魔族の定例会議
魔族の住む魔界では、72柱の魔人と大勢の魔物が住んでいる。猊下と呼ばれ魔人達に慕われている者を頂天に【7つの大罪柱】と呼ばれる7柱の魔人達が、65柱の魔人達を従えている。
魔人達が住む宮廷で7柱、順に…
魔王軍序列一位【傲慢】のルシファ
序列二位【羨望】のレビアタン
序列三位【憤怒】のサタン
序列四位【怠惰】のベルフェゴール
序列五位【強欲】のマモン
序列六位【暴食】のベルセブブ
序列七位【色欲】のアスモテウス二世
そして、猊下の助手でメイドの魔王軍序列八位のアリサベートが集って定例会議を行なっていた。
「ベルゼブブ、[祝福の呪い]は、上手く行っているのか?」
「ルシファ様、守備よく魔物化しております。が、本人の憎しみが足りません」
「ほほ〜。其れは、呪いが失敗したと言う事じゃ。そうじゃろ?」
「滅相も御座いません、サタン様」
「う〜ん。猊下の話やと王子が優し過ぎるって言うとったなぁ」
「其れなら、憎しみを与えてやれば… どうなる?」
「ふはははー、面白い。やれ! やれ!」
「マモンよ、簡単に言う出ないわ。色恋なら妾が行くのじゃがなぁ」
「ブフッ、アスモテウス(二世)が行ったらあかん。王子がボロボロになるやん」
「ぶははー、面白い。やれ! やれ!」
「マモンの馬鹿が… 」
「ベルフェゴール、今何と言った?」
「フッー、聞こえとるくせに」
「なにいー!」
「てめえらいい加減にしろ! 会議が進め無えじゃねえか!」
「レッ、レビアタン様、お言葉が漢になっておるのじゃが… 」
「あら、頭に血が昇っちゃたわ」
「明日から王子の所行くねん。ウチが何とかええ方法見つけてこようと思てんねん。期待しとって!」
「はぁー、アリサベートの提案で宜しいか?」
「「ああ」」
「了承じゃろ」
「妾も」
「では、引き続き次の案件を… 」
定例会議を抜け出し、帰宅したアリサベートは、角の飾りの付いたカチューシャを頭から外し、茶色のファンデーションを拭き取った。そして、魔族の露質の多い派手な服装から商人の娘が好んで着る上品な服に着替えアリサになった。
「ふー、やっぱりこっちの服の方が似合うやん」
黒くてウエーブのかかった肩ぐらいの長さの髪にソロモンから貰った薔薇飾りのピン留めをしてアリサは、シャローム大陸の聖教国へ向かう為に黒滝のバハロフを呼んだ。
「バハロフ、王都に遊びに行くんよ。近く迄でええから送ってくれへん?」
『アリサベートは、息子の命の恩人だ。無理難題でも聞くぞ! 遠慮はするな』
「恩人って子供の頃の話やでー」
『何十年たとうが、我等からしたら昨日の事だ』
「何やねん、それ。まぁ、ええわ。行こかー」
『承知』
バハロフに乗ったアリサは、通り過ぎる広大な闇の大地を眺め大きくため息を吐いた。
『どうした?』
「何でもあらへん。ただ『魔族領は、広いなぁ』って思て」
『…… 』
「あっ、見えて来たで、人間の大陸まで『あっ』と言う間な」
『あそこの森が、一番学園都市に近い』
「おおきに。あの川辺で降ろして」
黒滝は、急降下し、翼をたたんで川辺に足を下ろした。アリサは、トランクを抱えて飛び降り、川沿いに下って行った。暫く歩くとフェンリルが、冒険者に寄って殺されかけていた。よく見ると近くでフェンリルの子供が震えていた。
「あかん、あんなん見たら助けてしまいそうや」
「おーい、そこの女!」
「ウチの事か? 何やねん?」
「危ないから、もっと下がれ!」
アリサは、『チッ』と舌打ちし下がろうとしたが、冒険者の一人が、弓でフェンリルの子供を狙っていたので慌てて防御結界を張り守った。そして、冒険者達に【睡魔の呪い】を掛けた。
「あ〜あぁ、やっぱりやってもうたやん」
【睡魔の呪い】とは、夢の中の試練に打ち勝たないと目覚めない呪いでアリサベート(アリサ)の最も得意とする魔術だった。
アリサは、フェンリルの子供を抱き上げ親の元に返そうとしたが、親のフェンリルは、もう既に生き絶えていた。
「あゝ、あかん方のやってもたや! 如何するねんなぁ… ウチに育てろってか!」
アリサは大きくため息を吐き、そのまま親の側に置いても誰かに殺されるだけなので仕方なくフェンリルの子供を抱き学園都市に向かった。
猊下って誰ですかね?
アリサさんが魔族だったなんてー
ビックリですね。




