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第121話 魔王VSジョーカー

アルガンド城門の前。


石畳の上で、レイカとリアが向かい合う。

2人が見つめ合う場は、風が唸り、空気が張り詰めた。


「さあ、覚悟しろ! 魔王レイカ・ユミナル・ダーク!!」


リアの背後に、赤々と燃える火球がいくつも浮かぶ。

同時に、周囲の空気が唸りを上げ、鋭い風刃が形を取った。


「お前こそ覚悟しろよ、ジョーカー!!」


レイカの周囲にも、黒く濁った闇の球が次々と出現する。

その一つひとつが、周囲の光を吸い込んで歪ませた。


「「ハアッ!!」」


同時に魔法が放たれる。

空が白く弾け、轟音が辺りを裂いた。


ドドドドド――ッ!!


炎と闇がぶつかり、風が巻き起こる。

熱気と冷気が入り乱れ、砂が舞い上がる。


(火、水、風のトリプル……僕の苦手な複数属性使い。厄介だ……)


(闇魔法、出が早い……。威力も速さも予想を超えてる。隙を見せたら直ぐにやられる……)


二人の思考が戦場の中で交錯する。


ダッ!!


リアは魔法の爆風を踏み切って跳んだ。


「ハアッ!!」


上空から一直線に蹴りが降る。


「ハッ!!魔族の僕にただの人間の女の子が肉弾戦を挑むなんてね!」


レイカは両腕を交差して受けた。

だが、衝撃は想定外の重さだった。


「ぐっ!!なっ!?」


ドガァッ!!


地面が抉れ、レイカの体が叩きつけられる。

衝撃波で土煙が舞い上がる。


「ガハッ!!」


リアが追い打ちのように掴みかかり、拳を振り下ろした。

乾いた音が響く。


「グッ!!」


血飛沫が地面に散る。


「このっ……!!」


倒れたままのレイカが足を振り上げた。


リアは素早く後退する。


レイカが口端を拭うと、赤い血が指を汚した。


「いてて……女の子の顔を殴るなんて、やってくれるじゃん」


「言ったでしょ。リアは本気で魔王を倒すって」


「ハッ!本当は僕の方が可愛いから妬んでんじゃないの?」


「下手な挑発だね」


リアの目が冷たく光った。


(……今の蹴り、何だ?人間の身体じゃない。筋力だけじゃ説明できない重さだった……)


リアが隣の岩に手を掛けた。


ゴゴゴゴ……!


地面が震える。

リアはそれを軽々と持ち上げた。


「えっ!? 何でそんな岩を持ち上げられるんだ!?」


「ハアッ!!」


それを回転とともに投げ放つ。

巨大な岩塊が唸りを上げて飛ぶ。


「くっ!!」


レイカは腕に闇を纏わせ、一撃で砕く。


ガンッ!!


破片が弾け飛ぶ。

その瞬間、目の前にあるはずのリアの姿が消えていた。


「い、いない!?どこだ!?」


直後、背後に気配を感じる。


「後ろか!!」


咄嗟に背後を見るレイカ。

そこには腕を振り上げるリアがいた。


「ハアッ!!」


パシッ!!


反射的にレイカはその腕を掴んだ。


「なっ!?」


「オラァァ!!」


地を割るような音とともに、リアの身体が地面に叩きつけられた。


「ぐあっ!!」


レイカが拳を振り上げる。


ドゴンッ!!


しかし、リアは横転して避け、砂煙の中から跳ね起きた。


そして、少し距離を取る。


(力は異常……でも、打撃の威力は低い。重さを制御してる?まさか――)


レイカが睨みながら呟く。


「まだ隠してる能力があるな……」


翼を広げ、レイカが飛翔した。

風圧で地面の砂が吹き飛ぶ。


「針千本喰らえッ!!」


闇魔力を帯びた髪が針のように射出される。

リアは地を蹴り、風魔法で速度を上げて避ける。


そして、足元に竜巻を生み出し、跳躍した。


「た、高いっ!?」


「くらえ!!」


上空から蹴りが再び降り注ぐ。

レイカは咄嗟に交わし、その足を掴む。


「なっ!」


「やっぱり!そういうことか!!」


レイカは掴んだまま急降下した。

風が裂け、耳鳴りが響く。


「離せっ!!」


「嫌だね!」


ズドォォォォォン!!


そのままレイカがリアを地面に叩きつけた。


地面が爆ぜ、衝撃波が辺りを薙ぎ払う。

砂と瓦礫が舞い上がった。


レイカは距離を取りながら言う。


「どうだ、効いただろ?」


「ゲホッ……ク、クソッ……!」


リアは血を吐きつつ立ち上がる。


「お前の能力わかったよ。触れた物の重力を操ってるな?」


リアは口を噤む。


「上空からの蹴りの威力も、岩を投げた力も全部重力を操っていた。そうだろ?」


「……で?分かったところで何になるの?」


「フッ……強がっていられるのも今のうちだよ」


「それはこっちのセリフ!!」


リアが地面に両手をつく。


ゴゴゴゴゴッ!!


地面が盛り上がり、レイカの足場が崩れた。


「なっ!?これは……土魔法!?4つ目魔法属性!!」


次の瞬間、地割れの隙間から水が噴き出した。


ブシャアアアアアッ!!


「こ、これは地下水!?」


リアが両手を振り下ろす。

水流が巨大な鞭のようにうねり、レイカを飲み込む。


「くっ……!」


翼を広げて逃れようとするが、追い打ちの波に呑まれた。


(まずい!僕、泳げな……)


冷たい水の中で、リアの腕が絡みつく。


「逃がすか!」


「ぐっ……!」


必死にもがくが、力が抜けていく。


(マズい……息が……!)


レイカの目が見開かれる。


(待て……この水、魔力を帯びてる……なら!!)


全身から闇魔力を放出。

水が黒く染まり始めた。


「なっ!?何を……!」


「ハアッ!!」


次の瞬間、水は弾け飛んだ。

闇の波動がリアの魔力を喰らい尽くしていく。


「水を操り返した……!?」


二人は水から弾き出され、地面へ落下した。


ズシャッ!!


「離せッ!!」


レイカはリアの腕を掴み、勢いよく投げ飛ばす。


「くっ!!私の魔力を闇で喰ったのか!?」


「正解!じゃあ、お返しだ!!」


レイカが手を掲げる。

黒く染まった水が暴風のようにリアを襲った。


ドゴォォォォン!!


リアの体が城の塀に叩きつけられる。

砕けた石壁が散り、黒い水が地面に落ちる。


「ガハッ!!」


血を吐き、リアが崩れ落ちた。


「ハァ……ハァ……」


レイカも膝をつき、肩で息をする。


「危なかった……四属性の魔法に重力操作……本当に、化け物みたいな能力だよ」


「ハァ……ハァ……まだ……倒せないなんて……!」


二人は傷だらけのまま、睨み合う。

荒れ果てた城前に、風だけが唸りを上げた。

面白い!続きが気になる!今後に期待!


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