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第10話~狂狼と化け猫~

エレノア視点・フィーナ視点の後半のストーリーです。


一部表示を変更しました。

一部描写を変更と修正しました。

うち等は、敵軍に圧され続けていた、味方の大半は既に壊滅し、うちが参謀を務めるこの本隊も包囲されつつあった、次々と兵士の断末魔とともに凶報がスピーカー越しに嫌でも聴こえて来る。

うちはただそれを黙って聞いていた、いや、聞く事しか出来なかった……。


『隊長、こ、後退命令を…… クソッ、撤退っ、命令なぞに構うなっ、エレノア参謀長が責任を取って下さるさっ』


『ぐぁぁぁぁっ、ダメだ、エレノア参謀のせいで、故郷に帰れなくなっちまう……』


『し、司令早う撤退命令を…… このままじゃ前衛が全滅してしまいますっ、エレノア参謀助けて下さいっ、こんな所で死にたくないですっ』


『構わんっ、どの道、このままでは、全滅してしまうっ、全陸上戦艦砲撃用意、味方に構わず撃てぇっ』


『!! 司令、それは駄目やっ味方まで……』


うちの叫びも虚しく砲撃が地上艦から放たれる、そして…… うちのせいで大勢の兵士が死んだ……

そう、全部はうちのせい、慢心気味の司令官を諌められなかった、十分な戦力を集めることが出来なかった、たとえ、うちの全てを犠牲にしても、司令を止めるべきやった。

アレは、うちのせいや…… うちが…… 見殺しにしたんや……。


『そう…… 全ては貴女のせいよ…… 紅姫?』


そして、司令部には、うちひとりが残された、そこに、ぼんやりと白い影が現れ

うちに寂しい声で、語り掛けてきた。

それは、うちが、かって仕えていたサクヤ姫が顔を伏せて泣いておった。


「サクヤ姫、うちは……っっ」


『私を見捨てて、国を棄て…… ただ逃げ出した、貴女に…… 私の辛さがわかるの? 紅姫っ

あの後、私が一体どんな辛い目にあったのか? どれほど貴女に助けて欲しかったのかぁっ

貴女に其れが解るのっ、紅姫っっ』


怒り任せに白く長い髪が逆立ち純血の九尾の尻尾が全て広がる、うちはサクヤ姫の狂気を帯びた怒りの前に思わず後づさりをしてしまう。


「さ……サクヤ姫? う、うちは…… うちは……」


『来ないでぇっ、私を見捨てた貴女なんか、私の前に現れないでぇっ、汚らわしいっ』


髪を振り乱しうちに襲い掛かって来るサクヤ姫、姫の恐ろしく速い攻撃を寸前の所でかわす

しかし、顔を掠めただけで頬をザックリ引き裂かれた、赤く冷たい血が頬を伝う。

痛みに耐え、何とか言葉を絞って、うちは声が震えながらも姫に話しかける。


「う…… いや…… わたし…… 私は、一度も姫を見捨てた事はありません……」


姫の両手が…… うちの両頬を掴む、それはとても女の子一人が出せるような力ではなかった

そして、姫の顔がみるみる豹変していく、その顔はうちの知っている姫とは違う

もう一人の顔に、みるみる変わっていった。


「アタシの顔を、こんな風にしたのは…… 紅姫ねぇさんだよ? キシシシシッ……」


「お前は……は!? は、放せ、はなさんかいっ、化け猫ぉっ」


化け猫…… く、来るなぁっ、来るなぁぁーーーーーっ。 

化け猫はうちをがっちりと掴んで離さない、そして

ゾッとする笑みを浮かべて。


「一緒に、アタシと地獄に行こうよ? ねぇさん……キシシシシッ

ねぇさんには、こっち(地獄)がお似合いよ? キシシシッ」


(やめろーっ、放せーっ!! うちは、うちは、うわぁぁーーーっ)


『キシシシシッ、キハハハハはははーっ!』


あいつの狂った笑いが頭に響く、そして、最後に、あいつのささやき声が囁き声として

耳に聞こえてきた。


『さあ…… 今度こそ…… 一緒に……』


「うあぁぁぁぁっ!」


がばっと布団を引き離しステンレスのコップに水を入れ…… 一気に飲み干す。

夢……? いや、これは、あいつが一番、得意としている…… 

呪術や、それも、対象者のトラウマを利用して悪夢を見せる陰険な術を使ってきた……

つまり、これは……。


「はぁ、はぁ、はぁ、うちを殺しに…… 来たんか? 化け猫……クソっ!」


自分でも、うち自身と化け猫に対する怒りに歯止めが掛からん。


「はぁ、はぁ、うあぁぁぁぁーっ、早う殺しこい化け猫がぁぁぁぁぁっ」


気が付いたら、コップをドアに投げつけていた、ガシャンとステンレス製のコップがドアに当たって跳ね返る。

そうか、化け猫…… あんた、まだ、あの時の事を根に持っていたんか。


「くくくく…… はははっ、あはははーーーーっっ、ええで、その喧嘩、うち独りで高く買ったるで

…… くははははっ!」


両腕で脇腹を締め付け、ただ狂った様に…… うちは笑い続けた。

国を追放だけでは、まだ、飽き足らん連中に、ただ、呆れと可笑しさで独り笑いが止まらなかった。

一頻り笑い続けていたら、外からドアをノックする音がした。


「エレノア参謀…… 大丈夫ですか!? 勝手に貴女の部屋に入りますよ、良いですね?」


フィーナ副隊長の声に思わず、ビックとなる、えーと、改めて今の時間と状況を確認する。

今は真夜中の零時や、これは、かなり、ご近所迷惑してたな……

て、そんな事考える場合か。

ああっ、しまった、今日は酒とおつまみの勢いも進んで……

その、フィーナ副隊長をうちの部屋に招いて親睦を深めるために、ついさっきまで二人で飲み明かしていたんやった。

(しもた…… 今隣の部屋は、フィーナ副隊長が使ってるんやった、ああ、隠れる穴が有ったら

そこに隠れてしまいたい、でも、フィーナ副隊長はイリア隊長共々お節介な面があるから

たとえ、うちが穴に隠れても探し出すやろうなぁ……)


アカン入らんといてと、そう言う前に、もう、ドアが開いた、フィーナ副隊長が非常用のロック解除のコードを打って部屋に入って来る。

これで、騎士団の制服やったら、うちは正座、いや、土下座で誤らんといけないと思うが今の彼女は

デフォルメ狐の可愛いキャラ柄のストラップパジャマだった。


「あっ、ちょっとだけ、待って欲しかったで、副隊長? まぁ、その、ごめん……」


「いえ、此方も、すみませんでした、エレノア参謀の部屋から、ものすご音と叫び声が聞こえて、只ならぬ状況だったので……」


ああ、全て聞かれてたか…… それなら仕方が無い、うちは副体長に今までの

自分に起きた事を全部話しす事にした。


「なあ副隊長、うちの話聞いて…… くれへん? 少し長ごう…… なるけど?」


さっきまでの動揺はなりを潜めていったので、うちは気分を落ち着かせてから

これまでのことを、フィーナ副隊長に話すことにした。

そして、彼女も黙って頷く。


「ええ、エレノアさんの頼みなら…… 喜んで」


「初めて名前で呼んでくれたね? うちの事」


あ、つい調子に乗って、茶化し交じりで、そう言ってしまった

あかん、気分を明るくしようとして、逆にそんな事を言ってしもたから、フィーナ副隊長が顔を真っ赤にしてる……。



「/// ……」


「ごめん、ふざけすぎた、じゃ、じゃあ、話すわ、うちは昔、ヤワト王朝国に住んでいたんよ

丁度、今から、10年まえやな、そんな頃サクヤ姫て言う九尾の純血の姫様がいてな

うちは姫様のお守り約を仰せったんよ、せやな、容姿は白髪の可愛いお姫様やったね」


白髪の長髪に狐耳そして紅い瞳の可愛い少女や、うちは正直、この姫様にお支え出来た事がうれしかった。


「その、サクヤ姫と言う方はエレノアさんにとって、どんな方でした?」


「せやね、笑わんといてな、実はうち、サクヤ姫の事をナイショで妹みたいに思っていた

そうやな、アイツがちょっかいを出すまではな……」


生涯お仕え出来る方やと確信した。

しかし、それは、長く続かなかった、うちの幼なじみの猫又ミオこいつが、姫様にちょかい?

