プロローグ 1
「なんだこのなまくらは!?こんなの刀じゃないじゃないか!!」
「あぁっ!?てめぇ雇い主に対してなんて口のききかただ」
火花散る工房に強面の白いタンクトップのおっさん…一応今の俺の雇い主が怒鳴る
俺は今つくられたばかりの整っていない脆い刀を手に取って小言をいう
「これだから売れないんだ…」
それを地獄耳の雇い主は拾ってまたまた怒鳴りつける
「鍛冶スキルがEXだからって調子こいてんじゃねぇぞ!!こういうのはないかに速く造るかがものをいうんだよ。そんなに俺のやり方が嫌なら出ていけ!!」
その言葉を聞いた俺は頭にきて額に巻いていたタオルを床に叩きつけると
「あぁ、そうかよ。じゃあ出ていかせてもらいますよ。せいぜい刀(笑)でも作っていやがれ」
俺は工房の扉を開けて皮肉たっぷりに言ってやった。そして夕暮れの町へと出た
「はぁぁぁ」
思わずため息が出た
啖呵切って鍛冶屋をやめたまではいいが実はあそこで五件目のやめた職場である
そう、絶賛無職へとジョブチェンジしたのだ
「おう、見習い鍛冶屋じゃねえか。仕事はどうしたんだ」
「あんなところやめてやったよ」
「そうかいそうかい、まあ頑張りな」
そういって獣人の男は去っていった
はじめにいっておこう
ここは俺の元々いたところとは違い超高層ビルもないしコンビニもない、車も走っていない
ここは日本じゃないところ、かといって外国でもない。すなわち異世界なのだ
そんなアバウトな感じでいいのかって?大丈夫だ。日本も異世界も何も変わりはしない。ただ魔物がいたり魔法が使えたりするだけだ。一般人同然の俺には全く関係ない
まったく嫌な話だぜ
俺は何することもないため帰路につく。異世界にきてはや半年、想像していた美少女イベントも起きないしむしろ元の世界より生活は悪くなる一方だ
「おい、兄ちゃん…金かしてくれねぇかな?」
俺の借家は路地裏にある人目のないところにあるボロ住居だ。もちろんお約束通りごろつきがおおいわけで
今のように三人ほどの柄の悪い男に絡まれる
「い、いやーちょっと生憎の一文無しでして…見逃してはくれないですよね?」
ニッ、相手のリーダー格の男が口元を吊り上げる
「やっちまえ」
俺はぼこすか殴られまくりあの忌々しい鍛冶屋からかっぱらってきた鉄鉱石やらも盗られた
この世界では日常茶飯事だ
俺は小川の流れる橋のふちに座って一人遠い空を見上げて呟く
「はぁぁぁ、なんか俺の思い描いていた異世界生活と全然違うな。なんでこうなったんだろう…」
そうして俺は異世界に来ることとなったきっかけを思い起こす…




