ヒーローと爆発
「ダマ、いやマゼンタ、敵はどこにいるかわかるか?」
「そういうのはどっちかというとブラックが得意だぜ?犬だし・・ぷぶぅふぅ!」
「・・・とても近くにいますね」
「そか、ありがとう。逃げてはいないんだな。
だよなぁ、犬なのにね、猫って・・・ぷ」
ギロッと俺とマゼンタが睨まれた。
あぁ怖い!
そういやあの子に頭上からの攻撃に注意。って言われたな。
つまり上向いてれば敵はいる!
「うは!マジでいたっ!!」
男は気づかれて物凄い勢いで飛んで俺達から離れた。
人間あるまじき速さと跳躍力!!
「あれは、私たちと同じ元は動物ですね」
「同種と戦うとか気分的にきついなー!あんな奴研究所にいた??」
「いなかった。」
「そんなのいいからなんか倒す方法プリーズ!」
「たぶん素手で倒せる」
「わかった!とりまマゼンタいっけぇぇえ!」
「言われなくても行くけどな!俺のパンチを食らえー、1ヒット!2ヒット!3ヒット!」
うわ速い!一瞬見えなかった!
てかダマ強っ!
「ぐふぁあ!」
敵が空中で行ったり来たり、かなり無惨なことになっている。
「よし!!ブラック!GO!」
「了解」
瞬間移動!?
一瞬にして敵はブラックのドロップキックか何かで地面に埋まっていた!
「ちょ、ブラックおま!俺巻き込まれかかったよ?!」
マゼンタが腰を抜かして地面に倒れていた。
「当たっても死なないから、たぶん大丈夫」
「「怖っ」」
その時だった。嫌な気配を感じた。
今まさに埋まっている敵から。
「まずいんじゃね?第二形態かなにか?!へぶしっ!!」
いきなり敵から生えた蝙蝠のような翼によってマゼンタが飛ばされた!
マゼンタ不運だな!
「でっかい蝙蝠だな、・・・てか某ゾンビゲームに出てきそうな感じで、気持ちが悪いぜ。」
もはや人間もは言えない姿になっていた。
人間の身体をベースに蝙蝠のような顔、翼、そして胸から下腹部にかけてグチャグチャした表皮とも内臓とも言えない肉が動いている。
「たぶん理性とかは無いでしょうね。そして、また人間状態になれるかも怪しいです。」
「どうする?」
「どうしましょうか、明らかに強いです。きゃっあ!」
ブラックが今度は吹き飛ばされた!
翼じゃなくて今度は触手?!
レパートリー自重だろ!!
「てか・・・セリナに触手プレイだと!?この変態があぁぁぁあぁあああ!!!」
とりまなんとかコイツを倒したい!
俺の内にいるアイツが出てくる感覚がしたが、ある程度まで来てそれが止まった。
「ふぃぎゃぃぁぁあぁあ!!!!」
完全に化け物と化した敵が咆哮をあげる。
今にも俺に襲い掛かろうと飛び上がりグチャグチャした肉がさらに動き、蝙蝠男の身体で自体が巨大化し始めた!!
「ははっ・・・すげぇ。でも、このくらいがちょうどいいかも」
ダマとセリナが呆然としているが、俺は心が躍るようだった。
そうだ、こういうのが倒せてやっと、ヒーローだろ!
小石を拾い上げで、頭の中で集中する。
あのデカブツグロテスクだけを引き裂き、爆散させる。
イメージをして、それを確実になしてやると心に決めて、イメージをより具体的にしていく。
どこが弾けるか、どこが切れるか、どのくらい飛んでいくか、時間はどれ程で終わらせるか、考えていくうちに楽しくなる。
デカブツグロテスクが攻撃してこようと触手を俺に向けるのがわかった。
もうこのくらいでいいだろう。
デカブツグロテスクに向けて小石をを投げて呟く。
「飛び散れ、デカブツ」
次の瞬間、体から力が抜けていき、同時に目の前では「ぎぁぁあかぁぁごぁぁぅぁぁあぉぁぁ・・・」という声とも音とも取れぬ音と共に、ゴリゴリと音を立てて血飛沫や肉片が飛び交っていた。
あぁ、・・・綺麗だ。ヒーローが敵を倒すときは爆発でなきゃな。
そういえば少し前にも似たような事があったなと思ったあたりで意識が飛んだ。
+++
暗闇で人の声が響く。
それは電話のようで、相手の声も静寂を破って響く。
「先輩、愛理高校付近の公園で見失った標的『バット』っすけど、工場建設場の内部にて発見しました」
「わかった、報告しろ」
「了解。標的ですが、変異した後に何者かによってそれはもう見るも無惨にグチャグチャにされてました」
「・・・そうか」
「恐らくはもう一人の標的『ドラゴン』との仲間割れではないかと思われます。今推測できるのは以上です」
「わかった戻ってこい」
それ以降、暗闇から声が聞こえることはなかった。