いやあれは、業とやな?

うちは姫様に害をなそうとする、ミオの顔に爪で大怪我を負わせた…… 

そう、あれは最初から全部仕組まれた物やった。

つまり、姫様の前での殺し合いは、ご法度、もちろん、ミオはそれを承知でうちに仕掛けてきた。

あれは、最初から姫様ではなくて、うちが標的やった。

当時、うちは警護に当たる時は姫様に向けられる殺気には、一番敏感に対処が出来るように

訓練されていたから、一流の暗殺訓練を受けていた、ミオのソレに気がついて対処をしたんやけれど

対処した場所が国王の寝室に繋がる廊下やったのも、あいつの計算ずくやったんやろね?


「そ、丁度、姫様が前国王陛下の病気のお見舞いで、国王陛下の寝室に繋がる廊下が現場で、姫様の着物に、あいつの血がかかったのも運が無かったで。兎に角、その一件で、うちは見事に、姫様に害意を及ぼした悪人として、その場で取り押さえられて、即、牢屋送りに

幾ら、姫様がうちの事を説明をしても、回りは姫様の【一時的な心の混乱】と決め込んで全く取り合おうともしなかった」


「そんな事が、あったのですか……」


そして、うちは姫様に仇なした者として裁かれる、父や姫様がいなければ今頃は死罪やな?

あん時、本当に父と姫様には感謝してる、涙を浮かべながら、前国王に、うちの一族の処置を寛大に

済ませるように頼み込んで、また、父は日頃から、うちの一族に悪意を持っている連中にも、らしくない根回しをしてくれて、代々うちの家に伝わる家宝やら領地やらを手渡して、何とか一家共々国外追放にしてくれたんやから。

ちなみに、おかんがヴァルゼリア公国国籍の純血統の魔人の貴族だった事もあり、迂闊に此方に手出しが出来ないようにした、うちのおかんの機転には、今、思い出しても舌を巻いた。

なんせ、自分の立場を最大限に利用し、下手をすれば、ヴァルゼリア公国と事を交えるか?

と、平気で言い放つ辺り、一生逆らえない様なオーラーが出ていたのは忘れたほうが良いかも?


「さて、湿っぽい昔話は、これで終わりや、副隊長のおかげで、胸につっかえていたモンが

なくなったわ」


うちはそう言って、話しを切替ようとした、ところがフィーナ副隊長の様子がおかしい

そう言えば、今日は少し気温が低いから体長を崩したのかもしれない。


「うっ…… うっく……っ」


「どうしたん? お腹とか痛いん?」


いきなり、フィーナ副隊長が泣き出した、うちはよしよしと彼女の頭を優しく

撫でる。


「い、いえ…… す、すみません、あ、あの、もう、だ、大丈夫です」


ちょっと、拗ねているのが可愛かったりもするけれど、実際、彼女は、うちより年上やし

何よりも、バイアネット(銃剣)を軽々操る事ができる。

でも、彼女の方が普段は、チョイ、うちより少し影があって頼りない。


「さあ、時間も遅いし早う寝よか? 明日は早いで」


「はい、分かりました…… エレノアさん…… では、また明日……」


うちは彼女を宥めながら、隣の部屋まで彼女を送った、ふぅ、世話の係る副隊長やな……。


****

大聖堂騎士団施設中庭Side


サラ・フェンリルSide


ふぅ、中庭にあるベンチに、ごろんと横になる、この季節、夜の外の方が涼しいので

少し考え事をするには、この中庭はうってつけだ、ん、エアコンがあるじゃないかだと?

と、誰かのツッコミが空耳で聞こえたが、エアコン等の機械的な涼しさは、私は余り好みではない

やはり、自然の涼しさが私は好きだ、そして、私が今何故ここに居るのかと言うと

弟カオスとの練習でこんな時間まで、お互いに気がつかず連取に熱中していた。

しかしこ、んなに遅くなるとはな…… いくら、弟のカオスと剣の修練とは言え、ほどほどにしておかなければな? 

ふぅ、少し疲れたな…… ムッ?

何者かの気配を感じる…… まるで獰猛な獣の様な嫌な気配だ、それを感じて私はベンチから身をお越し相手の出方を窺う。


『よう、こんな時間まで、ご苦労なこって…… ケケケ……』


「何者かは、知らぬが随分と無粋だな?」


突然、背後から声が聞こえる、声の主はかなりのてだれのようだな?

しかも、殺気を業と出している辺り、余裕が有るのが解る、出来れば、刺客を無傷で抑えたいが

どうやら、それは無理注文と言うヤツだ、私は、自分の背後に向かって護身用のナイフを三本投げつける、当たらなくても良い、用は一瞬の僅かな時間が欲しいだけだ。


「カカカッ、甘いぜ、そら、そら、そら、死ぬ気で避けてみなっ」


背後には紅い人狼が大剣を素早く振り回し、私が投げ放ったナイフを全て叩き落すと素早い動きで自分と同身長の大剣を振り回して来る。

私は直ぐに強敵と判断して、ほんの秒掛かる、普段余り使わない魔力を両手に集まると

その魔力で氷の刃を作り上げると二刀流の構えを取るが、相手のほうが早く斬り込んで来て

即席で作り上げた氷の剣が、相手の振り上げられた大剣を受けて少し欠けてしまった。


「チチチ、甘いぜ、即席の氷の剣で俺の大剣を受止められたのは幸運だったな?

フツーなら、アンタ、今頃死んでるぜ?」


「ぐっ…… 貴様…… 何者だ?」


ニタリと癪に障る笑みを浮かべて奴は激しい斬撃を容赦無く繰り出してくる

私は、それを氷の刃で防ぐのがやっとの事だ。

それに、幾ら魔力が篭っていようが所詮は氷、奴の攻撃を防ぐ度に刃が欠けていく。

しかし私とて素直に負ける積もりは無い。


「だが、たかが、氷と侮るなよっ、はあぁぁぁっ!」


「へっ、そう来なくちゃ、殺りがいがないよなぁ? そら、そら、そら、ケケケ!」


奴の大剣が唸りを上げそれを、私は寸前でかわす、こんな奴が大聖堂騎士団に侵入しただと!?

