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人狼ゲーム -八つ目の大罪- 作者:寂尾蘭太
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29、身内切り

桃山日菜々さん、あなたは【人狼】です。
赤くそう書かれ、不敵に笑う狼のイラスト。

配役時から、そう表示されているお腹の前のモニター。
私はそれに触れる。

はあ、よかった……
何とか勝てたや。

羽賀「……お前が人狼?」

まだ殺していない唯一の男へ、私は目線を上げた。

日菜々「そうだよー
あんたも牧村もただの村人!
あんたらは私を狂人と決め打ち、お互い相手が人狼だと勘違いしちゃった残念村人仲間だよ!」

羽賀「まじかよ……」

羽賀の顔が絶望に歪んだ。

日菜々「牧村は死ぬ前うっすら気付いたんじゃないかな?
最期の村人カミングアウトも、私じゃなくてあんたに言ってたように聞こえたし。

もうさー、あんたらさー
ちょーうけんだけど!
村人同士のくせに言い合い白熱しだすし、笑うの我慢出来なくて、顔を手で隠すしかなかったもんね」

両手を顔の横でひらひら舞わせた。

羽賀「……な、何で?いやいや!
お前は狂人確定だって……」

日菜々「あー、泣きながらカミングアウトしたあれ信じちゃったの?
女の子の涙がどうとか言ってたから、ああいう演技にしてみたけど、正直あんたのことひいてたからね私。
うわあ、きも!こいつ無理だわって」

大袈裟に両手で肩を抱く。
でもゲーム中に本当に思ったことだもん。

羽賀「え?だって……は?じゃあ……え?
いやおかしいだろ!
俺達はどこで間違えたんだよ!
なにが起こってたんだよ!」

日菜々「えーまだわかんないの?
人狼の噛みはもちろんのこと、あんたら村側の4回の処刑すら、全て私の手のひらの上にあったことをさ」

羽賀「な!うそだろ」

日菜々「いや気付けよ。
だって4回とも私の投票先が吊られてるじゃんか!」

はっとした顔になる羽賀。
何もわかってないのか。仕方ないなー。

日菜々「そうだなー……まあ簡単に説明してあげると、
占い師は戦犯。狂人はファインプレー。
村人チームの敗因はこの2つ」

羽賀「ああ?
てか結局、誰が占い師で、誰が狂人だったんだよ!」

日菜々「はは、わけわかんないよね村人は。
順を追って教えてあげるよ。
死ぬ前にね!」

羽賀「うっ……お前」

日菜々「ふふ、最初から教えてあげる。
まず私は役決めで人狼を引いた。
いやー、ラッキーって思ったよね」

羽賀「は?ラッキー?
人殺す側引いてラッキーだと?」

日菜々「え?だって人狼なら、夜に殺されることはないじゃん!単純に死ぬ確率半分になったんだから!」

羽賀「お前……こんな状況でなんて発想だよ」

日菜々「いやこんな状況だからでしょ!
自分に危機が降りかかった時、冷静に生き残るためのことを考えて何が悪いの?

まあ、いいや。そこは重要じゃないから。
で、私その時パートナーも確認したんだけど、初日に絶望したの」

羽賀「絶望だと?」

日菜々「うん、パートナーの演技の下手さにね!
こいつ役に立ちそうにないし、足を引っ張られたら、私まで人狼仲間と透けてしまうだろうって!
だから早々に決めたの」

羽賀「な、何をだよ?」

息継ぎし答える。

日菜々「こいついらない。切ろうって」

羽賀「なっ……」

日菜々「いやーそいつを人狼だと知りながら見てた私の気持ちも考えてよね?
ひやひやするくらい下手だから。
人狼ひいて手震えてるわ、言い訳は主観ばっかだし、挙句ノープランで占い師って言い出す始末。
おでこにペン投げられた時は、さすがにイラっとしたなー」

