久々の一人調理
昼飯の焼きおにぎりを配ったあとは、それぞれが別行動へ出る。
転移屋へ向かう皆を見送り、俺はイクト達を伴って料理ギルドへ向かう。
到着後、まずはオリジナルレシピを納品する依頼を受け、未提出のオリジナルレシピを提出する。
今回はホワイトデスバッファロースープ、デスバッファロー出汁の山かけうどん、ロックオイスターと野菜のオイスターソース炒め、ハイスピンホタテとブロッサムシュリンプの炊き込みご飯、粉チーズ入りタックルラビットの唐揚げ、スカルコンドルうどん、サザンクロスコンジュースの七つ。
これで提供数は合計六十個。
オリジナルレシピの提供で得られる称号は、【クッキング・オリジン】が最後だからもうこれ以上は無いとはいえ、それが目的ってわけじゃないから提供は続ける。
ちなみにディーパクトと一緒に作った料理の中にも、オリジナルレシピはあった。
でもそっちはディーパクトが使うよう、既に話はついている。
これからあの星座チェーンクエストに挑むのなら、いずれ料理用の魔道具を扱うフィシーの下へ辿り着き、オリジナルレシピの提供で入手できる料理ギルド認定証が必要になるからな。
「じゃあ、次は依頼だな」
称号によって増えた報酬を受け取り、再び掲示板の前に立って貼られている依頼を見ていく。
「どれにするの、ますたぁ」
「時間はたっぷりあるんだよ」
「うー。うえのほー、みーない」
足元で尋ねるイクト、昼飯は用意して渡しているから時間的余裕があることを告げるミコト、上の方が見えないと背伸びしたりぴょんぴょん跳ねたりするネレア。
この三人に対して周囲から暖かな視線や、「赤の料理長だ」とかいう呟きと尊敬の眼差しを向けられる中、依頼をいくつか選んで受付で受理してもらい依頼先へ向かう。
一件目、如何にも港の食堂という外観をした店で魚の下処理。
「これ、なんておさーな?」
魚好きのネレアが捌かれていく魚をキラキラした目で見ている。
「マンプクダラだな。生食は出来るが少し水っぽいから、このまま食ってもあまり美味くないってさ」
腹がやたら膨れている魚を【食材目利き】のスキルで見たら、情報にそう出ていた。
生で食うなら塩を振って水分を抜いて、水分と一緒に流れ出た旨味を補強するため昆布で締めたらいいかな。
いや、そもそもタラだから、フライや鍋の方がいいか。
そんなことを考えつつ、イクト達に見学されながら仕事を終えた。
二件目はこの界隈でも大きい商会の厨房で、食事作りの手伝い。
任されたのは出汁作りで、料理番のNPCから指示された通りに昆布やかつお節で出汁を取る。
その間イクト達は、あっちこっちでNPC達の調理を見学させてもらっている。
最初は止めようとしたが、邪魔しなければいいよと言われ、見学している様子にとても和やかな笑みを向けていた。
とはいえ主人として注意を向けながら出汁取りを続け、出来上がったのは完成度九十五の和風出汁。
「ほう、かなりいい出来じゃないか。やるな、君」
完成した出汁を見た料理番のNPCが、ニヤリと笑ってそう言った。
するとこんなに良い出汁を作ってくれたお礼にと、贔屓にしている乾物店を教えてもらった。
場所が三件目の依頼先へ行く途中にあるから、ちょっと寄り道して訪れる。
「わー、いろいろある」
「どれもおーしそー」
「二人とも、商品だからベタベタ触っちゃ駄目なんだよ」
店の中をイクトとネレアがうろちょろするが、ミコトが注意を促して二人の手を握る。
しっかり姉をやってくれているお陰で、安心して商品を見ることができる。
乾物屋だけあって、昆布に鰹節に魚の干物類が置いてある。
他にはちりめんじゃこ、スルメ、小エビを乾燥させたもの、ひじき、のり、煮干し、焼き干し、干し貝柱、珍しいのだと棒鱈がある。
これら普通の物だけでなく、ゲーム特有のもある。
プレオープンの時にセツナが使っていたコクヨウヒジキ、干したタテガミブリのタテガミ、ハイスピンホタテの貝柱、干しブロッサムシュリンプ、干しハイスピンホタテ、等々。
