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74、伝説

 宰相との謁見を果たし娘を助けた功績からこちらの要望を聞いてもらってから数日間別行動を取っていた俺とマリアは久々の再会を果たしたがその表情はとても重たい物であった。

 いつも弥叉の頭に乗ってくるゼルフもこの時は傍で丸くなり見守っているだけだ。

 先に口を開いたのはこのまま沈黙すると話が切り出しにくくなると悟った弥叉の方であった。


「城内の兵士の訓練、城下まで噂になってるぞ」


 その言葉にマリアの肩がピクリと震え表情が更に曇る。


「強兵と呼ばれる兵を一騎当千したとか。戦士長が戦意喪失させられたとか。他にもいろいろ嘘だと思うような事が噂になっているけどこれって・・・」

「・・・・・私がやったわ」

「・・・・・あぁ、別に責めてる訳じゃない。それを言ったら俺も・・・」


 その続きをマリアが遮って続けた。


「”女泣かせの新人”、”無謀なる挑戦者”、”乱闘騒動の覇者”、更には”ハーレム王”に予想では商人邸爆破事件もヤシャでしょ」

「・・・・・・・あぁ」


 弥叉の肯定して頷いた後結局沈黙になってしまった。

 自分達が別れたのはさっきも言ったが数日前だがそんな短期間でしてきたことがまさかここまで大事になるなんて思いもしなかったし自分の噂を聞くだけで悶絶しそうになる内容の事が真実が大半だという事がさらに自分へのダメージを増幅させたのだった。

 

 たぶんどちらも弁解を述べたい筈だろうが一向に話が進まない。

 取りあえず一つ一つあったことを説明しようと思う。

 まずは先に話が上がったマリアから話す。


 一日目弥叉が冒険者の昇格試験中暇な時間があると知って宰相がマリアを訓練に誘い兵との対戦をさせた。

 1人目、舐めて懸かって一撃先に入れさせてやると言って一撃で白目をむかされ失神。

 2人目、まぐれと思ってまだまぐれと思って対峙してそれがマリアには気に食わず宙を回される。

 3人目、ようやく舐めて懸かって来なくなったが息が切れるまで攻めさせてもらったのに一撃も与えられずに一撃で撃沈。

 それから一人一人じゃ相手にならないから複数人出来て良い、とマリアが挑発し2人同時に。

 それでも勝てず、人数が増えていき最終的に100単位で対峙しても敗北。

 延べ1000を倒したことで一騎当千。

 その後これではこちらの面目もないと戦士長自ら対峙するが3人目同様マリアは序盤守るだけで傍からは戦士長が優位に事を進めているように見えるが対峙している戦士長の方は己の武器が相手に持たせている模擬用の武器ではなく武器を握る拳で受け流されている上相手から「この程度なの?」と落胆されているほどの実力差を感じ途中で攻める事さえできなくなり、もう終わりだと今度はマリアが攻撃をしようとしたので恐怖し膝をついて敗北宣言をした。

 これが1日目でありまたマリアと対峙したものは数日部屋に籠ってしまう。

 2日目以降は残った兵まで再起不能にされては堪らんと新人兵の訓練を臨時講師としてするように頼む。

 この訓練の最後には集団戦のお披露目もするからというのでマリアは本気で指導した結果兵士の悲鳴が訓練場を木霊することになる。・・・が、その兵士達は全員が訓練後行われた先輩兵相手の集団戦で勝利し大金星を挙げ、その勝利後、真っ先にマリアの元に並び礼を行ったのが自分達よりも信頼性が構築出来ている事を思わせ、その試合を見ていた全部隊に危機感を煽った。

 それからはスカウトの嵐であったが全部断り終わるが、その時鍛えていた兵は各部署に派遣され活躍。後にオガスの”伝説の指導官”として兵士達に語り継がれることとなる。


 正直何学園の青春部活物の様なことしてんのと言いたくなる内容である。

 マリア自身も今回ばかりはやり過ぎたと自覚しており噂は9割本当。違うのはマリア本人の容姿が女という以外はっきりとしていないことぐらいだ。

 最初はちゃんと伝わったんだろうがむしろそっちの方が嘘だという人が多かったから必然だがそんな訳で外に出ても気づかれるようなことはない。

 これがマリアのここ数日である。

 物凄く何か言いたいだろうがもっと悲惨なのが弥叉である。当座、マリアの様に説明していくと、


 1日目、試験監督を泣かした事が先行して噂になり”女泣かせの新人”としてデビュー。

 更にその日の宿舎で受付をしていた娘さんと意気が合い仲良くなったのだがその店のマスターが娘さんの父親で娘を溺愛している・・・元戦闘Aランク冒険者で娘さんに手を出したら消されると有名でその娘さんと食事まで取った俺は挑戦者(チャレンジャー)扱いされる。