羽賀「まさか……お前のパートナーって」

日菜々「そう、私と桐生星華が人狼だよ」

もう1人の人狼は【桐生星華】さんです。
と書かれた赤い文字に目を落とす。

まあ、そりゃ手も震えるかな。
私はあの時、灰ちゃんの死体を見て取り乱してた。
そんな私と2人で人狼だなんて配役を渡されたら、焦りもするよね。

羽賀「じゃあ俺達は初日から、いきなり1匹処刑出来てたのか?」

日菜々「そゆこと!つまり人狼の襲撃は、全て私1人でやってた。
タッチパネルでの会話なんか一度も使ってないもんね」

羽賀「いやいや、待てよ!
なら、占い師3人に人狼が2人とも出てたのか?」

日菜々「うん!私が3人目に占い師って言ったのは、人狼と狂人の連携ミスを装い桐生をローラーで殺すため。
初日から執拗に桐生を責めて処刑する。
そして霊能者の結果、人狼って言ってもらう。するとローラーは止まるし、私は比較的白くなるでしょ?」

羽賀「つまり初日の決選投票は、人狼と人狼の撃ち合い……
地獄の決選投票だったのか。
でもそんなことして自分がまずローラーで死ぬ可能性もあっただろ?」

日菜々「ふふ、あなたギャンブラーのくせに変なこと言うね。
だから三流なんだよ。
リスクを負わないで、人なんか騙せないじゃん」

羽賀「……」

日菜々「それに3人目のカミングアウトだし、信用勝負で桐生なんかに負ける気しなかったもんね」

羽賀「と、とんでもねえな……初日から人狼が人狼を殺しにかかるなんて」

日菜々「そんなことするわけないって、固定概念だよね。
それに、私達はもともと人間社会に潜む人狼だってセイギノミカタも言ってたよね?
みんな誰からも理解されない一匹狼。
人を利用することはあっても、仲間と信頼しあって戦うなんて無理に決まってるじゃん」

羽賀「……」

日菜々「でも桐生は怖かっただろうね。
人狼ひいてどうしようってなってる時に、唯一の仲間の私から執拗に責められて、周りからも疑われる。
自分が人狼だって言うわけにいかないから、言い訳も上手く出来ない。

ふふ、てかさー!
あいつ何で吊られる前に笑ったの?
自分の過去の罪でも思い出してたのかな?」

羽賀「……俺が知るかよ」

日菜々「……あっそう。
うーん、私と目が合ったからかなー
私もあの時笑ってたし」

羽賀「お前……パートナーが死ぬ直前、笑ってたのかよ」

日菜々「え?そうだよ?
よかった。私は実は人狼で、仲間は桃山日菜々だってバラすことなく死んでくれてよかったーって」

羽賀が軽蔑した目を向けてくる。

日菜々「んで、次は独断と私情で斉藤を殺して、人狼判定を出した霊能者前島に占い師として黒出しした。理由わかる?」

羽賀「……知るかよ」

日菜々「そうすれば、桐生か前島のどっちかが人狼だってなる。
なら、どっちとも敵対した私は人狼ではないだろう、とみんな思うでしょ?」

羽賀「そ、そこまで計算済みかよ」

日菜々「いやー前島は厄介だったなー。
初日の探偵としての勘で私人狼だって言い当ててるしさ。
でもあの時、ミスしてたんだよね。
前島は前日のカミングアウトから、十中八九霊能者だと思ってたけど、万が一狂人の可能性もあった。
私の目的は、桐生を霊能者判定で人狼と出してもらうこと。
だから前島が桐生を人狼と言ってくれた時、つい安心して声に出してほっとしちゃったんだよね」

羽賀「それの何がミスだよ」

日菜々「私は占い師として、前日に前島を人狼と占ってる設定なのに、そこでほっとするのっておかしいじゃない。
人狼の出す結果なんて信じちゃダメなんだから。
だからあれ指摘されたら、まずかったよ」

羽賀「……全く気づかなかった」

日菜々「ダメだなぁ。
そういうさり気ない仕草、セリフもヒントなのにさ。
じゃあ問題だよ。その時、私が一番悩んでたことは何でしょう?」

羽賀「……悩む?どうやって信用を得て、前島を吊るかか?」

日菜々「はずれ。
仕事終わった霊能者だし、占い師から人狼判定出されてるし、前島吊れば1匹は死ぬって安全策にみんな行き着くだろう。
そう思ったからそこはさして困らなかった。
……織田だよ。織田の扱いだよ」