既に知っている物もあるが、海鮮系の乾物を取り扱っているんだな。
色々と考えた結果、ドリルサーディンの煮干しと干したタテガミブリのタテガミだけ購入した。
「よし、三件目へ行こう」
「そのまえにごはん!」
「お昼の時間なんだよ」
「やきおーぎりたべーの!」
おっと、もうそんな時間か。
満腹度と給水度は低下していても、実際に空腹感や喉の渇きがあるわけじゃないから気づかなかった。
「じゃあ先に飯にするか」
「「「はーい」」」
手を上げて返事をするイクト達を伴い、近くにあった公園のベンチで焼きおにぎり四種を食べる。
俺が焼いたのは外側がパリパリで中はしっとり柔らか、ディーパクトが焼いたのは外側がカリカリで中はバリバリ。
どちらの食感もいいんだけど、ディーパクトが焼いたのは少し火が通りすぎて水分が飛び過ぎだ。
焼きおにぎりを美味く作るには、いかに焼きすぎないかが大事だと暮本さんに教わったことがある。
まあ、店で出さないなら外がカリカリの中がバリバリでも、それはそれで美味いんだけどね。
「みそまぜたの、おいしい!」
「しょーゆのがおーしー!」
「ビリン粉の刺激と香りが、塩と共にごはんの美味しさを引き立てているんだよ。少し焼き過ぎで固いけど、これはこれで美味しいんだよ」
口の周りにごはん粒を付けながらイクトとネレア美味そうに食べ、ミコトも注意が効いたのかディーパクトの調理への不満を言わずに食レポをする。
しかしザーサイ入り焼きおにぎり、思ったよりもいけるな。
ザーサイは漬物としてだけじゃなく、炒め物にも使うから火を通してもいけるってことで、半分試しで作ってみたけど美味い。
細かく刻んだからごはんと一緒に食べても口の中に残らず、食感の違いを楽しめて、野菜とはいえ適度な重さと刺激がごはんの美味さを引き立てている。
「マスター、これを食べたら次はどこに行くんだよ?」
「うどん屋だ」
昼飯を食い終えてそのうどん屋へ向かい、依頼にあった仕事をこなす。
内容は厨房の雑用。
店の味に関わる調理は一切せず、必要な食器や具材を用意したり洗い物をしたりする。
現実で店を手伝っているのと同じような内容だから、特に問題無く仕事をこなす。
ただ、想定外の事態が一つ発生していた。
「おうどん、おまたせしましたー!」
「こちら、天ぷらうどんと釜揚げうどんなんだよ」
「さーばんてーぶる、おーしうどんと、とろーうどん、はーりまーた」
暇なイクト達が手伝いを申し出て、それをNPCの店員達が受け入れた上に、心配無用とばかりにしっかり働いていることだ。
舌足らずなネレアの通訳はたまに頼まれるが、仕事そのものは全く問題無く、本当なら接客もやる予定だった俺は厨房での仕事しかしていない。
接客の基本である笑顔が満点のイクト、しっかり者のミコトは無表情なのは気になるが丁寧かつキビキビ動き、見た目に寄らず力があるネレアは軽々と両手に料理を持って運んでいく。
思わぬ店のマスコット大量発生に、来店しているNPCやたまに現れるプレイヤーの表情が緩んでいる。
「イクトきゅんが運んできたおうどん、食べずに保管したい」
「うおぉぉっ。ミコトたんに接客されるなんて、今日はもう何度死に戻りしてもいい」
「あー、うろちょろ動いて働くネレアちゃんが尊い。長居はマナー違反と分かっていても、長居して見守っていたい」
イクトが運んできたうどんを受け取った若い女性プレイヤーが感動して、ミコトに注文を取ってもらった小太りの男性プレイヤーが俯いて震え、働くネレアを見ている妙齢の女性プレイヤーがだらしない表情をしている。
他の来店しているプレイヤー達もイクト達を見ているから、ひょっとするとイクト達が接客していることが、プレイヤー間で広まっているのかもしれない。
まあ店に迷惑は掛けていないし、イクト達に迷惑を掛けているわけでもないから、別にいいか。
「五番テーブル、冷やしたぬきうどんときつねうどんとざるうどんの大盛りなんだよ」
追加の注文が入ったことだし、仕事に励みますか。
