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追放勇者とコップ一杯の水 -神様はアホなのか?-  作者: ねこ


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11話

 ガストン氏の屋敷で豪華な夕食と柔らかなベッドを堪能した翌朝。


 一階の広間に降りると、そこには昨日のリナの言葉通り、三人の少女たちが待ち構えていた。


「あなたがサトウさんね! リナを助けてくれたこと、それに私たちの依頼を手伝ってくれるってこと、本当に感謝するわ!」


 リーダー格らしき少女が快活に笑う。集まったのはリナと同年代の、まだ幼さの残る三人組だった。

 この事実に思考が揺れる。

 少女たちが武器を携えていることの驚きもあるが、それよりも何よりもリナを含む彼女たちの警戒心のなさにだ。


(……おいおい、リナ。俺が男だってことを忘れてないか?)


 妙齢……というには少し早いが、若い女の子たちのグループに男一人が混ざる状況に、俺は居心地の悪さを感じて気まずく視線を泳がせた。


 すると、そのうちの一人と目が合った。ぴんと立った三角形の耳、そしてお尻から伸びたしなやかな尻尾。いわゆる「獣人」の少女だ。

 街で見かけることはあったが、いざ同じパーティーとして背中を預けるとなると、その珍しさにどうしても視線が吸い寄せられてしまう。


「……あたしの顔に、何かついてるっスか?」


 猫耳の少女が不思議そうに首を傾げた。リナがすかさずフォローに入る。


「ごめんね。サトウさんは王国から来たばかりなの。あっちではほら、獣人の人は珍しいからつい見惚れちゃったのよね?」


 そう言われて、俺は王国に召喚され、そして追放された日を思い出す。確かに、ここに比べて閉塞感漂うあの国では人間以外の種族を見かけることはなかった。

 この都市国家がいかに多様で自由かを、彼女の耳が物語っている。


「悪い、珍しくてな。まあ、よろしく頼むよ」


「あっちの連中は排他的だって聞くっスからね。嫌じゃないんなら、気にしなくていいっスよ」


 挨拶もそこそこに、俺は彼女たちに連れられて冒険者ギルドへ向かった。

 張り出された依頼の中から彼女たちが選んだのは、「東の森に生息する大型猪系モンスター『グレートボア』の素材採取」だった。


「最近、工芸品の材料が足りなくて、ギルドからも推奨されてる依頼なの」


 大型、と言われてもピンとこない。俺は今まで、どんな巨大なモンスターも「水の一閃」で豆腐のように切り裂いてきたからだ。


(まあ、冒険者にとってはこれが手頃な難易度なんだろうな)


 自分の感覚がレベルアップと共に麻痺しつつあることを自覚しながらも、俺は「そういうものか」と納得する。


 俺はギルド内では「助っ人」としての署名だけを済ませ、彼女たちの後に続いて街の東門を抜けた。


 賑やかな少女たちの話し声を聞きながら、俺は他人から見た自分の実力がどれほどのものなのかを確認するため、――そして「助っ人」としての初仕事という新たな挑戦へと足を踏み出した。

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