一体セキュリティーは何をやっていたっ。

ちっ、今は、そんな事は後回しだ、目の前の襲撃者をどうにかしないと

目の前の人狼は、かなりの手足れだ、現に私の即席の氷の刃が、もう、方法が使えなくなってきた

後ろに下がる時、それを奴目掛けてほうり投げたが、奴はそれに動じず、自分目掛けて飛んできた

刃を大剣で叩き折る、その間に私はありったけの魔力を再び集めると、今度は恐ろしく頑丈な氷の

双剣が生み出された、そして、無言で奴を睨み付けると、一気に間合いを詰め、奴に斬撃を容赦なく

繰り出す。

大剣と双剣が激しくぶつかる度に力を入れて踏みとどまるが、圧されてそのまま後ろに吹き飛ばされそうになる。


「ケケケ…… 良いねぇ? 殺しがいがありそうな狼だなぁケケケ」


「フン、勝手にほざいていろ、それより貴様何者だ? ただの襲撃者にしては腕が立つようだが……?」


その時、背後に殺気が、もう一人増える、伏兵? いや、違うな、もし伏兵なら、今ここで、目の前の相手諸共ここで吹き飛ばせば、それで終わりだからな?

現に、弟との練習で疲労が有るとは言え、いや、言い分けより、今は、二対一の不利をどう打開するかだが、後ろの相手は私の様子を窺っているが、外見は猫の獣人か? フードで顔を深く隠しているため素顔は見えないが、その仕草には隙が無い。


「困るニャ~♪ にぃさん、勝手に別の人襲って…… キッシシシ♪

後で、怒られてもしらないにゃぁ♪」


「ああっ、たまたま、魔狼騎士団の有名人に、サインしてもらおうと思ってな? 

もち、てめぇの血でなぁっ」


そう言って、奴が再度攻撃を繰り出してきた、くっ…… 退却を……

いや、この二人を相手に逃げおおせるかどうかと言えば、私でも難しいか。

なにしろ、氷の剣は作り出した時点で絶えず私の魔力を遠慮無しに吸い取っていくから、余り時間に

余裕が無い、私は自身の魔力を鍛えておく事を忘れていた自分に内心苛立ちを覚える。

(ち、ここから無事に還ったら、剣技共々魔力をとことん鍛える事にしよう)


じりじりと時間が過ぎていくのに、焦りを感じていた、その時、人狼の背後に数発の魔弾が降りそそぎ、立て続けに襲撃者達を雷撃が襲う。


「マジック・ミサイルっ、当たれっ」


「サラさん、援護しますっ、行けッ、ライトニング」


声のする方向を、よく見ると、フェリオとリフィアが居た。

どうやら、この騒ぎを聞きつけた、フェリオが此処に駆けつけようとして

彼女に咎められたのか、もしくは徹夜の勉強の最中に、二人で居た所に、この騒ぎが起こってしまったのかの何れかだな?


「リフィア君では無理だ、ここは下がれっ」


「大丈夫です、サラさん、私だって援護位なら出来ます」


「しかし…… わかった、あまり無理はするな」


仕方の無い二人だ、先ずは、この人狼から倒す、後ろの猫女は後回しだ

しかし、私はこの時致命的な判断ミスをしていた。

真っ先に注意をしなくてはいけない相手は、その猫女だったと言うことに……

猫女はフードから見える口元をゾクリとする笑みを浮かべて、獲物を見定めていた。

その時、人狼がこの場に居合わせた全員に向けるかのように呟く。


「数が増えても…… 別に構わねえよなぁ? ケケケ……

全部まとめて、この俺がぶっ殺すからよ…… ケケケ……」


「にぃさん、ソレ、アタシに喧嘩売ってるかにゃ? だとしたら……

アタシの獲物はソコの金髪娘だ、ニャァァァァァッ!」


そう、猫女が叫ぶと凄まじい速さでフィアに襲い掛かる、しまったっ、私も素早く彼女の援護に向かうとしようと、しかし人狼に邪魔をされる、その間に猫女のガギ爪がリフィアに襲い掛かる。


「キャーッ!」


「リフィアさん危ないっ、がっ!」


「ふぇ、フェリオ君!?」


「フェリオーーーっ、貴様等ーーーっ」


猫女のガギ爪がフェリオの身体を切り裂く、そして彼の身体からおびただし血が噴き出す。


「ぐあぁぁぁーーーっ」


「いやぁぁぁーーーーっ」


フェリオがその場に崩れ落ちる、そして公園のタイル面に朱い染みが不快な血の臭いが広がっていく……。

私は目の前の人狼と素早く間合いをとると、猫女目掛け氷の刃から衝撃波を叩きつける。

その勢いで、猫女が地面に叩きつけられる。


「貴様アァァァァッ」


「フギャアァァァァッ!」


まともに私の氷の剣から放たれた衝撃波を喰らった

猫女の素顔があらわになる。

その顔には、右頬に引っかかれたような傷があった。


「キシシシ…… 見たな……? アタシの素顔を見たのは、アンタとエレノア姉ぇさんで二人目♪

キシシシ……」


「ん、時間切れか? オイ、引き上げだ……化け猫、つまんねぇが、これ以上はこっちが部が悪いや、クッククク……」


素早く襲撃者達はその場から消えるように姿を消した、しばらくして複数の足音が聞こえる。

ようやく、保安隊が此方に駆けつけてきた。

なんでも、この夜だけで重要施設への約十数件の出動要請が寄せられていて

此方への対応は一番後回しになっていたそうだ。

保安隊に警備と警戒を任せ泣きじゃくるリフィアを連れて、私は緊急輸送でフェリオをカレンの元に運ばれる間、自分の無力さに苛立ちを覚えた。


***


騎士団医療エリアSide


エレノア・アリアドネSide


いきなりサラさんとフェリオが襲われたと聞いて、今、うち等、全員がカレン姉さんの居る騎士団医療エリアに集まっている。

兎に角、フェリオは今は集中治療室で絶対安静で面会謝絶や、なんでも、フェリオが咄嗟に急所をずらして、致命傷は避けたみたいやけれど兎に角危ない状態で普通の治療では間に合わんから

カレンさん作成の治療用の培養タンクに入れられているそうや。

イリア隊長は黙って、手術室のランプが消えるのを見守っていた。

そして、ランプが静かに消え医療スーツ姿のカレンさんが手術室から静かに出てきた。

フィーナ副隊長がカレンさんに、フェリオの容態の事を聞く。


「カレンさん、フェリオ君の容体は……?」


「大丈夫だ、キサラギ隊長、わづかながら急所は外れた流石は…… フェリオだな、後、五週間もすればいつも通りだ、まぁ、今はリフィアも彼の側に付いているから問題は無いだろう」


「隊長、こんな時に言いにくいんやけど、フェリオやサラさん襲った連中……

うち知ってる。多分、いや、ほぼ、間違いない、うちの【同郷】の奴等や」


(局長…… ゴメン…… うち隊長のこんな辛そうな顔は、もう見とう無いんや…… 悪いけど全部話すで)