今のメニューなら、揚げ玉の追加と油揚げ、それとうどんを盛るためのザルとつゆ用の器を準備だな。
想定通りの指示がNPCの店員から飛んだけど、既に想定済みで置いてある場所も把握済みだから、手早く用意していく。
「なんだ料理長のあの動き。迷いがねぇ」
「まさかどこに何があるのか、把握済みってこと?」
「それだけじゃない。おそらくは何を指示されるのか想定しているから、淀みなく動けるんだ」
「どうしてそんなに詳しいのよ、アンタ」
プレイヤーの中にはイクト達じゃなく、こっちを見ている人達もいるが今は仕事が優先。
手早く食器やお盆や材料を用意して、溜まってしまう前に洗い物を片付ける。
そうして仕事が終了すると、スムーズに仕事をしてくれたお礼に漬物屋を教えてくれた。
ひょっとすると働きぶりが採点されて、基準値に達したら教えてくれるのかな。
ともあれ料理ギルドへ報告して報酬を受け取ったのち、裏通りにある隠れ家的なその店へ行ってみると、野菜や魚の漬け物が豊富に並んでいた。
塩漬け、味噌漬け、ぬか漬けと色々あるが、その中にはたらこや明太子や数の子といった魚卵系も並んでいた。
それらを一通り見て、マンプクダラのたらこと明太子、カワラズタカナのからし漬け、そして店主の人が良さそうなお婆さんNPCにぬか床を売ってもらえないか尋ねたところ、料理ギルド認定証を見せたお陰か快く売ってくれた。
「ますたぁ、それどうするの?」
糠が詰められた壺を指さすイクト。
これに野菜を漬けてぬか漬けを作っていいんだが、今回はある料理を作りたくて買ったんだ。
「こいつで美味い魚料理を作る」
「おさーなっ!? どんなの!?」
「ぬか炊きっていう料理だ」
福岡出身の祖父ちゃんから教わった料理で、これで飲むのが最高なんだとか。
甘辛い味だから、酒だけでなくごはんのおかずにもなる。
あいにく今日の晩飯は麺類だけど、後に控えている披露会の魚料理として出そうと思う。
既に考えている料理はあるが、複数の品を出しても問題あるまい。
それからぬか炊きを求め、「たーたい、たーたい」と声を上げるネレアを説得し、晩飯の準備をするため作業館へ。
一階の作業場を借り、晩飯の仕込みを開始する。
「赤の料理長のおでましよ。作業中断して」
「中断できない人は、急いで中断できるところまで進めて」
「急げ。匂いにやられてミスるぞ」
周囲の騒がしい声と正面に陣取りイクト達の視線を浴びつつ、調理開始。
まずは米を仕込んで魔力炊飯器で炊き、水を張った寸胴鍋と大鍋を火に掛けて、メフィストからもらったヘルシャークの骨を洗ってタマネギとニンジンとニンニクと共に寸胴鍋で煮込む。
続いてジンジャー、変異野菜のピリピリネギ、爆裂唐辛子、ポッコロとゆーららんが新しく栽培したというカラフルガーリックを刻む。
カラフルガーリック
レア度:6 品質:8 鮮度:94
効果:満腹度回復3%
通常のニンニクの変異種
一片毎に色が違うが、味と香りと食感は何色でも同じ
クセの無い香りで辛味は無くほどよい甘味がある
何色が出るかは皮を剥かないと分からないが、色によって味と香りと食感が変わらないのは助かる。
でないと皮を剥い料理に影響が出る。
もしも違うのなら、同じ色の欠片だけを集めてバラ売りしてくれると助かる。
刻んでいるうちに大鍋の水が湧いたから、テボに太麺を入れて茹でる。
寸胴鍋に灰汁が浮いてきたから取り、食材を刻み終えたら一旦アイテムボックスへ入れ、茹で上がった麺を上げて湯切りして網をセットしたバットへ一玉ずつ載せて次の麺を茹でる。
しばし麺茹でと灰汁取りを繰り返して十分な量の麺を準備したら、今度は依頼達成の報告後に料理ギルドで購入したタックルラビットのモモ肉を小さく切り分け、魔力ミキサーでひき肉に。
次はドクモドキナスを小さめに切り、灰汁抜きと変色防止に水分を出すため、バットへ広げて塩を振っておく。
アイテムボックスへ入れておけば鮮度も保てるから不要だろうけど、料理の修業を兼ねているから現実と同じようにやる。
