第28話~王都防衛線~
描写を修正しました、ちょっとフィーナを黒くしてみました。
フィーナ・ローズウッドSide
王都フェアーリス攻略に当たり私が、かってアルバート様と一緒に脱出を試みた地下水路から直接侵入をする事が作戦会議で決まったけど、問題は王都周辺に配置されている要塞砲をどうするか? と言う難題が我々に降り懸かってきた。
「しかし、砲を破壊するのは論外だな」
「確かに…… もし下手な所に弾が当たったら、王都が跡形も無く消し飛ぶぞ?」
「しかし、放置しておけば、我々は一方的に撃たれるだけだ」
そう、要塞砲は王都からのエネルギー供給で多少の時間差はあるが、ビーム砲を撃ってくるだけでなく小規模の空中防衛艦隊が王都上空にいるため迂闊な攻撃はできない。
「それやったら、うちらが【囮】となって要塞砲と艦隊を引き付けてから、陸戦隊による地下水路から要塞砲と王宮を抑えるのはどやろ?」
エレノアさんの提案で地下水路からの強襲作戦が立案されて私を始めロバートさん・リガティさん、イリア司令が要塞砲の制圧部隊の指揮を採り、私はロイル皇王の身柄の捕獲に決まった。
「フィーナ副隊長、ロイル皇王ってどんな奴なん?」
作戦会議が終わって、イリア司令達と地下水路からの突入の打ち合わせをしていたら、エレノアさんが尋ねてきたので。
「そうですね? 一言で言うと【お坊ちゃん】な所が有りますが蛇みたいにしつこい所が有ります」
と、私は言った、大体あの人の何処を見たら、好きになれるのか疑問が何時もある。
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ロイルSide
ティルムの暗殺が失敗して、今や将兵や民の支持はアイツに傾いているせいで、各地の都市や基地の無血占領が相次いだり、脱走処か師団単位で寝返る馬鹿者が出始めている、そして遂に奴は王都まで軍を進めて来て包囲している、そして、あつかましくも、この俺に降伏を勧めてきたが断ってやった、降伏したら間違いなく俺の命は無いなら亡命かティルムを倒すしかない。
「オイ、脱出に使う海路の確保は出来たのか!」
「はっ、そ、それが、脱出海路の確保に割いた艦隊が、反乱軍の潜水艦艦隊の攻撃でほぼ壊滅…… ひっ! 申し訳ございません、現在調査中です」
俺の殺気が伝わったのだろう、報告した参謀が脅えきっている、やはり他人は信用出来ないか、並ば。
「ティルム率いる反乱軍の本隊を要塞砲の三門一斉射で吹き飛ばせっ! 奴の居場所を特定次第、フルパワーでだっ」
「お待ち下さい、フルパワーで砲撃すれば再使用は不能になります、そうなれば我々は防壁を失います」
他の将軍や参謀達も同じ様な苦い顔をしている、しかし、ティルムを倒せばそれで済むのだ、反乱軍のリーダーを倒してしまえばドラグニアやヴァルゼラートは本国に引き返すさ、何故なら俺の後ろ盾はゼウレニアス帝国だからな。
「構わん、今すぐ撃て、コレは王たる俺の命令だ」
「了解しました、要塞砲全門一斉射撃用意、目標反乱軍本隊」
半ばやけくそ気味に将軍は叫ぶと、司令部無いの兵士に次々と命令を出して行く、そして兵士達も慌ただしく命令を実行していく。
「全艦砲にエネルギーを回せ」
「はっ、砲門狙い準備良し、準備が整い次第撃て」
後は、ティルムを葬り去れるだけ、そうすれば俺が死ぬまで【王】でいられるからな? そう勝利を確信した時、突然アラームがけたたましく鳴り響き、赤色灯が点滅を繰り返す。
「どうした? 一体何が起こった?」
「は、はい、要塞砲の二門に反乱軍が侵入し占拠されました」
「要塞砲【アトラス】と【ゴリアテ】が沈黙【サイクロプス】砲撃準備完了しました」
「並ばさっさと撃て、撃つんだ、やれっ」
「ハッ、サイクロプス砲撃体制、総員射撃に備えよっ」