「エレノア……さん…… まさか貴女? 何か私に、いえ、私達に何か隠しているの?」



隊長の顔色が見る見る険しくなる、せやね、覚悟は出来ていたけれど、それは隊の皆を巻き込まない様に独り戦う覚悟であって、皆を頼る覚悟がうちには足りてなかった。


「此処じゃ、フェリオの傷に悪い場所変えよか、皆もそれでええね?」


「私は、少し休んだら、もう一度、フェリオの様子を見ておこう、何かあれば此方から

連絡を入れる」


そう言ってカレンさんは休憩室に入っていった、後は、残された騎士団のメンバーとうちだけや。

うちは、この場に居る全員を見渡して、場所を変えて詳しく話すことにした。

会議室に入る隊の全員が既に集まって居る、一番表情が厳しいんは隊長や……

まぁ、平手打ち位は覚悟しよか。


「言い訳は嫌やから全部話すわ……隊長」



うちは知ってる限りの事を全員に話す、今日、サラさんとフェリオを襲った連中の事とソレが関係している、隊長の一番知りたい事の件に関しては、流石に情報が高レベルのプロテクトが施されていて

ご両親の事までは、余り調べられんかった事、そして最後に今回の件は、それに関してのあちら側の何らかのアクションの可能性が高い事を皆に伝えた。


「……エレノアさん、今の話の内用は全て本当の事ですか? そして、フェリオ君やサラさんを襲ってきた襲撃犯の一人がエレノアさんに一番殺意を持っているという事も、そうですか?」


鋭い視線で、うちを睨みつける隊長に、うちは無言で頷く、隊長以外の皆の表情が強張る。

そして、うちは目を閉じて歯を食いしばる。


「ツッ、この大馬鹿者っ!」


「ぐっ!」


うちに飛んで来たんは平手打ちじゃあのうて、グーやった、それも思いっきり殴られて

うちは床に吹き飛び倒れる。

口から血が滲む手の甲で血を拭いよろよろと立ち上がる。


「…… 隊長……黙ってて、ゴメン」


「エレノアさん…… これは教えてくれなかった罰よ」



強なったな、アンタ…… それでこそ、うちらの隊長や。

サラさんは、腕を組んで黙って目を閉じているが、他のうちの隊のメンバーは皆、目を丸くしていた、そりゃぁ、そうや、普通、自分に関する事も関わっているのに

秘密にされていたら、腹も立つ。


「だ、大丈夫ですか? エレノアさん……」


「平気、平気、つっ……」


それはそうと、凶狼と化猫は早い事何とかせんと次々と被害が出てくる

ここは敢えて、連中を逆手にとってみよか?

フィーナ副隊長が駆け寄り、うちの滲んでる血を拭おうとしてくれるが、うちは片手で、フィーナ副隊長を制して、一つの策を皆に提案する。

無論、みんなの反対は承知やけれど、これ位せんと連中は喰らい付かんからなぁ。


「なあ…… 隊長うちから提案が有るんやけど、 聞いてくれるか?

もちろん、かなりリスクが高い作戦やけれど。まず、うちが囮ななって、化猫を誘い出す

連中の狙いは、ミュラージュ・ウルフのイリア隊長はもちろんうち等幹部クラスもターゲットに

なっている、理由は解らないけれど、確実に狙ってくる、だから、あえて、其処に漬け込んでみようと思う、もし、狙いがイリア隊長のみやったら、化け猫はうちの事は後回しにして、隊長を真っ先に

潰しに掛かってくる、それだけに連中は必ず喰らい付いてくる」


「「なっ」」


うちは真剣な目で隊長を見つめる、うちとしても私事に巻き込みたくなかったけど手段は選んでる時間は余り無い無い。

それで、手っ取り早く皆に説明したそしたら、案の定、全員が反対した

理由はリスクが高すぎるから……やて。

その、理由に笑いが止まらなくなって、うちは破顔してしまう。


「ふふっ…… あははははっ」


「エレノアさん、笑ってる場合なの!」


両手を腰に当て怒る、イリア隊長に皆が頷く、当然や、自分の部下が危険な暗殺者の囮になると言い出しては、当然指揮官としては、そんな危険な作戦を了承は出来んな。


「ゴメン、ゴメン、あーっ、こんなに笑ったの久しぶりや」


「そうです、それに策の内用は笑えませんね?」


アルトが怒ってると言うより、むくれてる、どうやら、彼自身もうちの今回の行動に反対らしい。

しかし、うちは、皆の意見をさえぎって、一つの結論を出した。


「アルちもう、うちは決めたんよ、あの化け猫とケリ着けるて」


「エレノアさん…… 仕方が無いですね、イリア隊長、私もエレノアさんの作戦に加わります」


フィーナ副隊長まで、しゃあ無い……娘やで、全く。

こうして、うち等は狂狼と化猫に対する罠を張る事にした。


***


ミオのアジトside


ミオside


騎士隊を追放された紅姫ねぇさんの所に使いを送って、6日目、そろそろ、向こうから、コロサレに来る頃だね…… キシシシシッ……。


「キシシシシッって、五月蝿いですわ、化け猫!」


紫の三つ編みの髪の毛を弄びながら、フード女はアタシを罵る、もちろん

アタシはそんな事異に返さない、だって、この女、やたらと【ひすてりっく】なのは

アタシの殺気に怯えているから、アタシの狂気に耐えられそうになるから

必死にキャンキャン吼えているだけ。

もし、今回の報酬が彼女だったら、発狂するまで手元において置きたいくらい

アタシに対する怯えかたが面白いから。


「ケケケッ、おう、おう、お二人さん中のよろしい事で……?」


あ、狂狼のにぃさんがアタシ達のやり取りを、楽しんでいる

まぁ、何時もの事だけれど、この、にぃさんあんまり好きでもないにゃあ

だって、この前、サラなんとかサンをからかう程度で済ませて、後はアタシの玩具にして良いと

言っていていたくせに、自分が楽しくなったとたん、彼女を本気で攻め立てていたし。


「アタシも…… にぃさんと同じキモチ、ニャ~ もう少しで、エレノアねぇさんを…… コロセルから、キシシシシッ♪」


「化猫、その耳に付く癪な笑い辞めなさい、使い魔から、貴女の【遊び相手】と【思い人】が来たそうよ?」


「くく、そりゃあ、楽しくなりそうだ、奴等、後先なくなる程切羽詰ってると見た、ククク……」


フード女の使い魔の一匹が、エレノアねぇさんとフィーナのお嬢ちゃんが来る事を告げる、さぁ、楽しい…… 殺し愛の時間♪ キシシシシッ~。



***


倉庫街Side


フィーナ・ローズウッドSide


「ああ、間違いないやろう、多分裏切り者もそこや、どうやら、イリアさんとの猿芝居が上手くいったようやね?」


「狂狼がエレノアさんの仇敵と一緒に? そうでないと、困ります、私、あの時、本気でイリアさんを引っ叩いてしまいましたから、うーん、ちょっとやりすぎたかな?」


廃倉庫が並ぶエリアに来た、此処に来たのは、エレノアさんと私だけの二人だ。

私達が騎士団を表向きは追放となった様に、一芝居を打っておいた。

原因はフェリオ君の意識が戻らない事が原因のトラブルで、イリア隊長は周りから見ても

ロバートさんにマリアベルさんが必死で止めようとする位の剣幕で

私達を責め立てた、そして、エレノアさんがイリア隊長に水の入ったカップを引っ掛けてそれに激怒した、イリアさんがエレノアさんをひっ掴んでの、いわゆるキャットファイトに発展し

止めに私が彼女に平手打ちを見舞って。

【貴女達は今日限りで、私の隊にいる必要はありません、何処なりと好きな所に行きなさいっ!】と

怒鳴りつけ、エレノアさんもお返しとばかりに【ああ、そうさせてもらうわっ! アンタみたいなショタコンの御盛なんて金輪際するもんかっ! お疲れさん、世話になったな? このショタコン隊長っ】と吼えて、バン! と詰め所のドアを破壊して、私も後を追うように騎士団施設を後にした。

