第12話~それぞれの想い~
今回はストーリーを穏やかにしました。
誤字・描写不足を修正しました。
その日、それは、急に世界に向けて発っせられた。
私はフェリオ君とエレノアさんの三人で、カレンさんの私室で昼休憩をしていたら
アリシアさんから通信が入って来た。
「隊長っ、急いでテレビモニターを見て下さいっ!」
全員で顔合わせ、急いでテレビをつける。
モニターには、何処かの宮殿を思わせるような部屋に、魔導師風の男達と威厳に溢れた金髪の美青年がモニターに現れ、その日全世界に向けて世界再建議会が電波ジャックをしたのだ。
《全世界の指導者並びに総ての種族国民に告げる、余は[新制ゼウラニアス帝国]初代国家元首アルゼリアス・ツォン・ファルケン、この世界を統べる真の王である! 我等純血統種族はかって世界を席巻した真の支配種族の流れを継ぐ末裔だっ、そして古に世界を滅ぼし諸君等に世界再生を託した女神【光の翼の聖女】も我等の裏切り者だしかし諸君等は女神との盟約を忘れ去り、また世界を再び破滅に導こうとしているのだ!》
この日あらゆる通信・放送・が全て【彼】に支配された電波ジャックだ、既に世界各地で混乱が起きはじめている。
「ファルケン……」
ぎりっと奥歯を噛むフェリオ君…… 彼とフェリオ君の間に何が有ったのだろうか?
《何故、不毛な争いを続けるのか?何故諸君等は女神との盟約を忘れ去り詰まらぬ争いで、同族を危め続けるのか! それは諸君等が劣等種族だからだ! それは既に諸君等が自らの手で、それを証明している事に、何故気が付かないのか?世界を見るがいい! 既に荒廃が始まりそして多くの種族が死に絶えた、もはや諸君等に世界を浄化するだけの【力】は無いと余達は判断し、諸君等の浄化と愚かな指導者達の粛正をここにおいて宣言する!》
「……何てい草やっ」
「……論外だな」
エレノアさん、そしてカレンさんが毒づく、同感だ…… 私もみんなと同じ気持ちだ。
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レスター・エルストンSide
遂に世界再建議会…… いや古の帝国復活宣言と全世界に宣戦布告か。
俺はモニターを苦苦しく睨みながら、この演説を聴いていた
もちろん、ゼリアス・ツォン・ファルケンの言い分を逐一記録しながら
連中の大義名分を聴いていたが、あまり、奴自身は多少演技を入れているが、本心は別の所に有ると
思っている。
「だうだ、トレース出来るか?」
「ダメでした、ジャミングが掛かってい、逆探はできませんでした」
まあ、仕方が無いさ、いきなり電波ジャックじゃあ、まず対応は不可能だろう。
「兄さん、所でこれからが大変だよ、彼等に感化された人々が連中に合流しかねないしね」
「ああ…… それは、分かっている」
確かに大変だよ騎士隊の中にも、ソフィアみたいに、向こう側に通じていた事とが判った。
連中のお陰で現在騎士隊は再編中だ、今、まともに動けるのは精精6~8部隊位か。
「それに…… 国防軍にも不穏な空気があるね? 既に手は打っているよ」
あの、ブラッド・フェンリルが最近不穏な動きを見せているらしい
あの部隊は、レナードが居るから要警戒する必要がある。
「しかし本格的に動き出すのは、今年は無いだろう」
「ああ、遅くても来年だね?」
全くだ、せめて、穏便な年明けを今年くらいはさせてくれ。
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レナード・ウォードSide
(連中は、ようやく此処まで、こぎつけたか)
モニターを見ながら、そう思った、メアリー・フォートフェルト……
貴女の失敗は、この俺を選んだ事だ。
あの頃は俺も青くさかったからな、彼女の理想を叶え様とも考えていたな?
「おや、何か考え事か? 貴様らしく無いな?」
その声に気が付き、俺が顔を上げると同僚のドリスコルが立っいた。
奴とは士官学校の同期だ。
外見は二枚目の青二才だが、性格は俺よりも残忍だったりする。
「貴様か、何の用だ?」
「いや、ただ顔を見に来ただけだ」
フッ、相変わらずだ、さて、本題を聞こうか?
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アルゼリアスSide
今、我々の空中機動艦隊は通称〔天空の玉座〕に向かっている、古の技術で造られたこの浮遊要塞は下層部が▼型で尖端に360度攻撃可能な半球の超巨大紋章砲一門、上部は☆型の平面型をし全ての尖端に紋章砲を備える、そして対空システムは万全で死角のない設計になっている。
しかし、この空中宮殿の本来の【主】は既に無く、我々が発見し、その後、拠点として使用していた
この要塞の技術は我々の技術では同型を造るのには、後一世紀は掛かるとの調査結果だった。
そう思いと、何故、あのような長い戦乱が起きたのか?
