですかそれは?」
「これ魔王城の侵入者検知センサーなんだけど、この前ゴブリン達とサッカーやってるときに壊しちゃって、ランドに怒られるの嫌だからロイロイが壊したことにしてくれね?」
魔王様は首筋に手を当てながら言う。
マ、マジッスか......
しかし、話の流れ的に断れないので俺は了承し、ランドさんにこれでもかと言うほど怒られた。
でも魔王様に本当の事が言えてスッキリした!それに魔王様の事を色々知れて良かった。
これからはもっと魔王様のため一生懸命働こう!
「いやー!ごめんねセンサーの件」
ランドさんに怒られた後、俺は魔王様に魔王様の部屋に呼ばれ、訪れた。
「い、いえ......大丈夫です」
俺は2時間ほど説教され、憔悴し切っていた。
「そんなロイロイにお詫びのプレゼントがあるんだけど」
魔王様は部屋にある押し入れに体を突っ込み、何かをゴソゴソと探している。
「プレゼント?」
「あ、あった!」
そう言うと魔王様は体を引き抜いて戻ってきた。
その手には何やら黒い剣が握られていた。
「何ですかこれは?」
「これは昔魔王が使っていたと言われている伝説の剣、魔剣ディアブロ、攻撃性の強い悪魔の剣だよ」
な、なんだそりゃ......なぜそんな恐ろしい物をあんなオタク系の漫画やらイラストやらを入れている押し入れに置いてあるんだ。
そう心の中でツッコんでいた俺は魔王様の言葉に絶句する。
「これロイロイにあげるよ」
魔王様は剣を俺に差し出しながら言った。
「............へ?」
「これいらないからロイロイにあげるよ、僕剣はからっきしだし」
「い、いやいや!そんな歴史ある物をお菓子ちょっとあげるみたいな感覚でもらえないですよ!」
俺は困惑しながら断る。
いや確かにそんな強力な剣を手に入れられたらうれしいが、限度があるってもんだ。
「元々はお兄様が使う予定だった剣なんだけどお兄様はもういないし、どことなくお兄様に似てるロイロイに使ってほしいんだ」
そう言って俺に剣を手渡す魔王様。
「で、ですが......」
「それに僕はロイロイの才能買ってるんだよ、何となく強くなりそうな気がする」
「またそんな適当な......」
「適当じゃないよ!魔王の予言は当たるんだよ!」
「うーん......わかりました魔王様がそう言うなら」
俺は渋々剣の鞘を腰に装着し、剣を引き抜いた。
その剣はカエデから貰った透き通るように白く綺麗な剣アンヘルとは正反対に黒く禍禍しい刃筋の剣である。
あ、でも黒い剣ってスゴく中二病心がくすぐられる......
「良いじゃん良いじゃん、結構様になってるね」
「え?そうですか?カッコいいですか?」
「カッコよくはないかな」
「ですよねー」
「でも早くその剣を使いこなせるようになって僕を守ってね。ロイロイ」
そう言って笑顔になる魔王様。
同じことをカエデにも言われたな。
俺はカエデ、そして魔王様を守れるような男になれるのだろうか......
って言うか剣を2本も貰っちゃったけどどうしよう......
カエデから貰ったプレゼントと魔王様から貰ったプレゼント
どちらも捨てがたい......
面白い!続きが気になる!今後に期待!
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