あとで、みんなに聞かされた話だけれど、イリアさん【ショタコン隊長】呼ばわりされて【ふぅ、芝居は成功ね? でも、私、ショタコンなのかしら?】と深く考え込んでいたそうです。

ともあれ、あの芝居の後、後こち再就職先<もちろんレスター局長の作り上げたペーパーカンパニー>を転々としたが、どれも不採用だった。

そして、今日になって、遂に連中のアジトを見つけ出した。

他に皆は既に、このエリア付近で待機している、相手の使い魔は、カオス・フェンリル魔狼騎士団

副団長が上手くかく乱をしてくれているので、当分は私とエレノアさんの二人だけだと思い込んでくれるはず。


「フィーナさん、一つだけ言っとわ、何があっても、あいつ…… 化け猫とうちの戦いに手は出さんといてや」


「はい、解りました、エレノアもお気をつけ下さい」


後は隊長達の到着まで時間を稼ぐ……絶対に。



****


倉庫街Side


アルト・ファルゼスSide


「1番・2番・3番格隊は順次出動、ランカスターヘリにスパイダーの搭載を急げ!」


僕は、騎士団のヘリポートに待機中の輸送ヘリに対人歩行戦車の無人機スパイダーの搭載を指揮する

ふぅ、エレノアさんも今回はかなり無茶を言い出したました。

それだけ、今回の相手が難敵なのでしょう? 兎に角今は作戦通りに必要な装備を送り込む。

私は、エレノアさんの会話を思い出した。


回想Side


『化け猫はうちが仕留める…… だけど狂狼は別や悪いけど……イリア隊長に狂狼と戦って貰う』


『『!!』』


会議室内に緊張が走る、狂狼は僕が知る限り恐ろしく手ごわい相手です。

とても、潜在能力が有るとはいえ、隊長が相手をするには少々不安が残ります。


『それで参謀は、どうする? フィーナ副隊長は? 勿論、エレノア参謀の事だから

何かしらの対抗策はあるんだろう? でなければ、こんな無謀な提案はしないよな?』


古参組のロバートさんが、フィーナ副隊長達の案に難色を示す当然です。

エレノアさんは常に、勝つための手段を必ず用意してきました、だから、今回も無策で挑む事はしないでしょう。



『ロバートの懸念も最もや。フィーナ副隊長はうちとアイツラの餌や

まあ、化猫事ミオはうちを斃す事に執着している

でも、肝心の狂狼は、獲物をなぶるのを優先する傾向が強い

だから、それに敢えて付け入る隙も大きい、あいつ等の相手はしておくから

いいタイミングでうち等の援護に入れば大丈夫や、勿論、必ずそちらに合図は送る』



『それじゃあサメの巣の中に餌を抱えて飛び込みモンだ、俺は反対だな』


『ええ、確かにリスクが高いです、僕も反対です』


イリア隊長とロバートさんが反対をする、当然、僕も反対ですと言いかけるのを

彼女はそれを遮り、エレノアさんが静かに答える。


『確かに、リスクは高いしかし、今がチャンスなんよ、あの怪物を一度に仕留める事が出来るんは』


『一度に仕留める事が出来るチャンス?』


全員が怪訝な表情になる、エレノアさんは構わず話しを続ける。


『つまりな、うちらの隊内で、何らかのトラブルが起きて、うちとフィーナ副隊長が姿を消して、しかも、二人のこのこ連中のアジトに向かったら、向こうは、こっちが分裂したと思う…… いや、思わせるんや、でないと、恐らく、あいつらは、次からはお互い単独でバラバラに仕掛けてくる

そうなったら、かなり厄介になる、タダでさえ暗殺に特化した奴と襲撃に特化したのが時間差もしくは同時に別々の標的に向かうのは、守る側もかなり不利になる』


『それはそうですが、一体どうやって? 相手は何処に居るのかも解らないのに』


リフィアさんが不安な顔で質問する、そうだ、居場所がわからない相手に。

一体、どうやって此方の不仲を…… まさか?


『そうや、簡単話しやで、アルっち、隊長とうちらが、派手に喧嘩したと内部のネズミに教えるや』


『そんな、私も反対です…… 喧嘩はともかく、もし、お―――』


リフィアさんの意見を遮り、エレノアさんが優しくリフィアさんに言う。


『リフィアがフェリオの事で、責任を一番感じてるのは私にも十分わかる

でもな、あいつ等がいてる限る、これとまた同じ事が起きる、だから、うちとしては

いい加減頭にきているし、さっさと終わらせてしまいたい』


フェリオ君は、あの時夜遅くまで頑張って報告書を作っていてリフィアさんに手伝って貰った。

それが原因で、フェリオ君は怪我をした、また彼が魔王の眷属で無ければ命が危なかっだろう。


『だからリフィアは今回は、フェリオの側に居て欲しいんよ、この意味分かるな?』


『はい…… エレノアさん解りました……』


エレノアさんがリフィアさんを宥める、やがて強い意思のいや決意をもって隊長に一つの決断を迫る。


『隊長…… 実はな、危険やけど? 頼みがあるんよ』


エレノアさんのその決意そして隊長の決断に会議室は騒然となった。


***


「アルト隊長補佐、出撃部隊、全準備完了しました」


「解りましたアリシア通信士では、ミュラージュ・ウルフ隊出撃しますっ」


さて、フェリオ君に傷を負わせた代償払ってもらいますよ、僕達もヘリで出撃をする。

闇夜に夜間仕様の輸送ヘリが次々と飛び立っていった。


***

倉庫エリアSide


フィーナ・ローズウッドSide


いま、私は倉庫エリアをエレノアさんと一緒に歩いていく、そして、エレノアさんから念話があった。

もう、此処は敵のテリトリーで、ヒソヒソ話もかなり危ない、此処に来るまでに、かなりの使い魔を

二人で片付けている、後は<合図>を送るだけで形勢は逆転する。


(フィーナさん、周り囲まれとる、気を付けや、にしても、キモいわ、敵の生気が全く感じ取れんなんて)


(はい、でも、生気が全くありません? 何かしらの不死系のモンスターでしょうか?)


確かに倉庫の屋根な影に隠れてる気配がするエレノアさんが念話で相手を教えてくれた。


(今まであの性悪のスキルを軽視してた、うちのミスやあの性悪上級の人形使いや)


人形使いそれは主にゴーレムや自動人形を操る魔術師や、しかしこの数は…… 100いや…… 300は居る、よう、こんだけ揃えるも揃えたもんやで、関心半分呆れ半分が正直な気持ちやね

しかし、こんだけうち等に目が向いているのは悪くない、まぁ、過大評価やけれど?


(まあ、うちらを二人殺すつもりやったら、かなり過大評価されとるな?)


(確かに、殺すだけなら、あの化け物、二人で十分ですね?)