続いてポッコロとゆーららんから受け取っていたネンの実の皮を剥いてすりおろしたら、下準備はひとまず終了したからしばしゆっくりできる。
「まーたー、きゅーにゆーくりになったね」
「この出汁が完成するか、米が炊けるまではな」
作るつもりの晩飯は、麻婆茄子を掛けた汁なし麺、カワラズタカナのからし漬けを使った高菜ライス、そしてヘルシャークの出汁で干したタテガミブリのタテガミを煮込んだフカヒレスープならぬタテガミスープ。
つまりここからは、出汁かごはんがないと進められないんだ。
というわけで寸胴鍋に浮いた灰汁を取って火加減を調整し、塩を振ったドクモドキナスから出た水分を乾燥スキルで取って一旦アイテムボックスへ入れ、少し暇になったイクト達が早くできろと寸胴鍋と魔力炊飯器へ念を送るのを見守り、うどん屋で手伝ってくれたイクト達へのご褒美にドライシュトウを作って食べさせ、チェーンクエストで調理中のディーパクトからの助言を求めるメッセージに対応。
そうしているうちにごはんが炊け、出汁が完成。
ごはんは蒸らすのと少し冷ましたいから放置し、麻婆茄子から取り掛かる。
使う材料を用意して近くに置き、炒め物だから持ち手が一つで深い、北京鍋とも呼ぶ中華鍋に油を引いて加熱。
おろしジンジャーと刻んだカラフルガーリックとピリピリネギを炒め、香りが出てきたらタックルラビットのひき肉を加えて炒める。
「おぉぉっ。良い香りだぜ」
「唐辛子やナスを用意していたから、麻婆茄子でしょうね」
「ごはんを炊いてあるから、麻婆茄子の定食か丼かしら?」
「だったら麺は? 後々のため準備していただけか?」
途中からドクモドキナスを加えて炒め、火が通ってきたらトーバージャン、醤油、ヘルシャークの出汁、酒を加えて軽く煮る。
胡椒、隠し味程度の砂糖、おろしたネンの実を加えて混ぜてトロミが出てきたら短時間だけ強火にして香りを出し、油を加えてサッと混ぜる。
麺を丼に出してこれを掛け、最後にビリン粉を少量振りかけて完成。
麻婆ドクモドキナス餡の汁なし麵 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:7 品質:9 完成度:96
効果:満腹度回復20%
HP最大量70%増【4時間】 MP最大量70%増【4時間】
体力70%増【4時間】
ドクモドキナス入りの麻婆餡を掛けた汁なし麺
味の強い餡を太麺に絡ませればまさに絶品
辛さとビリン粉と胡椒の刺激が食欲を引き立て、食べる手が止まらない
「そうくるのね」
「ということはごはんは付け合わせか」
「汁なし麺を食べて、残ったタレでごはんを食べさせるつもりだな」
周囲の声を聞きながら情報を確認して味見すると、麻婆が絡んだ麺が美味い。
ちょうど良いトロミの餡が麺に絡み、タックルラビットのひき肉とドクモドキナスの旨味が相乗効果で美味いし、辛さと痺れが食欲を刺激してくる。
麺も太麺だから餡に負けることなく一体となって、ちゃんとした麺料理になっている。
所々にカラフルガーリックがあって色合いは微妙だけど、こればかりは仕方ないと割り切ろう。
それを除けば濃さも刺激も問題無いけど、イクト達や年少組は辛さと痺れを調整した方がいいだろう。
むらさめは辛さと痺れは控えめ、マーウは辛さ普通の痺れやや強め、ルナは辛さと痺れは強めが好みだったな。
今日はメェナがいないから、周囲への被害を考えずに済むのは助かるよ。
「ますたぁ、おいしい?」
「辛そうだけど美味しそうなんだよ」
「ねーあのはかーくしなーでね」
はいはい、分かったよ。
すぐに食べないとはいえ、皆の分もすぐに作るよ。
味見したのをアイテムボックスへ入れ、個々に辛さと痺れを調整しながら皆の分も作っていく。
そういえば、前に雑談の中でアルテミスが猫舌だって言っていたから冷めやすいよう、トロミを少し緩くしておこう。
全員分が完成したら一度中華鍋を洗い、魔力炊飯器のごはんを混ぜる。
