4-6 伝達事項
昼食を摂り終え、少し駆け足で教室に向かう。
別に遅刻しそうとかそういうわけじゃない。ただ楽しみなのだ。
先生が話したい内容は大体予想がついてる。恐らく上級生になってから受けられるようになる課外の話だろう。
その話が聞けるかもというだけで心が躍る、足が進む。
魔闘大会の対策が間に合わないかもしれないという焦燥感はある。
けどそれ以上に新しい課外が開放されるということに対する興奮が強い。今すぐ遊びつくしたいという思いが止まらない。
楽しみだ。
ってあれ?もしかして凄い危ない考え方してる?まあいいや。
話の内容が新しい課外についてというのはあくまで予想、確定したことじゃない。
とりあえず教室に行こう。
「三人とも居ますね、それじゃあ色々話していきます」
三人全員五分前行動で教室で着席していた。
この五分前行動も完全に習慣になったな。
「それでまず一つ目、上級生になると新しい課外が受けれるようになるのは皆さん知ってますね。一つ目はそれについてです」
内心予想を的中させた喜びでガッツポーズを取りながら話を聞く。
「まず新しく『複合魔術』と『魔術開発』の課外が受けれるようになります。まず『複合魔術』については名前の通り複合魔術について主に授業をしてますね。すでに複合魔術を使える人もいると思いますがより理解度を深めるために受けてみてもいいと思います。次に『魔術開発』について、これも名前の通りですが新たな魔術、既存の魔術の発展、新たな利用方法を研究する授業です。これは授業というより一流の魔術師の方が行うような研究に近いので試験はありません。なので出席さえすれば成績に加算されます。もちろん何から発見があったりそれを発表すればその分も成績に入ります。ここまでで質問がある人はいますか?」
ざっくり要約すると新しく増えたのは複合魔術についての授業と魔術の研究ができる場を提供してくれる授業ということかな?
「先生、『魔術開発』の授業は研究の場と材料を用意してくれるってことでいいですか?」
「はい、その認識であってます。魔力回復用の回復役や魔力を刻みやすい宝石などの材料、要望があれば可能な範囲で用意することもできますね」
「わかりました、ありがとうございます」
もう正直この時点で両方受けたい。
複合魔術はこの五年ほぼ独学でやってきたからお世辞にも正しく理解してるとは言えない。
魔術開発に関してもこの人生で何度作ってみたい、こんな魔術あったら良いなと思ったことか。
その度費用と材料の問題で実行に移せなかったので研究の場を用意してくれる時点で今すぐ行きたい気分だ。
まあ受ける課題は再選択できるから融通は利かせられる。
五科目受けて皆勤達成したんだ。なんとでもなるはずだ。
よし、受けよう。
「あとは質問ないですね。二つ目の話を始めます」
そういえば一つ目って言ってたな。
正直このタイミングで言う事あとなんかあるか?
「二つ目は魔闘大会の対戦表が発表されました。学園の正門に張り出されてますね」
……エントリーしたばっかりじゃなかったのか?
これ多分大分前からエントリーしてたな。
「三人は戦魔術師クラスの特権として二回戦からの出場なのでそれを踏まえると、恐らく一番の敵になる上位魔術師クラスと戦うのは決勝戦になりそうです毎年くじ引きで対戦表を決めるんですが戦魔術師クラスと上位魔術師クラスが決勝戦で当たる組み合わせはそうありません。なので皆さんが勝ち上がれれば恐らく今年の魔闘大会の一番注目を集める試合は決勝戦になりそうです」
くじ引きだったんだ……
こういうのって普通バランス考えて組むものじゃないのか?
まあ贔屓を避けるためには一番の方法かもしれないが。
というかこれなら逆に決勝戦まで危なそうな相手居ないんじゃないか?
いや、私より強い人に心当たりが無いわけでもないが強いと言っても一部だけ、何でもありのルールなら私やマルクが勝つ。
なんならヒナの支援やチーム単位の戦いになればより確実に勝てると思う。
とりあえず表を確認しないことには始まらないかな。
その私達より強そうな人のチームメンバーとどこで戦うことになるのかも確認したいし一回見に行こうかな。
「とりあえず伝えなきゃいけないことはこれで全部ですね。新しい課外の見学とか対戦表の確認とか色々やりたいことがあると思いますので今日はここで解散にします。起立、礼」
「「「ありがとうございました」」」
終礼の挨拶を済ませ、とりあえず対戦表を確認するため正門へ向かう。