アイコンタクトで、意思の疎通を終わらせると、いきなりエレノアさんが大声で叫ぶ

一体何を? いや、愚問だった、これは彼らに対する此方の挑発でエレノアさんの合図だ。


「出でこーいっ、狂犬と駄目ねこーっ、お望みどおり、こっちから来てやったっ

早よう、面見せんかーーーっ」


辺りに、エレノアさんの罵声が響き渡れる、しばらくして複数の人の気配がする。


「ねぇさん、ひど過ぎーっ、人をバカ猫扱いなんて、キシシシシシッ」


「全くだぜ、うるせぇな? おっ、フィーナか元気そうなこって、ケケケケケッ」


狂狼の姿に殺気が溢れ出すが私は、それを堪える私の役目は時間稼ぎだ、あんな化物に(・・・)私では役不足だ、でも、有りっ丈の技を叩き込めば、足止めは出来る。

狂狼…… 思い出した、奴は私の家を焼き払って、私の家族や領民みんなを惨殺したヤツだ。

今まで、アルバート殿下の事ばかり考えていて、私自身、ちっとも変わって居なかった(進歩)事に

怒りを覚えたが、こんな時でも、エレノアさんが私の耳元で、優しく諭してくれた。


(ええか、フィーナさん死に急いだら負けやで? 死んだら、反省も何にも出来へんからね

絶対、生き残って、反省すべきとこはなんやったか? あれはあれで良かったか?

は、後でゆっくり考えた方がええよ)


(はい、わかりました、出来るだけ時間稼ぎをします)


そう言ってエレノアさんが倉庫の屋根にジャンプすると化け猫もその後を追う。

私は、狂狼を静かに睨むと、戦いの戦端を開いた。


「いきます、シューティングブラスト!」


「ケケケッ…… 惜しかったなっ? 何っ」


先手必勝で仕掛ける、青いレーザー状の魔弾を狂狼に目掛けて放つが狂狼は大剣で私の攻撃を防ぎきった、勿論これは私のフェイクだ、私はシューテングスターを振り上げるように構えると

紋章皇国親衛隊の技を、狂狼めがけて放つ。


「はぁぁぁぁっ、領民みんなの敵を討たせてもらうっ」


「ちっ、どうやら、あの時の嬢ちゃんとは違う殺りがいが有りそうだぜ」


ソニックブームをシューテングスターの刃先から放つ、それを余裕でジャンプをしてかわす狂狼。

その様子は殺しを楽しむ残忍な笑みが浮かんでいた。


「ハハハさて、何処から何処をどうして欲しい……アッアッ?」


「大した余裕ね? じゃあ、これでどう? ノヴァ・クラッシャーっ」


私は地面にシューティング・スターの刃を叩き衝ける、たちまち石畳が粉々に吹き飛び土煙と石の破片が大量に舞い上がる、此処までは小手調べ、次は本気で狂狼を斃しに掛かる

そして、私は素早く片腕で狙いを定めると、シューティング・スターのリミッターを解除して

銃身先に魔力を収束させると、親衛隊長直伝の大技を繰り出した、この技は身体の負担と魔力の消費

が桁違いなの意で、ここぞと言う時意外は断じて使うなと釘を刺された大技を狂狼に目掛けて込んだ。銃身から凄まじい魔力の収束弾が放たれ、狂狼を魔力の本流が飲み込む。

私は勝利を確信したが、それは最悪の結果で裏切られた、狂狼が両腕をクロスさせて

ノヴァ・クラッシャーを完全に防ぎきっていた。


「そ、そんな…… 貴方は、一体……」


「きかねぇな…… そんな物話はなっ、ハハハハッ、アーハハハハッ

わからねぁのか? ま、そうだよな、いいぜ、冥途の土産に教えてやる

おれは、とある人体実験に志願して、化け物になる変わりに、この力を手に入れた

今の俺は、半分不死身なんだよっ、はははーーーっ」


いきなり首を締め上げられた銃剣シューティング・スターが腕からこぼれ落ちる、もがいてなんとか腕から逃れようとするがもの凄い力で首を絞めつけられる。


「ぐぁっ、うううう…… あがっ!」


意識が……薄れて……行く…… 不意に、エレノアさん達の顔が浮かぶ…… 

まだ……私は死に……たく……な……い。


「ぐぁぁぁぁぁっ! てめぇ」


聞こえて来たのは狂狼の絶叫だった、そして、そこに立っていたのは。


「その手を放せ化け物、彼女はお前のそんな汚い手で触って良い女性ではない」


私の体が自由になる地面に落ちると思ったら、誰かに身体を支えられる。

目を薄っすらと開くと、意外な人が私を助けてくれた。


「けほっ、ごほっ、ごほっ、ヴァ…… ヴァイン……」


「やぁ、お目覚めかな、お姫様? 積もる話は後にしましょう、フィーナ副隊長」


「なんで、騎士団の副局長殿のてめぇが此処に居やがる」


そう言って【ロンバルディア&ファイニール】の二丁のバイアネットを構える、彼の銃剣は拳銃タイプの小型紋章兵器だ。

私は安心したのか、彼の戦いを見届ける事無く意識が闇に墜ちる

次ぎに、私が気が付いたのは医務室のベッドだった。


***


ヴァインSide


フィーナは気が抜けたのか、ぐすりと眠っているアルバート君は悪い奴だこんなに君の事を想ってくれる女性ひとは彼女だけだよ?


「ケケケケケ…… 遂にナイトご登場か? ちっ、だんまりかよ?」


「騎士を気取るつもりはありません…… どちらかと言えば貴方の死に神でしょうか?」


狂狼は「ふざけやがってっ」と激昂しながら片腕だけで大剣を振るう。

他の騎士には脅威的なスピードだが、私にはハエが止まるくらいの速さでしかない

余裕で攻撃を全てかわし切った。


「遅すぎです、あと、薄汚い殺気丸出しでは、私の相手は務まりませんよ?」


「テメェ…… 何モンだ? 何者だーっ、てめぇ、答えろっ」


もう笑う余裕さえ無いらしい…… ただ怒鳴り散らすだけだ、なら、お遊びはお終いだ。

でも、最後くらい、私の本来の姿を狂狼に見せ付けて終わらせるのも

良いかもしれない。


「言ったはずです、僕は死に神だと、判りませんか? かって兄が創設しようとしていた

【死神部隊】を、と言っても、流石の兄も「やりすぎたか? じゃあ、方針変更だ」と言って

再編されたのが【大聖堂騎士団】なんですけれどね、元は貴方のように見境無く

暴れまわる能力者を殲滅する目的で創設が出ていたので、僕が今の騎士団にしては?

と、提案したのが始まりなんです」


「ち、お前が、あの【殲滅騎士】か?」


殲滅騎士、随分、古い通り名ですが、ま、彼には関係が無いです

殲滅騎士と言っても、兄が敵を完膚なきまでに容赦なく叩き伏せていたのと

当時、私が兄にそっくりな外見をしていたので、良く間違われていた、だけですがね。


「終わりにしましょうか?」


「ち、ちくしょぉぉぉぉっっ」


幾ら僕より、格下の相手でも、接近戦は時間が掛かる、それに、こんな狂犬相手に斬り合う時間が惜しい、早くフィーナさんを治療させないといけない。

僕は、一気にカタをつけるため二丁の拳銃を狂狼に向けると。 


「行きますよ、鎮魂の魔弾レクイエムッ」


「ぎはぁぁぁぁぁっ」


無数の銃弾を浴びて、さっきまでの威勢は何処へやら、ひたすら、僕の放った弾丸から逃げ惑う狂狼…… 悪党にしては余りにも情けない。

ズタズタになった身体を再生して逃げようと必死になっている。


「見苦しい…… これで終わりですっ」


ガンタイプから双剣タイプに獲物を切り替え嵐の様な斬撃を見舞う、ちなみにレスター兄さんは

蛇腹剣が得物で僕はハンドガンに銃剣が付いている武器を使いこなしている

ついでに言うと僕らの得物もかっての大戦時に数多く作成されていた<意思で武器の特性を変えれるる兵器>の量産品らしいけれど、現在は、それさえも復元が困難な代物になってしまっている。


