軽井沢編17 禁断の果実
馬鹿な僕は禁断の果実に手を出した。
前にも書いた、釣り堀、パターゴルフの金だ
この頃のアルバイトと協力して金を集めた。
会社が守ってくれたのも関わらず、恩をあだで返す行為だ。
でも、まだまだ20代前半の僕にはこんなことしかできなかった。
いや、もう自暴自棄になっていたしどうでも良かった。
でも、僕は一旦立ち止まって考えた。
考えた末その金を置いた。
一枚だけ封筒に入れ、封筒へ
「慰謝料」
と殴り書きをした。
色々と考えた末
どこまでも腐るつもりはなかった。
一枚だけ拝借して後の金は置いてきて見て見ぬふりをした。
あと、糞くだらない命令の30日間の禁酒も即破った。
なんで社会人で禁酒とか・・・・意味わからなIと思って、わざとゴルファーズロッジの自動販売機でビールを買って、皆が見えるところで呑んだ。
ビールを飲みほしたところで、ハリオを呼び出した。
「はい。慰謝料です。」
封筒の中身が薄すぎることに気が付いたハリオは言った
「慰謝料ってこういうものですか?」
「はい。こういうものだと思います」
金額を確認してハリオは絶句した。
「兄貴に聞いた感じの金額と違うのですが・・・・」
「金額の問題ですか?僕が今ある全財産でハリオさんへの償いを表しました。何なら通帳その他見せましょうか?」
「・・・・・」
ハリオは考え込んだ。
「納得いかなければ、その兄貴に相談して、内容証明でも何でも出してきてください。その場合私も全てその兄貴にお話しますし、それなりに出るとこ出ます。」
「わかりました・・・」
何が解ったのかは解らないが、僕はこれでこの場を去った。
今考えると滅茶苦茶な理論だが、追い詰められたら前に出るしかないのでこうなった。
どうしてもハリオを黙らせたかった。
でも、この件はあっさりとこれで終わった。




