第120話 父と娘
キンッ!!
しかし、その瞬間、カエデとメイドМの前に何者かが現れ、ジャックの剣を防いだ。
カエデの前に立つその男、同じ銀髪の男だった。
「ふう......何とか間に合ったな」
ギンがジャックの剣を刀で防いでいた。
「あ、貴方は......」
「ハアッ!!」
ガキンッ!!
ギンはジャックを剣ごと吹き飛ばした。
ジャックは後退し、着地する。
「な、何だ!?また増援かよ!!」
後ろを振り向き、カエデを見るギン。
カエデはギンを見て呆気に取られていた。
「まだ戦えるか?」
「え、ええ......」
「なら一緒に戦ってくれるか?流石にカード3人相手はキツい」
「わ、わかったわ!」
カエデはギンの横に並ぶ。
そして、同時に刀を構えた。
その構えは全く同じエーユエジル流の構えである。
(気付いてないか......無理もない、7年も経ったんだ)
無反応なカエデに対し、思うギン。
「チッ!!何人増援が来ようが同じだ!やっちまうぞキング!ジャック!」
「「ああ!!」」
「よし!行くぞカエデ!!」
「うん!お父さん!!」
「なっ!?」
ギンはカエデを見た。
カエデの横顔は少し微笑んでいるように見えた。
「......ありがとよ」
そう言ってギンは再びカードの方を向き、走り出す。
それと同時にカエデも走り出した。
「俺はキングとジャックをやる!カエデはクイーンを頼む!!」
「わかった!!」
そう言ってギンはジャックに斬りかかる。
キンッ!!
しかし、ジャックは剣で防いだ。
「誰か知らないが、なかなかやるねぇ!!」
ジャックはギンの攻撃を受け流すと、剣を引いて連撃を放った。
キンッ!キンッ!キンッ!
ジャックの攻撃を全て防ぐギンだったが、徐々に押されていく。
「くっ!はえーな......」
「俺の攻撃をここまで防げるなんて、只者じゃないねぇ!!」
(やっぱりブランクがあると身体が上手く動かん......)
キンッ!!
ジャックが強く斬りつけると、少しギンに隙が生じた。
「ほら!!終わりだ!!」
その隙を見逃さず、剣を突き付けるジャック。
「クソッ!!」
シュンッ!!
しかし、その瞬間メイドМが現れ、蹴りで剣の軌道をズラした。
「なっ!?」
ジャックの剣はギンの直ぐ横の空を斬った。
「今です!!」
メイドМは蹴り終わると、地面に倒れ込む。
「ああ、ありがとよメイドの姉ちゃん!!」
そして、ギンは素早い横斬りでジャックを斬った。
「グアアアアアアアッ!!!」
ジャックは吹っ飛び、倒れ、気絶した。
「ジャック!!クソッ!貴様!!」
キングは地面に手を付けた。
すると、みるみる地面は凍り付く。
そして、ギンの足が氷漬けとなり、動けなくなる。
「な、何っ!?」
「お前の動きは厄介だ、こうして仕舞えば動けまい」
キングは手に氷柱を生成する。
しかし、その瞬間、キングに光が集まり始めた。
ギンがキングをじっと見つめていた。
「な、何だこれは!?」
「くらえ!!ルミナス・ブラスト!!」
チュドォォォォン!!
その瞬間、キングに集まった光が爆発した。
「グハッ!!!」
キングは吹っ飛び、倒れ、気絶した。
「ハア.....ハア.....やった......」
ギンは目を押さえて膝を付いた。
「ジャック!!キング!!」
クイーンはジャック達がやられた方を見た。
「油断したわね!!」
ガシッ!!
カエデはクイーンにタックルし、抱き着いた。
「し、しまっ......」
その瞬間、カエデは全力で電撃を流し込んだ。
ビシビシビシッ!!
「グアアァァァァ!!!」
「今回は刀を伝ってではなく直に!!ありったけの電撃くらえ!!」
ビシビシビシッ!!!
カエデは残った魔力を全放出する。
「グアアアアアアアアッ!!!」
シュー......
クイーンからは煙が上がる。
そして、静かに倒れ、気絶した。
「ハア......ハア......」
カエデは気絶したキング、クイーン、ジャックを見た。
「た、倒した......」
ドサッ......
尻餅を付き、座り込むカエデ。
それを見て、ゆっくり歩き近寄るギン。
「カ、カエデ、ケガはないか?」
「......」
カエデはギンを見る。
「全く、ケガだらけよ」
「大丈夫か?」
「......大丈夫な訳ないでしょ」
カエデはそっぽを向く。
「......強くなったなカエデ」
「......」
カエデはそっぽを向きながら口を開く。
「......ホントに、心配したんだから、生きてるなら連絡ぐらいしてよ」
そう言って涙を流すカエデ。
「カエデ.....ありがとな」
それを少し離れた位置で見つめるメイドМ。
そして、立ち上がり、後ろを向いた。
「待って!!」
それを見て、声をかけるカエデ。
「......」
「貴方がいなかったら確実にやられてた!どこの誰かわからないけど、どうもありがとう!!」
それを聞き、立ち止まるメイドМ。
そして、少し微笑みながら口を開いた。
「カエデ様、貴方は強くなります。今よりもずっと」
そう言うとメイドМは消えていった。
それを見て、アルガンド城の方を見るカエデ。
「レイカ、約束は果たしたわよ。後は頑張りなさい」
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