狂狼の身体能力は油断は出来ないが所詮は身体強化された、だけであって僕ら純血の魔人に敵うようなレベルではない、自慢の大剣を折られ、身体の再生すら間に合わず、それでも必死に抵抗してきたが、それもここまでだった。


「がはっ、ま、まて、お―――」


最後まで、狂狼は言葉を紡ぐことは無かった、彼の首が綺麗に跳ねられたのだ。


「これで、フィーナさんの故郷の人々の敵は討ちました、後は、イリア隊長達にお任せしますか」


僕は踵を返して、気を失っているフィーナさんをそっと抱き上げる、そして通信機で

たった今、増援に駆けつけてきた、アルトさんに。


「アルトさん、後はお任せします。 遠慮なく残敵の掃討を任せます」


《ハッ、了解いたしました》


何しろ彼に頼んで、イリアさん達に黙って無理矢理ついて来たのですから、これくらいの事はしなくては、後は、騎士団の内部の調査と軍の監視を強化させますか?

しかし、今回は間に合って良かった。


(アルバートにフィーナさんを頼む、てっ約束されてますから)


僕は苦笑しながら、その場を後にした。


***


エレノア・アリアドネSide


ちらっと下を見ると、丁度、狂狼が副局長に討ち取られた、やっぱり副局長は生粋の化け物やで……しかも先発隊に無理矢理ついて来てたし、今度は、うちの番やね。


「まさに……愛の成せる技やな?」


「ねぇさんアタシを、シカトする気? キシシシシシッ」


さっきから耳障りな雑音がする、月を見ると紅い月が出とるな? 駄目猫のお陰で気付かんかったわ

ミオは昔は、良い子やったけれど、成長するにつれて段々と半妖の血が濃く現れて凶暴になり……

遂には、国王直属の暗殺部隊に志願する、その動機は【遠慮なく自身の血に関係なく、暗殺を愉しめるから】と言う、物騒極まりない理由やった、うちとは対象的に王家への忠誠は本物やったが

今の王が即位してからはガラリと変わってしまった。

サクヤ姫がいずれ即位すれば、暗殺部隊は解隊、ミオは凶暴な本質を持つから

その半妖の血を抑える治療が行われる、だから、サクヤ姫を排除するように、王から勅命を受けた。

そんな、ミオを捕らえるのは生半可や無い、うちも久しぶりに本物恐怖味合わせたる。


「此処まで来たら、あんたに付ける薬は無い、自分で言うのも何やけど、鬼姫の恐ろしさ…… その身に刻んで冥界に逝きぁっ!」


「そう、ねぇさんは、生粋の鬼姫って言う化け物、キシシシシッ♪

つまり、アタシとそんなに変わらない~♪」


昔のミオはこんなんじゃあなかった…… 少なくとも、サクヤ姫に出会うまでは。

そして、今のヤワト王朝の暗愚に使えるまでは、ここまで狂気を持つ事はことは無かった。


「グオオオオッーーーっ!」


天に向かって、うちの叫び声が木霊する、両手の全ての爪が紅い月の力を受けて更に長く鋭くなる、そして眼の瞳孔も猫の眼に近い物に変化していった。

紅い月は昔っから、災いの象徴と呼ばれている、それは獣人や魔人が時折理性を失うほど、強大な魔力を増幅させるからだと昔聞いた事があった、その為、不幸にも多くの獣人や魔人が戦場に借り出され、それが彼らの上級種族支配論を生み出す原因になった。


「さて…… こっちも、ねぇさんと同じ土俵に立たないとねぇ…… ギニァァァァッーーーっ」


ミオも化け物に変わる…… 爪が刀見たいに伸びる、そして牙もまるでサーベル・タイガーや此処まで凶暴になったら、止められるのは、うちかイリア隊長かサラさん位なもんや

そして、目の前に凶暴になった一体の化猫がうちを視て威嚇をする。

うちも負けじと雄たけびを上げる。


「ギニァァァァッ」


「グオオオオッ」


咆哮を上げ激しくぶつかる、ミオはより機敏にうちはより激しく攻め立てる、屋根の上を飛び回りミオや、うちはそれぞれ屋根板を剥がして投げつける。

たまに小ざかしい人形が襲ってきたが、腕を一振りするだけでスクラップになっていった。

そんな中を、うち等は容赦なく殺しあっていた、そして。


「キシシシシッ、ねぇさん、そろそろ…… カタを付ける?」


「ミオ…… 何で、何で、サクヤ姫に襲い掛かったん? 姫はアンタを救おうとしていたんやでっ」


以前から疑問だった事を、ミオに尋ねる、あの暗愚に、ミオ自身が本心で忠誠を誓っているわけでも無いが聞かずにはいられなかった。


「簡単な話♪ 姫になられるお人に純血だろが、混血だろが要らない血統だから、キシシシシッ♪

あの、ボンクラもそう言っていたしね~♪」


そう言って、うちに飛び掛かって来るミオ。


「そんなん理由なるかーっ、ウォォォォッーーーッ!」


うちも同時に飛び掛かる、この時、うちは本気で切れていた。


「頭、冷やしさらせっ馬鹿ネコがっ!」


空中でミオを引っつかんで地面にたたき付ける、その衝撃で石畳が粉々になり、派手に、ばら撒けなら土埃を上げ、ミオを地面にめり込ませる。

ミオは大きく目を見開いて口から少し血を吐いた、それを、うちは視ながら荒い息を肩でしながら

ミオを見下ろしていた。


「ぐぎゃっ」


「はぁ、はぁ、もう、諦めや、さあ誰に雇われたんか白状せえやっ……」


「し、仕事のな、内容を、敵にバラス……馬鹿は……いない……よ、ねぇさん……?」


そう言って、ぐったりと動かなくなる多分毒呑んで自害しおった。

うちは毒を吐き出させようとしたが、間に合わんかった。


「アホ、アンタには、まだ、言いたいことが、山ほど残ってるやっ、誰かーっ、衛生班急ぎやっ」


頭では助からんのは分かっとる、馬鹿ネコ…… 殺しの一族に生まれた者は最後は何時もコレや

仕事に失敗したら簡単に命をを捨てる、だから、うちは姫様以外あの国の事が嫌いなんや。


****


イリア・キサラギSide


エレノアさんから目標の捕獲失敗とそして、フィーナさん負傷の連絡が入る、幸い副局長の救援と手当が間に合って、今は休んでいるとの事、ほんと無茶をするのだから、二人とも。


「二人の事が気に入るけど…… こちらも、そうは言ってられないませんね?」


連戦続きのサラさんに私は休む用に言った、だけれど、ぜんぜん人の言う事を聞いてはくれなかった「この程度のダメージ、ヘリで目的地に着くまでに回復しているさ」と言い切って