そして、あの戦乱の引き金は誰が引いたのかと考える自分が何時も居る。
「閣下、先発隊が上部より上陸を開始しました。」
「ウム、ご苦労であった、【鍵】の入手には【猟犬】が大いに役に立ったな」
しかし、私は道化を演じるのも楽ではない、先ほどの演説は、あまり私の好みではない……
まあ世界を一つに纏める為の目的に役に立ったな。
余り気が進まない道化ではあったが、私が少々疲れているを感じ取ったのか
側近達が私を心配そうな表情をする。
「アルゼリアス様、ご気分が優れぬのなら、お休みになられますかな?」
単眼魔人のジル老師が私を気遣い休むよう促す、彼には公私にわたって随分世話になっている人物で、私が最も信頼している腹心の一人だ。
私の気になっているのは、別の所に有るのだが、今はそれを表に出さない方が懸命だな。
「気遣いは不要願いたい、逸れより我等の軍の状況は?」
「ハッ、既に我が方に盟約を結ぶ諸国が幾つも我が軍門に降っておりますが、一部の強国や周辺国が連合軍を組織化し始めています、しかし、俄連合的な状況なので、今は直接相手をしなくても問題は
無いかと思いますが、念のため監視は常にしています」
唯一の紅一点[飛翔将軍リガティ]が状況を説明する。
ふむ、抵抗はするが我々の<切り札>が脅威になっているうちは、此方には手を出したくないのが
彼等の本音と言うヤツだな?
なるほど、この城の【力】を見せ付けばならんか、ならば見せ付けてやろう。
「まずは、ドラグニア帝国を横切りヴァルゼリアを落とす、まずは、各地の協力者と連絡を密にせよ、此方もまだ、兵力は不十分だからな、初戦でヴァルゼリアとドラグニアの二国の大国のどちらかを支配下に置けば、日和な連中は此方に付くだろう、所詮、自分が一番可愛いだけの連中なら
自らの保身に回る、その時、上手く連中を飼い殺しにすればよい」
その場に居た全員が、私の言葉に頷く、そう、我々の戦いは、これから始まる
その戦いは、まもなく、この世界の在りかたを大きく帰るだろ……。
そう、古の高貴な種族の支配を好しとするか? または……?
ふふ、これからの行く末が楽しみだ……。
そして、間もなく我が牙城〔天空の玉座〕に入港する。
「では、これにて今日は解散する、諸君、ここからが、われ等の正義の戦いが始まる
各自、英気を養今日はゆっくり休んで欲しい、われ等の目指す先は、ヴァルゼリア公国首都ヴァルゼラートだ」
「「ハッ!」」
皆がこの場を後にする中、私は、一番危なっかしい彼女に声をかける。
「リガティ、少し良いか?」
「アルゼリアス様、何か御用でしょうか?」
私に、呼び止められた彼女は少し怪訝な顔をする、年明け早々に、我が軍は彼女が指揮を採る地上軍を先陣に、敵に大規模会戦を仕掛ける。
その時に活躍するのが彼女の率いる部隊だ、本来なら、この作戦は私が指揮をすべきなのだが
この作戦の成功を確実にする為に、私は陽動の為、ギザ砂漠方面に囮として出向く事になった。
こうでもしないと、この作戦は成功しないだろう。
「年明け早々に、大会戦を仕掛ける、リガティ、お前の働きに期待する」
「//// か、閣下、喜んで、このリガティ…… いや、飛翔将軍の名を内外に轟かせてみせましょう」
そう言って、彼女は顔を赤らめる彼女を見ると、私は、かって愛した女を思い出す。
あの女性は、あの時、私に何を言いたかったのか? 今となっては知るすべも無い。
(死別して既に500年…… 人とは儚いものだな……)
「閣下?」
「いや、何でもない、随分昔の事を思い出しただけだ、君もゆっくり、今日は休んでくれ、それだけを言いたかったのだ」
恐らく、敵にはフェリオも居るな? 私を敵と思うなら、いずれ彼とも相見える事もあるだろ。
そして、私は私の理想を現実にする為に、必要な者達に同じ事を言うであろう
言葉を掛ける、それは、有る意味、彼女の信念と誇りに(プライド)傷を付ける事に為るかもしれないが、絶対に言っておかねば為らない気がした。
「リガティ、お前は絶対に死ぬな、良いな、もし、敵中から脱出は、不可能と君が判断したら
迷わず敵に投降しろ」
「!?」
少し驚く彼女に、私は構わず、話を続ける、彼女の祖父は亡くなる直前に、彼女に
「敗れる時あらば、翼人族らしく誇り高く死ね、それが高貴の一族の誇りと」いい放った
そうだ、それを持って私への忠誠だとも、老害も此処まで来ると手の施しようも無いな?