羽賀「織田?」

日菜々「そう、織田さん。
占い師の2人は人狼。私から見て、織田さんが本物の占い師か、狂人かわからなかった。
まあ8割くらいで本物、狂人がどこかに潜伏してると考えてたんだけど、
そこである奇妙なことを言うやつが現れた」

羽賀「奇妙?……まさか、山井か?」

日菜々「その通り!いきなり役職があるって言い出したじゃない?
あの時私から見れば、霊能者は前島。騎士があの場面でカミングアウトする意味ないから、隠れてた狂人がついに出て来てくれたのかと思ったの。

でも私が人狼だと言い出した。
昨日占い師ローラーの時に、桐生を怪しいと言ってたのにね……」

羽賀「えっ?つまり?」

日菜々「わかんないかな?
前日に桐生が怪しいと言って投票してるのに、次の日に意見変えて私も人狼と言い当てたのよ?私のこと怖がってたしね。
前島の霊能結果を考慮しつつ、執拗に占い師を全員殺したがってた。
夜の間に、私が人狼だと言う確かな情報を手に入れたから、だと思わない?」

羽賀「は?……おい、まさか!」

日菜々「そういうこと。
山井は潜伏してた本物の占い師だったのよ」

羽賀「そんなバカな!!……なら織田は」

日菜々「織田さんが狂人。
つまり占い師3人の内訳は、人狼、人狼、狂人ってこと。全員嘘つきだよ」

羽賀「初日から人狼チーム全露呈だと!
そんなバカなことが……」

日菜々「ふふ、私含めてあんなポンポン出て来る占い師誰も信じちゃダメだよ。
本物の占い師の悩みは、ゲーム終了時にほぼほぼ生き残れないことなんだからさ。

でもまあみんなは、占い師3人も出て本物いないなんて思わないよね?
つまり山井の視点で、初日でゲーム終わってたのよ。嘘つきを3人見つけたからね。
ね?戦犯でしょ?占い師の情報なしで戦って、村人チームが勝てるわけないじゃん」

羽賀「……」

日菜々「さすが怠惰の大罪。
いやまあローラーする流れだったし、4人目に占い師って言っても、人狼達と一緒にローラーされる可能性もある。
既にローラーしようって話になってたし、保身に走って言えなかったのもわかるかな。これは遊びじゃない命懸けなんだからさ。
ただ山井が占い師カミングアウトさえしていたら、占い師全ローラーで村人の勝ちは初日確定してた」

羽賀「……」

日菜々「だからその夜に噛み殺してやった。真実を闇に葬るためにね。
さよーならー無能占い師、ってね!」

羽賀「……でも可能性として山井が狂人の目もあっただろ?
2日目の織田の占い結果は、山井が白。
これじゃあ織田と山井のどっちが占い師か狂人かは確定出来ない筈だから、あれはベグだったってことか?」

日菜々「まあベグだけど、ほぼ確定だよ。
山井が狂人の方なら、2人の人狼が占い師と名乗ってることはわかってる。
2日目に私を殺したいって言って投票してきた時点で、山井が占い師の方だってわかるじゃん」

羽賀「……そうか」

日菜々「さて、では次に3日目。
占い師も殺したことだし、ここで重要なのは狂人の織田に私が人狼だと伝えること。
狂人織田からすれば、私は本物の占い師か人狼だからね。
さて、どうやって伝えたと思う?」

羽賀「まさかお前……
……えげつねえな。
よくそんな方法を実行出来たな……」

日菜々「あは!これはわかったみたいだね。
この状況で、私が占い師じゃなくて人狼のほうだよって、狂人にだけ伝えられる方法ってひとつしかないもん」





このゲームの配役

1、前島康隆………霊能者
2、羽賀亮也………村人
3、牧村芽衣子……村人
4、織田武臣………狂人
5、山井小百合……占い師
6、九十九一………騎士
7、桐生星華………人狼
8、斉藤章三………村人
9、桃山日菜々……人狼
ここまで読んで下さり本当にありがとうございます!!
完結まであと3話です!
最後までお付き合いいただければ幸いです。
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