やがて、サイクロプスから青白い閃光が放たれ、目標に向かって行く、しかし命中直前で白い双胴の空中戦艦〔アマテラス〕の防御壁に防がれ、攻撃は失敗した。
「ば、そんな馬鹿な事があるもかーーーっ!」
※※※
サクヤSide
咄嗟に要塞砲の発射の兆候をみて大盾の紋章発動機を作動させて良かったです、あれ? 立ちくらみが…… 私はその場にふらふらと倒れそうになりましたら、さゆりに支えられていました。
「サクヤ様、また、無茶をなされて、めっ、です」
「さゆりちゃん【めっ】て、姫様、お体は大丈夫ですか?」
さゆりに抱き抱えられながら、私はけいを見ると頷いて。
「はい、大丈夫です、海原艦長、アマテラスを後方に下げて下さい」
「了解いたしました、姫様」
モニターを見るとアマテラスが後ろに下がり、エレノアさんの艦隊が前に出てくる、確か敵に悟られない様にそれぞれの艦の指揮官は代行して艦隊の指揮はエレノアさんが採っているそうです。
《こちら、紋章皇国解放軍、アマテラスのご支援に感謝する》
「こちら、我これより、一時後退する貴軍の奮戦を期待する、以上、通信を終える」
海原艦長が返礼をし、素早くアマテラスを下げるとエレノアさん達が敵艦隊と交戦を開始し始める。
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エレノア・アリアドネSide
さて、残りの首都防衛艦隊やけど、中々嫌らしい位置に展開しているな? 首都の真上にいる以上沈める訳にはいかへんな? もし市街地に墜ちたら大惨事やそうなったら今度は、うちらが悪者やな、出来れば向こうが大人しく降伏してくれたらいいけど無理やな、フィーナさんの話じゃあ、プライドが高くて自己中やそうやから、それはないやろう。
「作戦通りに要塞砲は封じたから、後はロイル皇王の身柄の捕獲だけやな?」
《そうね? まだ、イリア司令達から捕まえたって報告が来ないし…… 私も行きたかったな? ぶー、ぶー》
いや、ミカさん、あんたが行ったら間違いなくロイル皇王がフルボッコやろ? 頼むさかい、艦隊で大人しく指揮してて。
《ミカ艦長、いじけないで下さい》
《そ、そうですよ? ほら、ルイセも……》
《ウルウル》
アレクトルにフィルミンアとルイセの宥めで、ミカ艦長の機嫌が直る、そこえミネルバ司令の艦隊が到着して、敵艦隊を撃沈しないように海岸に向けて上手く押し出して行く。
《ミカ艦長、こちらミネルバだ、海岸まで敵を退けたら思いっ切りやっても良いぞ?》
コラーッ、ミネルバ司令あんたキャラ変わってるぞ? そして絶対にそんな命令はうちはだせへんで。
《無双~♪ 無双~♪》
「あの…… アリアドネ司令、全周波でミネルバ司令とミカ艦長のやり取り流れていますが……」
「なるほどな…… まあ、敵艦隊が降伏せいへんかったら、無双もありやろな?」
うちもついで本気で言って全周波で流してみる、すると敵艦隊が戦闘を停止して投降してきた。
《ふっ、ハッタリはこうでないとな?》
《そだね、ホントなら無双したかったけど?》
「ミカ艦長、それは冗談は顔だけにしてや」
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フィーナ・ローズウッドSide
私達は解放軍と紋章皇国軍の戦闘開始を待ってから、かって私がアルバート様と脱出に使用した地下水路を解放軍と大聖堂騎士団陸戦隊の混成部隊を指揮して、ひたすら目的地まで進んでいる、綾人隊とイリア司令達は要塞砲の制圧を完了したと連絡がこちらにも入ったが、リガティ隊は突入に手こずり要塞砲の発射を強行されたそうだ、幸いアマテラスが要塞砲の砲撃を防いでくれたので被害は無かったらしい。
「しかし、私が脱出した時より警備はずさんね?」