此処は、少々小ずるいかもしれないが彼女には、私の厳命に、いや、勅命に従ってもらう。
「もし、敵の虜の憂き目にあってもだ、他の者共、勝手に死ぬ事は許さん、そう心せよよいな?
これは、私の勅命だ、死ぬことは我が命に逆らうと覚悟せよ、いいな」
「ハッ…… 心に止めておきます、閣下」
そろそろ、皆が私を待っている、さて行とするか。
リガティを伴い深淵の玉間に向かう、さて、運命はどう動くか見物だな?
イリア・キサラギと言う者と刃を交わす日が来るのが愉しみだ。
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イリア・キサラギSide
カレンさん達に、フェリオ君の体調が悪いからと嘘をついて、屋上に連れ出すフィーナさんは今は居ない、この時間彼女は屋上の屋根で昼寝をしてるのだが今日は彼女は居ない好都合だ、フェリオ君に話すをきこう、さっきの電波ジャック犯一体何者何だろ……?
「ねぇ、フェリオ君、言い辛い事だったら、無理に言わなくて良いし、私も聞かないから。」
私とフェリオ君の間に静かで重い空気が漂う、少し間を置いてフェリオ君がぽつりと呟くように話してくれた。
「彼は…… 僕の両親を…… 殺した敵です」
「ゴメン…… フェリオ君、私が軽率だったね、ごめん」
「マスター気にしないで、もう今から、6000年も前の過去を引きずってる、弱虫の話ですから」
フェリオ君が弱虫? あんなに一人で傷だらけで戦って来たのに?
「僕はまだ、その時は子供でした、本当に僕の両親はアルゼリアスが起こした戦いで、死にました…… この話は森の長老に聞きました」
「森の長老?」
誰だろ……? フェリオ君以上の存在だから魔神かな?
兎に角トンデモナイ人に違いない、たとえば、筋骨隆々の逞しい巨人とか?
「マスター、今、マスターのイメージが僕にも伝わってきましたが、ぜんぜん違います…… 森の長老は巨大な精霊樹様ですよ、あははっ」
フェリオ君によると、森の長老は穏やかに世界を見守る存在らしい、赤ん坊のフェリオ君を長老様が、フェリオ君のご両親の親代わりになってくれたのだそうだ。
「そっかぁ、じゃあ森の長老様がフェリオ君のお爺さんになるんだね?」
「ええ…… でも次に会えるのは、僕が物凄いお爺さんに、なってからですね」
フェリオ君がお爺さんになってから? どういう事だろう。
「長老様は、僕の成長を待たずに眠りにつかれました」
「ゴメン、また言いづらい事…… 聞いちゃったね……私」
更に空気が沈みかけるこれでは、フェリオ君のマスター失格だ。
「ぷっ、あはっ、あははははっ♪」
「何よっ、せっかく、フェリオ君の事を励まそうと頑張ってるのにっ」
ひとしきり笑うフェリオ君、しかし怒る気などしない、まるで元気で世話の焼ける弟だ。
「弟ですか? 今なら、マスターの弟も悪くないですね♪」
「こ、こいつ~ ううっ、せっかく人が、心配してあげたのにっ、まちなさーいっ、フェリオ!」
「うあっ、マスター?」
まるで姉弟のように、じゃれ合った、それこそ本当の姉弟のように。
「/// マスター頭撫で回すのは……」
「ダ~メ、人の心配を無視した罰です♪」
フェリオ君の頭を優しく撫で回す、少し撫で回し過ぎてフェリオ君がゆでダコ見たいになった。
少しやりすぎた、でも、反省は絶対にしない。
「所で、フェリオ君? 森の長老様は森の皆さんで?」
「ええ…… 森の皆でお見送りした後、精霊樹の苗木を植えました
そうですね、一万年後に再開出来ます」
私も魔王化したら、駄目だ、フェリオ君が絶対に嫌がるだろう……
彼にしたら、短いかも知れないが精一杯彼のマスターになろう。
少なくとも今は穏やかな時間が流れる、年明けには彼等と本格的に戦いが始まる。
(そう…… 今だけフェリオ君のお姉さんをしょう)
恐らく、こんな穏やかな穏やかな時間がもう送れないはずだ。
次回頑張って書きます。
描写の修正をしました。