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87、爆破

 同日の朝

 少し寝不足で瞳が重たいのを我慢して目覚め。

 使用人に身嗜みを整えてもらい。

 いつもの様に軽めの朝食を取って面倒な領主の仕事に移ろうとしていた所で一人の兵士が、決死の表情で部屋へと駈け込んで来たのだ。

 部屋で私の世話をしていた者がノックも無しに何ですか!と怒鳴りつけるのも無視して兵士は叫ぶように報告した。


「魔物の群れが!この街を目指して侵攻しています!」

「!?」


 私の隣で注意していた者は口を開けたまま固まってしまった。

 他にもこの部屋で聞いていた者は動きを止めたままこちらを向いている。

 頭が痛い。

 なんでそういった報告をこんな大勢のいる前で言うんですかと口を閉ざしてしまった者の代わりに怒鳴りたい気分だ。


「それでまもn「ちょっと待ちなさい!」・・・はっ!」


 何まだ報告を続けるのよ!思わず大きな声出してしまったじゃない。


「報告は自室で受けるわ。誰か守備隊長を呼んで!それからオガスに報告の兵を出す用意を」

「は、はいっ!」


 返事を聞くとすぐに報告の兵を連れて自室に向かう。

 そして自室に着いてからの報告にまた頭が痛くなった。


 魔物の総数2000体。

 同一の個体ではなく複数の個体で構成された群れ。

 侵攻方向はかなり綺麗にピンポイントでここに向かっている。


「なんなんですの!?この街に狙いすましたような侵攻は!?」

「ここに来ないとはお世辞にも言えねぇな、こりゃあ」

「それに包囲網の一番薄い個所から!これでは時間もあまりありませんわ」

「これでは翌日にはここへ来られるじゃろな」


 集まっているのはこの街の守備隊長と文官で私の領主就任になった際に私と共に転職してきた者たちである。

 狸や狐が多いこの街の中で最も信頼できる部下と言えた。


「グズグズ言っても仕方ないわ。それでこの大群にどのくらいの規模がいるかしら?」

「俺が指揮を取って街に必要な者以外とギルドからの兵が300弱以上集まってようやく必要数かと」

「・・・ちょっと多くありません?」


 街の兵士は2000はいるけど私が動かせるのが半数以下の700が限界で街の治安に残すのが・・・200は必要だから500出せと言っている。

 数の面からみると1/4と少ないが質では300でもギリいけると思っていただけに+200は多く感じる。

 ちなみに残りの兵士は狸や狐の旧お貴族様だ。

 あの連中はこの報告で兵を募っても自衛の為に兵を自分の周りから離さないので充てにならない。


「これが戦なら確かに多いが今回の相手は魔物だ。ギリギリの兵力で戦って被害が出れば隙になるぞ」

「彼の言う通りです。魔物の襲撃にはこちらの被害が出ないだけの兵力が望ましいと私も賛成しますぞ」

「・・・・・そうね。分かりました、この数でいきましょう。ただし一つだけ」

「なんでしょうか」

「アジュラの参加を防ぐこと。もし彼女が参加するようなら兵数を半分に減らして下さい」


「「・・・・了解しました」」


 私の条件に一泊の間を空けて二人は返事をした。

 2人の言いたいことは分かるがここは無視してさっさと準備する様に会議を終了した。

 部屋を出るといつもより屋敷内が混乱していた。


 あぁ~・・・・・・最初の報告の時に聞いた人達の口止めし忘れてた。



 それから討伐隊が組まれ冒険者達と合流したのち出発した。

 報告からアジャラは今回の討伐には参加していないらしい。なので約束した500名の兵士が向かった。

 

 あの戦闘狂が参加しないなんて・・・・・怖いわ。なんか調子を狂わされたみたいで。

 逆に居たらいたで頭痛のタネになるんでしょうけど。


「それよりこの事も報告書にしないといけないわよね・・・・。面倒だわ」


 討伐隊は守備隊長に任せたので大事でもない限りまた領主の仕事に逆戻りなのだと考えると憂鬱になってきた。

 ストレス発散に私が行けばよかったかしら?・・・無理ね。

 椅子に体重を預けて天井を見る姿勢になっているとノックがした。


「なに」

「いやはやまさか殿下がこのような格好で職務をしているとは世も末ですな」

「・・・・・何の用です。面会にはアポを取るべきでしょう?」


 入って来たのは今悩みの種の貴族だった。

 彼は使い捨ての駒のような存在で裏で糸を引いているほかの貴族の伝令役の様なものだ。本人はこのでかい態度から分かる様に自分は中核の一人だと思っていて知らないだろうが。