そのまま、倉庫街に到着すると、やる気満々の笑みで、戦闘用の魔術人形を既に30体は片付けている



「デク人形共では、この程度か? 武装がまちまちで、ただの人海戦術では、面白みも何も無いか」


確かに周りはのっぺら坊の人形だらけだ、ただ彼等全てが腕に武器や腕そのものが剣だったりする。

明らかに私達を消耗させるだけの使い捨ての駒だ。


「お待ちしてましたわ…… 小娘さんに狼女さん?」


フード姿の女性が鉄塔の上から私達に話かける、そしてその横に居るのは……。


「ケケケッ…… 俺の劣化クローンを処分してくれるとはなぁ…… さて、何処をどうしてやろうか…… ええっ? 」


そう言って狂狼は、文字通り(・・・)人狼に変身する、ただし姿は人狼とは違う、一言で言えばサイボーグだ……右腕に、フェリオ君の改造ガントレッドが装備されている左腕は巨大なガキ爪がある、どうやら、あの時の戦闘データーを元に作ったコピー品らしい。


(イリア隊長、多分フェリオの魔王の力使わんと、絶対勝てん相手には使うんやったら十分注意しいや…… 長時間使用し過ぎしたら、あんたの体がどうなるか解らんから、これだけは絶対守って

うちとの約束や)


エレノアさんの言葉が頭を過ぎる、勿論、私もそのつもり、フェリオ君の力ばかり頼っては

彼に甘える気がして気が引ける。

この件が終わったら、暫くは訓練を集中的にしていこう。


「フェリオ君、私に…… ううん、私達で勝とう一緒に」


そう、力だけ求めればやがて私もこの哀れな魔人兵と同じ末路をたどる

だけれど私達は、彼等とは違う、今から逸れを証明する。


「必ず勝とうね、フェリオ君、貴方を全力で倒します」


「ふん、何勝手な事…… 吐かしてやがるっ、さぁ、かかってこいや、アマちゃんの隊長さんよっ」


狂狼がレーザーカノンを放つが、私は瞬時に逸れを見切ってかわす、フェリオ君のガントレッドに比べたら発射までの時間がかなり遅い。

うん、これなら、みんなの力を借りる必要は無い、私はそう判断を下し部隊の皆に時事を出した。


「サラ将軍は人形使いをお願いします、各隊は人形達の殲滅を任せます

くれぐれも無理はしないように」


《了解しました、隊長》


「心得た、君はそいつに専念してくれ」


私は姿勢を低くして、狂狼に突進する、そして、狂狼に対抗しやすい剣を作りだす。


「ブレード・展開、さあ、行くわよっ」


でも何故か斬馬刀の用な大剣が出現する、イメージを間違えたか?

私がフェリオ君の力をまだコントロール出来ていないなのか?

いきなり大剣が現れてしまった、しかし、見た目以上に大剣は軽かったので扱いやすい。

片手で大剣を下から上斜めに振り上げるレーザーカノンは砲身から真っ二つに切断される。


「くっ…… どんな魔術だ? てめぇ一体、何をしゃがった?」


動揺しながらも狂狼は、ガギ爪を振り上げる、だが遅い、私は素早く間合いを一気につめると

手にしていた大剣で狂狼の胴を薙いだ。


「はぁぁぁっ!」


「ーーっ、ぐおっ! この、化け物め……」


そう、言い終わると同時に上半身が吹き飛ぶ、流石に慣れていないので余り気持ちのいいものではないわね、それにしても。


「まかさ、貴方も劣化クローンて言わないわね?」


自分が死んだ事すら理解出来る時間さえ、私は与え無かった、次に私は回収班に人形の残骸等を待機している回収班に指示を出した。。



「回収班、人形の残骸の回収を頼みます、あと、幾つかのサンプルはカレンさんに渡してください」


『了解です、隊長』


私が戦闘を終えると既に人形達は各隊によって殲滅されている、どうやら

これで、戦闘は終わりらしい、それにしても今回はこの程度で済んだが、いよいよ内部の敵に対して

何らかのアクションをレスター局長が起こすだろう。

私達絶対に彼等(強硬派)に成ってはいけない、そうなると私達はただの戦闘集団に成り下がる。

それだけは、避けないと。

サラさんが戻って来た、表情が暗いどうやら。


「済まない、追い詰めたが、後、もう少しの所で逃げられた、君にもフェリオにも本当に済まない」


「あ、頭を上げて下さいサラさん、」


そう言って、彼女は頭を下げる、彼女の生真面目さは見習う所があるが、そのもう少し力を抜いてほしいと思った。


****


???Side


「で…… 結局、余り成果のないまま、あの二人を二人共失ったと……?」


画面向こうの相手が私に応える、はっきり言って、大失態だ…… 

もう、私に後は無いだろう、兎に角、これ以上の失態は何としてでも避けねば。


「で、ソフィア…… 最後の伝書鳩は?」


「はい、多少危険ですが、演習中にも書管を取り付けますわ」


最後…… つまり切り捨てか、そう考えていた私に通しない手は含み笑いをしながら。


「ソフィア、今一度と我等が【王】は機会を貴公に与えると仰せだ……」


「ハッ、ありがとうございます、陛下のご期待には必ず報いる所存でございます」


陛下の恩情で何とか助かったか? 兎に角、これ以上の失態は許されない

今回は命令どおりに動いていこう


「今から、その命令書をそちらに送る、後は、その指示通りに動け

三度目は無いと心得よ」


「ハッ」


送られてきた、並ば全力で掛からなければ次は粛清されてしまう

いや、しくじったら表舞台から姿を隠せば良い……。

私はそう考え、人知れず笑みを一人浮かべるのだった。


***

騎士団資料室side


エレノア・アリアドネside


うちは、騎士団資料室のパソコンに今回の一件の報告データーを纏めて提出していた。

此処のパソコンには高度なセキュリティーが施されているので、そう簡単にデーターを持ち出す事が出来ない、と言うのも逐一誰がどのブースで何をしていたかが、日付とその日の天気気温まで

正確に記録されているので、おかしな点があれば直ぐにバレる仕組みになっている。

今回の誘き出し作戦は失敗に終わったけど、収穫はあった見たいやな?

この件が保安課から、うち等実動隊に異動したから、後は彼等(局長)達の出番やな、今回はうちら下っ端の手に余りある事やから、もう、上の判断に任せよう。

そうでないと、幾らうちでも越権行為になりかねないしね。

それかれら、最近、変わったと言えばフィーナさんやろか、スコット君にフェリオのDVDもろてから、フェリオ君親衛隊に入って、フェリオの事を色々観察しているみたいやし

と言っても、あのDVDはフェリオの戦闘パターンも幾つか混じってるから逸れの研究やろか? ん…… コンピューター室から、性悪女のソフィア少佐が一人で出て来たうちを見るなり、えらい殺気じみた視線、飛ばしてたけどガンの飛ばし合やったら受けたろか?


一別くれて、あの性悪、自室に戻てっ行った、まあ、ええわ、いずれ証拠は出るやろ、今回はうちらとドローやからな。

理由は状況証拠だけやからな、あんな自動人形は人形使いやったら誰でもできるしな。


「今の段階では、フード女の声かて性悪女にそっくりなだけや? サラ将軍が捕まえようと挑んだらスナイパーが邪魔したて話やし?」


考えてしかたがないさっさと、フェリオの見舞いに行かんとな~♪

演習当日自分の判断力の甘さ加減を思い知らされとは、こん時は、露ほど思わんかった。

次話頑張って執筆します。


「!」の表示を少なくしました。

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