挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
人狼ゲーム -八つ目の大罪- 作者:寂尾蘭太
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

23/33

22、スケープゴート

独白
『憤怒の大罪』



「あー授業ふけて、校舎裏で吸うタバコうめぇな」

「でも先生に見つかったらやばいぜ?」

「あ?大丈夫だよ。センコーなんか怖くねえし」

「担任や副担ならそうだけど、
もし生徒指導のオダセンに見つかったらさ……」

「おい、おのれら!わしに見つかったらなんや言うとるんじゃ!」

「げっ!オダセン!」

「痛え!」

「おのれら覚悟せえよ!生徒指導室こんかい!」





わしは教師じゃった。

高校の生徒指導。
生徒指導に就任する前は、ただの数学担当やったが、身なりから雰囲気から生徒指導に抜擢されたと言っても過言やない。
未来ある可愛い生徒達を怒鳴りつけ、間違いに気づかせる仕事。

生徒と関わりが深い時は、叱る時。
そして生徒指導のわしが叱る時など、大抵どうしようもない悪ガキ相手で、手をあげることも珍しくなかった。

わしは叱る時は極力、感情的に怒るようにしとった。
人の感情を動かすんは、これまた感情。

わしはいわゆる悪役じゃった。

だいたい叱られとるガキは、鬱陶しそうに、恨めしそうに、恐怖し見てきおる。
教師とは、憎まれようが言わなければいけん時がある指導者。
悪役は仕方あらへん。

じゃが、そこを乗り越えわかりあえる生徒もおった。

「オダセンおはよー!」

「おう!また悪いことしとらんな?」

「してねぇよ、オダセンのしばき痛えからなー」

わしはそれが好きやったし、これが正しいと思とった。

しかしそれは間違いやった。

1年前の話じゃ。





「援交なんてしてないもん。
それが私だって証拠は?
本名で援交してるやつなんかいるわけないと思うけど?」

「逮捕された男が全部吐いとるんじゃ。
警察からの証拠が揃っとるんやから、もう観念せんか!」

「ふーん、でも何がダメなの?
ただ私は友達の友達に紹介されただけだもん。それに今時みんなしてるじゃん!」

「……おのれ、わしをなめとんのか?」

「なめてるよー!ならどうするの?しばくの?」

「なに?」

「私女子だよ?今そうゆう体罰とかうるさいけど大丈夫なの?」

「ああ?」

「体罰とか、下手し教育委員会だね!
オダセンだって怖いんでしょ?」

「ええ加減にせんか!!」

叩いた。感情的に平手で思いっきり。

「きゃっ!」

女子生徒の軽い体は、床を転がった。
涙目で頬を抑える女子生徒。

そしていつものように言葉で怒鳴りつけてやった。

女子生徒は泣いて謝った。

反省したやろうと、その日はうちに帰した。



しいて言えば、変な倒れ方をした。
その程度の違和感やった。



次の日、女子生徒は死んだ。



その時に異常はなかったが、叩いた時に頭の打ち所が悪かったらしい。

わしは咎められた。徹底的に。

一時は、傷害致死罪で実刑とまで話は進んでいた。

しかし状況が状況でもあり警察は事故と断定し、わしは教師を辞めるという結果で済んでしまった。

悔いた。心が擦り切れるほどに。
なぜ感情的に思いきり叩いてしまったのかと……

未来ある生徒の、未来を考えてやる仕事。
わしは女子生徒の未来そのものを奪ってしまった。

教師失格じゃ。
わしが人様に教えられることなど、何もあらへんかった。

わしの大罪、憤怒。

どう償えばいいのか?
わしの生涯ごときで答えは出るのか?

殺した女子生徒の墓の前で、額から血が出るまで土下座しても彼女は帰って来ない。

ずっと苦しかった。
いっそ死んでしまいたいとも思った。
ただ何かしら償いを見つけるまで、死ぬことも出来ん。
あの世であの子に向ける顔があらへんからじゃ。

犯罪者だらけのこのゲームに選ばれたんも、わしの罪の重さから納得しとる。



自分だけ助かるの?
あんたこそ罪を償うべきだ!!



桃山日菜々か……

ちょうどあの子くらいなんじゃ。

わしが死なせた女子生徒が生きていたら。

あの子に人狼と言われた時、これはわしへの裁きがやっと来てくれたと思ってしもうた。

やから受け入れてしもうた。
ずっと苦しかったわしを裁いてくれるんじゃな、と。

そんなわしの態度と、彼女の訴えから周りも彼女を信じたようじゃった。

感情を動かすんは、これまた感情。

わしの間違いじゃが、それはこのゲームでは正しいかもしらんのう。



今生き残っとった村人チームには、本当に申し訳ないと思っとる。
みんな、桃山日菜々を信じておったが……
今日、わしにだけはっきりわかっとった。

あの子の、正体は……




織田武臣、死亡。
3日目、昼のターンにて処刑。









織田武臣の死体が円卓に戻った。
首部を垂れ、見えている肌は火傷のようになっていた。

日菜々「ああ……」

羽賀「う……」

九十九「くそっ!」

牧村「……」

織田が死んだ。
ここは大事なところ。日菜々が占い師なら、2匹の人狼を処刑したことになりゲームは終わる。

しかし、日菜々が偽物なら人狼はまだどこかで生きている。

どっちだ?
このあと部屋が暗くならず夜が来なかったら、人狼は殲滅出来たというアナウンスが自動で入り、村人チームの勝ちが宣言される設定になっている。

さあ、どっちだ?

羽賀「ま、まあいいんだ。これで終わりだもんな!
人狼は、康隆と織田。
これで勝ったんだよな?

なあ、日菜々ちゃん?」

日菜々「……」

日菜々は答えない。

羽賀「えっ?日菜々ちゃんが本物の占い師だろ?
そんな、あんだけ占い師だって言っててさ、嘘なわけないよな?」

日菜々「……」

日菜々は俯く。気まずそうに。

羽賀「な、何とか言えよ!!」

日菜々「ひっ……グス
……ご、ごめんなさい」

部屋が暗くなった。

セイギノミカタ「容疑者を処刑したにも関わらず、恐ろしい夜がやってきました。
各自、夜のアクションを行って下さい」

非情な、ゲーム続行のアナウンス。

羽賀「……おい、うそだろ。
日菜々ちゃ……てめええええ!!」

そう、人狼ゲームはまだ終わらない。
まだ続く。





3日目、夜のターン。

1、前島康隆………死亡、2日目処刑
2、羽賀亮也
3、牧村芽衣子
4、織田武臣………死亡、3日目処刑
5、山井小百合……死亡、2日目襲撃
6、九十九一
7、桐生星華………死亡、1日目処刑
8、斉藤章三………死亡、1日目襲撃
9、桃山日菜々

残り4人。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