 2日目、その噂を聞き付けたギルドのベテラン冒険者さん方に普通1日目にあるだろうと思う定番の俺達のセレーナやアイドルに手を出すな、もとい手を出したなで囲まれギルド始まって以来の大乱闘騒ぎが起こった。

 そして悲しくもその乱闘で何とか生き延びてしまった弥叉はさらに二つ名が付き、喜んでいいのか戦闘ランクBをギルドから言い渡された。

 更に翌日の3日目は普通で基礎の戦闘、採取、護衛の技量が決まったので後は雑用依頼をどれだけできるかを見る為、街で年中助っ人を募集している依頼に駆り出されることとなった。そのうちの一つである鍛冶屋のじいさんが頼まれていた武器が上手くいっていなかったのを元の世界の武器を参考に助言したら偉く褒められ報酬に業物を一つ只でもらい受けた。

 そして気になるだろうハーレム王と商人邸爆破事件だがこれは正直運悪く関わった様なものだ。

 昇格試験が終えた後、俺の噂を聞いて来たという女子4人でパーティーを組んでいる人達が依頼の協力を要求してきて俺は女子に頼まれるなんて経験が無いから怪しいとか思わずにその場で承諾してしまい、この近くの湖に生息するという”ジャイアントクロカーシュ”の討伐をすることとなる。

 だがこのジャイアントクロカーシュというのは巨大大鯰の事で後から聞いた話推定Aランクの化け物で誘った女子達は戦闘のランクはBとCレベルでかなり荷が重い仕事であった。

 数段格上である。3桁ぎりいってないレベルの。

 しかしそこで討伐を放棄しようとしたらそれはできないと涙ながらに言われ何があったのか聞くとそのパーティーメンバーのうちの一人が縁を切り去年亡くなった父親が金の担保として娘を設定していて商人から金が払えていないからそのメンバーを奴隷として売ると言い出してきてすぐに売られることはなかったがその金額は一冒険者には膨大な額でとてもではないが普通では間に合わない。

 そこで金額を返す為に目を付けたのが討伐報酬が高い大鯰であった。

 しかしそれも一度討伐して見に来てその強さに今の自分達では死んでも無理だと諦めざる終えなかった。

 帰って来てもう他に借金を返す方法が無いとギルドの酒場で飲み明かしていたその時あの乱闘騒動を目撃したそうだ。

 ランクBというが見た限りパーティーの同じBランクの仲間よりも確実に強く見えた噂の新人冒険者を見てこの人を捕まえて討伐に行ければもしかしたらという思いが芽生えた。

 案の定俺はホイホイ付いて来てしまっているのでそのことについては何も言わない。

 取りあえず少し無茶してもいいやという気になって一矢走雷を発動して戦闘。その後一晩動けずその場で守ってもらう事になったが大鯰討伐を見事に完遂した。

 これでギルドに帰って賞金をもらい借金返してめでたしめでたし。・・・・・で終わるかと思えたが商人の方はメンバーの娘を一人奴隷にできると思っていたのだろう。借金に急な利息をつけてきやがってふざけた事を抜かしやがる。

 この商人絶対悪徳かなんかだと決めつけた俺は話が埒が明かずいるので一旦金を渡さず帰ろうと言ってその場は解散させその日の夜商人邸に侵入。

 そこで借金はすでに返されていて商人と釣るんでいる貴族が気に入りどうにか手に入れられないかと企んだ結果偽装で借金を作って脅していたと知る事となる。

 ぶち切れた俺はこれまでの悪事を保管している場所を避けるように爆破。

 商人邸は半壊し爆破の原因を調べに来た兵に悪事が露見し商人および貴族は逮捕される。

 この事件の翌日パーティーメンバーは当然こんなタイミングがいい事件が起こったので俺の元へやってきた。そして真相を伝えてやったら公衆の面前関係なく抱き付かれその姿を目撃した者達の中に俺が噂の新人だと知っている者がいた事によってギルドにこの事が伝わることとなる。

 弥叉は知らない事だが実はこのパーティーの様に女子だけで組んでいるのは珍しく実力もそれなりにあるので有名。更に男には厳しく玉砕した者は後を絶たずそういった噂すら出なかったのがいきなり会ったばかりで共同依頼したばかりか抱き付いたというのがどんどんエスカレートし俺はその真実を喋れなかったので傍観するしかなく結果”ハーレム王”という名にこの痛い二つ名には!?という状態になったのだった。


 以上が長くなったが弥叉の数日だ。

 もうなんて言っていいか分からないだろ?

 片や城内の伝説、片や城下の伝説だ。


「「・・・・・・はぁ」」


 深い深い溜息が二人の間に木霊した。

これを長々書くと章の話が倍になっていたので短縮しました。

余裕ができたら閑話や番外で使っていこうかとは思っています。

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