最終話 一緒に歩む運命の人ですわ!
【鉄鋼男子高等学校・野球部控え室】
猛がベンチで考え込んでいると、扉が勢いよく開かれた。「あれ!? 女子がいる!」「こんな汗臭い場所に女の子が入っちゃダメだよ!」
部員たちが騒然とする中、息を切らした結菜が猛の前に立つ。
「猛くん、一緒に来て! 咲希が大変なの!」
「咲希が!?」
「今、決勝戦で咲希が負けそうなの! でも猛くんが来てくれたら……絶対、勝てる!」
「…!」
猛はハッとした顔で立ち上がり、キャプテンに向き直った。
「キャプテン……俺、ちょっと行ってきます!」
「……わかった。決めてこい!」
「はい!」
猛と結菜は恋華女子へ走り出した。
部員「キャプテン…。これから決闘なのに行かせてよかったんですか?」
「あいつはこれからもっと強くなるぞ!はっはっはっ」
部員「?」
キャプテン(彼女持ち)は猛が強くなるのを確信して送り出した。
トーナメント会場
実況「咲希さん、防戦一方です! 鉄仮面はもうボロボロだーっ!」
解説「愛を自覚したゆえの脆さ……。このまま終わってしまうのでしょうか!?」
聖子「……もう終わりにいたしましょう。百恵、準備は良くて?」
百恵「はい、聖子様。――これが私たちの愛の終焉です」
聖子が百恵の首筋を噛むように深くキスをする。
その刹那、闘技場の天井にとどくほどの巨大なニ輪の百合が咲き、咲希を飲み込もうと迫る!
(もう……ダメですわ……!)
その時、会場の扉が轟音と共に開け放たれた。
「咲希ーーーーーッ!!!」
「猛!?」
猛が観客席を飛び越え、ステージの上に力強く着地する。
実況「ま、まさかの猛くん乱入ーっ! 聖域に男子が立ち入るなど前代未聞!」
解説「ヒロインのピンチにヒーローの登場!まさにクライマックスですわ!」
猛はボロボロの鉄仮面の前に立ち、咲希を見つめる。
「咲希、ボロボロだな……。ルールはよくわかんねぇけど、これ、恋の戦いなんだろ?」
「……。」
「その恋の相手って……俺か?」
「!」
猛は真っ直ぐに、ストレートを投げる時の瞳で語りかける。
「…猛。皆様の恋愛を見て、わたくしも戦って、結菜に教えられて……やっと分かりました。わたくしは、猛のことが…好き…。ずっと一緒にいたいですわ!」
「俺も、咲希の試合を見てから、色々考えたんだ。お前のこと考えてると胸がモヤモヤして、決闘に集中できなかった。……っで、分かったんだ!俺、咲希のことが……ずっと前、出会った時から好きだ! 」
猛が、割れた鉄仮面の隙間から、咲希の唇に熱い口づけを落とす。
観客「キャーーーーーーーーーッ!!(最大級の尊死)」
その瞬間、ボロボロの鉄仮面が黄金の光と共に弾け飛んだ。
咲希・覚醒武装:『隣を歩む黄金の運命』
無骨な鉄甲は消え去り、猛と手を繋ぐための「空いた右手」が輝く、純白と黄金のウェディングドレス。
「猛…。これから先もずっと、よろしくお願いしますわ!」
「咲希!」
二人が抱き合った瞬間、どこからともなくウェディングソングが流れ、空から祝福の紙吹雪が舞い落ちる。
聖子「……完璧な私たちの愛も、こんなドラマチックな告白をされては…勝てませんね…。」
百恵「ええ……。完敗ですわ、聖子様」
『――WINNER:如月 咲希 & 猛――』
実況「優勝は、咲希さん&猛くんコンビーーーッ!」
解説「あぁ……なんて素敵な、バカ正直な告白でしたの……(感涙)」
会場中が鳴り止まない拍手に包まれる。
特等席では学園長が夫と肩を寄せ合い、
「若い時の私たちみたいね」
と微笑んでいた。
扉の前で、結菜は少しだけ寂しそうに、けれど誰よりも晴れやかな笑顔で呟く。
「二人とも、単純なんだから。……おめでとう」
解説「これにて恋愛バトルトーナメントは終了ですわ!」
実況「それでは皆さん!来年の恋華祭まで、ごきげんよう!」
抱き合ったままの二人、鳴り止まない拍手の中、恋愛バトルトーナメントの幕が降ろされた。
数日後
「ほら二人とも、早く学校に行きますわよ! 遅刻しますわ!」
「ちょっと咲希、引っ張らないでよ!」
「……手をつなぐの、まだちょっと恥ずかしいな……」
左手に少し照れくさそうな結菜、右手にデレデレの猛。
咲希は「お嬢様言葉」を響かせながら、最高の笑顔で前を向く。
3人は仲良く、昨日までよりも少しだけ色鮮やかになった通学路を走り抜けていく。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
勢いのまま書きあげた恋愛バトル。
主人公は咲希でしたがヒロインは完全に結菜でした。
バトル以外の恋愛要素は結菜が全部請け負ってくれました。
勢いを止めたく無かったので細かいことはあえて書きませんでしたが、書く機会があれば書きたいと思っています。
執筆したもの
「下町スーパー、女神付き〜転生特典は人の怒りが見えるだけ?〜」完結
「ひなたのことば〜ここは言葉の幼稚園〜」完結
「異世界課へようこそ!」連載中
新作執筆中
最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは「次回作まで、ごきげんよう!」