 つまりこの男が来たという事は面倒ごとを持ってきたという事だ。

 体面を気にしないといけないですから表情には出さないけどちょっとぐらい顔を顰めたい。


「はて?前は貴方の相手にいちいちアポを取る時間も惜しいからさっさと用を済ませて帰りなさいと言われたので実行したに過ぎませんが?まさか殿下はその歳でもう耄碌し始めたのでしょうか?」


 そのうえ物凄く嫌みたらしい。

 人選として私の精神攻撃と言うなら最高の人選だと太鼓判を押してもいい。


「まぁいいでしょう。それより聞きましたよ。魔物の群れがこの街に向かって進行しているそうですね。まったく今までこんなことなかったのに不吉ですねぇ」

「言いたい事があるならはっきり言いなさい」

「なに簡単ですよ。このままでは街の為にならない。ここで我々に領主としての地位を戻して下さって貴方はいるべき場所に戻ればと優しく警告しに来ただけですよ」

「断固拒否です。そもそも旧貴族のあなた方に領主の権限なんてもうありません。寝言は寝て言ってなさいと他の方にも伝える為にさっさと帰りなさいな」


 軽く手を振って部屋から出てけと促す。

 今更こんな発言でイラつきはしない。

 ただこいつの最善の対処法がさっさと遠ざけてしまうに限る。


 しかし男は出て行こうとはしなかった。


「では交渉の余地なしですか」

「そう言っています」

「そうですかそうですか。それは本当に残念だ」


 そう言いながら口元は不気味な笑顔で歪んでいた。

 まるで自分を見下した態度、とても不愉快だ。


「それではこちらも手段を変えさせてもらうとしよう」

「手段を変える?なに?無理矢理の実力行使で奪ってみる?」

「えぇ、そうさしてもらいますよ」

「え?」


 『ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』


 ただの脅しだろうと思っていたのに男の返しが肯定で思わず信じられないという意味で声が出るとほぼ同時に爆発音が部屋にまで響いて来た。

 屋敷の中?・・・いやもっと遠く。かなりでかい!?


「何をしたの!!」

「あぁ、いい表情ですよ。なに今のはただ単純に兵舎が爆発しただけですよ」

「爆破ですって!?そんな・・・」

「兵は全員出ているし運悪く近くにいない限り大丈夫ですよ。いたとしても今の体制を変える犠牲となっていただけですし」

「貴様等!!」

「おう、怖い怖い。ですがこれはあなたが警告に従わなかったから起きた。それにこれは始まりの合図ですよ」


 男が話し始めてから机から立ち上がり男を締め上げようとして近づいて胸倉を掴む前に閃光が走った。


 爆発。

 それもすぐ隣の部屋からの爆発だ。


 ラセスは咄嗟に身体を庇い軽傷で済んだが男は爆発に巻き込まれて死んでしまっていた。

 口封じの為に殺されたか。

 幸いにも隣の部屋付近で仕事をするものは今はいない。

 最初の爆発も男のいった事が正しければ無人の兵舎を狙ったことを見ると死者を出さないようにしている?

 それともなにか・・・


「ラセス様、大丈夫ですか!」


 服に付いた埃を払っていると騒ぎに駆けつけてきた屋敷の者が入って来た。


「大丈夫です。しかし旧貴族たちが反乱を起こしました。すぐに対応に入ります。兵士も集めて」

「今兵士は討伐に出ていていません」

「そうだった。では近衛だけでも集めて」

「あの・・・出られるので?」

「あいつらは私に喧嘩を売ったのよ。当然でしょう」


 言葉は冷静に聞こえる声音であった。だが最後に不敵な笑みを浮かべた表情が内にかなりの怒りを宿したのをそれなりにラセスと付き合いが長かった入っていた使用人には昨日のアジュラとの衝突と同等の恐怖に感じたのだった。




金曜日に投稿する予定だったのにだいぶ遅れての投稿になりました。

最近試験から試験失敗で一息取れるどころかむしろ時間がなくなっているので本やゲームの新作のチェックが出来ずにいたのを久しぶりにしたらお気に入りのゲームの最新が発売していたのだ…………(泣)。

しかも初回特典とか予約特典とか欲しかったのに予約は再試験の期間中だったし初回特典も一週間経った今残っているかどうか。

沈んだ気持ちで買いに行ったら当然のように特典付きは売り切れ……通常版しかなかった。

そんな訳で投稿の事とかすっかり忘れてしまってました。

その後も鬱憤ばらしにゲームのプレイをしまくって……結局今日投稿になりました。



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