少し冷めたのを確認したらボウルに取り、ヘルシャークの出汁へ干したタテガミブリのタテガミと醤油と味醂を加えて火に掛け、カワラズタカナのからし漬けを刻む。
カワラズタカナのからし漬け 調理者:NPC・おきよ
レア度:5 品質:6 完成度:71
効果:満腹度回復9%
どう調理しても食感が変わらない、変異野菜のカワラズタカナの漬け物
辛い味付けとシャキシャキ食感が特徴
カワラズタカナの風味と辛さと塩気がマッチし、ご飯もお酒も進みます
刻み終えたら一切れ味見して塩味と辛さを確認し、残っている刻みピリピリネギと調味料を用意して、福岡出身の祖父ちゃん直伝の高菜ライス作り開始。
再度北京鍋の方の中華鍋を熱し、油を注いで全体に広げる。
普通ならここで卵を加えるが、祖父ちゃん直伝の高菜ライスは卵無しだ。
曰く、卵で高菜漬けの味が弱まるのが嫌、とのことだ。
俺は別にどっちでもいいが、あえて祖父ちゃん流に作るため卵は使わない。
カワラズタカナのからし漬けとネギを炒め、ごはんを投入して具材と絡ませていき、カワラズタカナのからし漬けの塩味と辛さも考慮して香りづけの醤油を鍋肌から注ぎ、塩胡椒を加えて味を調える。
「ごはんはそうするのか」
「麻婆茄子を掛けた麺にチャーハンみたいなごはんとか、完全に中華のセットね」
こいつを皿へ盛りつけて、祖父ちゃん流の卵無し高菜ライス完成っと。
カワラズタカナ入り辛口炒めごはん 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:6 品質:9 完成度:98
効果:満腹度回復18%
魔力60%増【4時間】 器用60%増【4時間】
火属性耐性付与【特・4時間】
カワラズタカナのからし漬けとごはんを炒めた一品
別々に食べても美味しい二品が、共に炒められたことで絶品に
シンプルだからこそ、この組み合わせの良さがよく分かる
名称は高菜ライスじゃないけど、細かいことは気にしない。
味見するとカワラズタカナのからし漬けとごはんが組み合わさり、香りも食感も味も良い。
祖父ちゃんが作ったものには遠く及ばないが、卵や肉を入れていないからこそ、この二つの組み合わせの良さが分かる。
さらにピリピリネギの刺激と風味が双方を引き立て、脇役ながらもいい仕事をしている。
「マスター、お鍋の方はどうなんだよ?」
安心しろ、そっちにもちゃんと目は向けているから。
高菜ライスをアイテムボックスへ入れ、スープとタテガミを小皿に取ってゴマを散らして飲む。
ほぼ無味のタテガミを噛むと細くて柔らかいながらも歯応えがあって、スープの味もしっかりしている。
散らしたゴマの香ばしさもあって、辛めの麺とごはんの口直しにも良い。
感じとしてはフカヒレスープというより、春雨スープの方が近いかな。
このタテガミは一種の海藻らしいが、啜った感じと食感が春雨っぽい。
とにもかくにも、スープの方もこれで完成だな。
タテガミスープ 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:7 品質:8 完成度:95
効果:満腹度回復6% 給水度20%
知力+7【2時間】 運+7【2時間】
風属性耐性付与【大・2時間】
干したタテガミブリのタテガミを煮込んだスープ
スープを吸ったタテガミは無味だが、食感が良くて喉越し抜群
同じ海の出身だからか、ヘルシャークの出汁とも相性抜群
これで晩飯の目途は立ったな。
さて、笑顔のイクトと目と口が開いたままネレアが口の端から涎を垂らしそうにしているのと、無言かつ無表情のミコトが食べたいオーラで圧を掛けてくるし、別行動中の皆のためにも早く飯を仕上げますか。
冷めないようにスープをアイテムボックスへ入れ、全員分の高菜ライスを作っていく。
時間が余ったら、今度の披露会に出す魚料理の試作をしよう。
良いのが作れたら、それをそのまま次回の飯に出せばいい。
その時は魚好きのネレアが暴走しかねないから、イクトとミコトに注意しておいてもらおう。




