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83、ノルティア

 ノルティアの着いた俺はまずアジュラへと詰め寄っていた。

 当然だが今回の遠出というのが三日で終わる(・・・・・・)のではなく行きだけで三日かかるという意味だったとここに来てようやく知らされたからだ。

 しかし問い詰めて返ってきたのは、


「遠出って言って三日で済むはずないだろ?」


 と言い、逆にこちらのがバカでも見る視線であった。

 そしてパーティー4人は更に酷く遠くに行くから仕度しろと言われただけで野宿の話すらなかったらしい。なので1週間分の仕度をしていたようだ。

 これ以上言っても聞く耳持ってくれないだろうからこの話はこれで終わりにするがなんかまだアジュラに振り回されそうな気がするのはきっと気のせいではないのだろうなぁ。

 取りあえずノルティアに着いたのだから街に入ることにして――――。


(なんか最初の街を思い出すな)


 魔族領で見た町はアドリーバスとオガスだけだが比べるまでもなく一番見窄らしく感じられる街だった。

 そこで思い出したのが一番最初に訪れた人間の街だった。あそこも街というような感じではなかった。

 まだこちらの方が活気があるようだが些細な差のように思える。


「ヤシャさんはノルティアについては知らないの?」

「東のアドリーバスから来たって言ってたもんね」


 そんな考えが顔に出てしまっていたようでイヨとコロナが街について説明してくれる。


「200年前の大戦からこの街はあるんですがその時はここは鬼人種ではなく別の種族が統治していたんですがその大戦以降鬼人種が統治するようになるまで街は寂れに寂れて一時は賊の根城にさえなっていたんです」

「補足すると当時の統治者のトップが戦死して勢力が低下したのがきっかけでその後種族の下級貴族が受け継いで何とか統治しようとしたみたいだけど無能だったせいで余計に寂れて民衆から反乱に遭い無法地帯になったですね」

「商人が近くを通れば必ず襲われるって時期だよね。あまりに根深かったから賊討伐も難航して安全な街にしたのもつい最近ですしね」

「でも最近はそういった過去に関係なく復興ができてないようですよ?」

「表ではそうだが裏じゃまだ色々と残っているんだよ」


 その意見に予想外にも情勢なんて興味ないと思っていたアジュラが反論の声を上げた。

 予想外だったのでみんな驚いてアジュラに視線を向けていた。


「貴族っていうのは弱い奴ほど立場をする糞が多いんだ。特にここは前の統治だった貴族と折り合いをつけて残しちまったからそういった事が他よりさらに強い。殺しちまった方が楽なのにな」


 不覚にもアジュラが貴族なのだと実感させられた。

 いつも殺る殺る言っているアジュラからは想像できなかったから真面目な事を言うと他より落差が激しい。


「まぁ、今はトップが不甲斐ないからってのも否定はできないけどな」

「ここの領主と面識があるのか?」

「あぁこれから会いに行くのがそいつだからな」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ!?


「「「「「えぇ―――――――――――――!!!???」」」」」





 ◇ ◆ ◇




 俺の目の前には領主の屋敷の前にいた。

 屋敷も街同様オガスとアドリーバスより見窄らしい。

 立派に見えるがどこか古臭い。


「アジュラが遊びに来たから繋ぎを取って来て」


 そんな屋敷に今俺とアジュラは入ろうとしていた。というか他の4人と1匹には逃げられた。

 アジュラのあの発言から4人は予想以上の拒否を示してアジュラは同行は俺さえいればいいらしくこれを許してゼルフは俺を見捨てて4人と一緒にいる。

 こうして俺だけがアジュラに連れられている。


「許可が下りましたので私がアジュラ様を案内させて頂きます」

「こっちのは私の連れだから一緒に案内しろよ。ぶっ殺すぞ」

「・・・・・畏まりました」


 案内人らしい兵士はあれを無視してアジュラだけに話をしていきなりアジュラをキレさせていた。

 アジュラのキレるのも早いがこの兵の態度も確かに気に食わない。なんか見下したような視線で見てきやがる。

 門を抜けそのまま面会離されず一旦別室へと案内させられた。


「こちらで少々お待ちを只今の仕事が終わりましたらお呼びしますので」


 それだけ言うとさっさと去ってしまった。

 アジュラの機嫌がかなり悪くなっている気がする。


「・・・・・・本当にここの住人は総じてムカつくやつばかりだな」

「まぁさっきの兵の態度が悪かったのは認めるよ」

「それだけじゃねぇよ。この家にいる使用人や兵士は全員元からの貴族が選別する権利がある所為でやたらと品格と従順度を重視しているからよそ者には上から目線で言ってくるんだよ」


 その話を聞くとあの4人が断固拒否してたのって領主に会うのもあるかもしれないけどこれが嫌だったんじゃないかと思えてきた。

 なんか魔窟の巣みたいなところだな。

 それからしばらくして(何度か遅いと部屋を飛び出そうとするアジュラを抑えて)ようやく迎えの者が部屋にやってきた。


「それではこれから案内をしますが粗相のないようにお願いしますよ。問題が起きると対処するのは我々なのですから」


 違う人だったがさっきのと同じ嫌な感じだ。どうやらアジュラの言っている通りらしい。

 こういった輩は無視するに限るのでアジュラの友人という領主以外触れない事にしよう。

 そして元いた部屋から3部屋程通過して立ち止まった。


「領主様客人が来られました」

「通して」


 とうとう領主とのご面会の時間のようである。


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