「はい、最近はロイル皇王派の影響でかなり優秀な人材が左遷されたり粛正されほとんどロイル皇王にゴマを摩るだけの者しか皇王の元にはいません」
私のぼやきに解放軍兵が教えてくれる、やはり彼は【王】の器では無かったか? アルバート様は以前からロイルが皇王の座に付くのに反対していた、何故ならロイルには いわゆる独裁思考が強く出ていて、なおかつ普段から上級種族至上主義者で何時も人間族・半獣族を見下したりしていた。
複雑な造りの通路を右や左へと進んで行ったら、誰かが立っているのが見えて来たので皆に緊張が走る、私は右手を上げて全員に待機と警戒をするように伝えると、少人数を連れて奥へと進んで行った。
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ロイルSide
冗談ではないぞ!? 我が防衛艦隊が勝手に降伏し、その上親衛隊の一部や市民までが反乱を起こしてレジスタンス活動を始めた、俺は役立たずな将軍達に死守命令を出すと、その場を後にしてひたすら地下水路に隠して建造していた潜水艦ドックに向かって残った部下と走っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、こ、此処まで来れば大丈夫だな?」
「はい、しかし、ヤワトやゼウレニアス帝国まで俺を見捨てるのか?」
そう、俺を救出するように奴らに伝えると、奴らの返答は【我がヤワト王朝軍の艦隊はドラグニア帝国艦隊に足止めされそちらに割く戦力は無い。】と言い、ゼウレニアス帝国は【残念ながら、我々はヴァルゼラートの機動要塞ヘイルダム攻略の戦力を整える必要がある、したがって貴国の要請には答えられない。】と返答がきた。
「くっ、アイツ等散々この俺を利用しやがって、いざとなったら切り捨てか?」
「へ、陛下」
部下為も顔色が悪い、恐らく俺を反乱軍に売る算段でもしているに違いない、なら脱出した後で始末するか? そう考えていたら、銃声が数発鳴り響き、部下が次々と地面に倒れ呻いている、そして聞き慣れた声が聞こえた。
「ロイル皇王、大人しく降伏しなさい、貴方には勝ち目は有りません!」
「これは、これは、誰かと思えば弟を殺した張本人のフィーナ・ローズウッド元親衛隊員ではないか?」
(此処は、時間稼ぎを…… いや、隙をみて逃げるしかないな?)
じ、冗談ではないぞ、親衛隊1・2争う射撃の名手を相手に俺がどうこう出来るわけ無いだろがっ。
俺は内心平静を装いながら、彼女を挑発する、そして、隙を見て逃げる算段を考えていたが、意外と彼女は冷静だった。
バン! と銃声がして地面の一部が破裂する、フィーナの顔は無表情で何を考えているのか解らない。
「はい、お久しぶりですね? 偽物の王様のロイル陛下? あと今の私を怒らせない方が安全策ですよ? つい、うっかりと引き金を引いて貴方の頭を撃ち抜くかも知れませんから?」
マジだ、この女……マジで俺を殺気だ、まずい、どうする? その時ヴァルゼラートの大聖堂騎士団の兵達が近づいてきた、た、助かった。
「そこまでです、フィーナ副隊長」
「イリア司令、大丈夫です、たった今、ロイル皇王を確保しました、さっきの発砲は、彼を逃がさないために業と狙いをはずしました」
「な、何だと?」
俺が目を見開いてぱちくりしていると、フィーナはゾッとする笑みでこちらを見たあと。
「イリア司令、こんな下らない男を討ってもアルバート様はお喜びになられません、むしろ、私がお叱りを受けるだけですから」
そう言いながらも、俺の頭をロックオンしている、そして、複数の反乱軍兵に取り押さえられながら、俺は牢獄に連れて行かれた。
次回は作成から一年記念として、フィーナの里帰りの話を作成する予定です。
次回不定期ですが作成を頑張ります!
では、良いお年を♪