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64、2段階目突入

四章スタート

遅くなりました

 アドリーバスを出て早5日経った。

 オガスまでは馬車で3日掛かる距離だと聞いていたのでそろそろ中間地点にを通過してもいい頃合である。

 アドリーバスからオガスまでは前半が登りが多く傾斜の変化が急なので少し時間が掛かるが後半は平坦な草原に出られるのでペースを上げる予定なので順調に進めている。

 物資も今まで以上に揃っているので快適。

 そして今回は護衛依頼をしながらの旅。

 魔物から護衛対象を守るため陣形を組んでグラムさんを守りながら進んでいるのでできる限り魔物は回避して危険な無い旅になっている。







 なんてことあるはずがない。

 現実は非情だ。

 依頼中だからといってあの鬼が手お緩めるなんて思っていた自分に文句を言いたくなる。

 むしろ今となっては護衛依頼なんて受けるんじゃなかった後悔するほどだ。

 例えどうせ同じようになると分かっていてもそう思わずにはいられない。

 なぜなら、


「ヤシャの負けだからペナルティー追加」

「ぐえ」


 俺は自身の重力が3倍の状態でオガスまで歩かせられている。

 一体どこのサイ◯人だよ!、と叫びたくなる修行だ。

 そして今また追加で重力が増やされ負荷が上がった。

 どうしてこんなことになったのか。それはとても簡単でとても残酷な一言から始まった。

 5日前、アドリーバスを出発してお別れのしんみりムードが消えた所でマリアが言った。


「ヤシャ達もだいぶ強くなったし護衛しないとだから訓練方法を変えるよ」

「「えっ(がうっ)!?」」


 最初俺とゼルフは修行することになるなんて思っていなくてそんな声を上げてしまった。


「だから修行だよ?まさかオガスまで護衛と出会った魔物を討伐するだけで終われるなんて思ってたの?」


 まさにその通りです、と口を出すことなんて俺達にできる訳もなく首を横に振るしかなかったが正直逃げれるものなら逃げたかった。

 マリアの口にした”訓練方法を変える”という意味が何なのか俺達は知っている。

 その言葉の意味は、前の訓練より過酷な訓練に変える、だ。

 それも俺らの予想より一段どころか三段飛ばしで無茶な内容を言い渡される。その事を俺もゼルフも理解している為マリアの試験内容について恐怖した。

 その傍らでグラムのおじさんと副隊長は何のことなのかさっぱりだったが護衛依頼中に修行をしようとしているという事だけは伝わったのだろう反対意見を挙げた。


「何を言っておるんじゃ。今は一刻も早くオガスに付かないといけないというのに修行している時間なぞあるはずなかろう」

「グラムさんの言う通りです。早いことに越したことがないんですからオガスまで修業は禁止してください」


 ナイスだ、おじさん、副隊長。

 なんて思う事はない。そんな当たり前な反論で家の鬼教官が自分の意見を曲げる事なんてするわけがないのだから。


「大丈夫よ。旅には何の影響もないし貴方達は普通に旅をしていればいいから」

「「?」」


 それからお待ちかねの訓練内容を全員に伝わるように説明してくれた。

 訓練は魔物と戦ったり型を復習したりという普通のものではなくさっきも言った通り重力による負荷の旅だ。

 まずは2倍からスタートしいつも通りに道を歩いていくだけで旅には何にも影響が無く思っていたよりも簡単な修行だと思った。

 ゼルフも歩くために頭から降ろされはしたが余裕そうにしていた。

 なので旅に何の支障もない事から反論した二人も納得して承諾した。

 それがとんだ思い違いだと気づかされたのは次の日になってからだった。

 修行開始から歩く間も休む間も寝ている間さえ重力はかけられ続けられたこともあるがそれ以上に解放されている間と後がまさに地獄。解放中とは魔物との戦闘である。

 戦闘は俺とゼルフの二人で行われるのだがこの戦闘が、


「魔物の盗伐数で負けた方は重力増しでいくからね。負け続けると逝っちゃうよ」


 というものだった。

 最初は少しぐらい上がっても問題ないと思ってそこまで気にしていなかったがこの少しずつ増えていく重力が地味に体の体力を奪っていったのだ。

 気づいてからは勝つ為に身体を動かした。

 それからゼルフも同じく重力の重みの負荷に気づいてからはお互い死に物狂いになって争った。

 しかしこの判断も間違っていた。

 それに思い至ったのはもう3倍間近で自分の身体がグラムや副隊長に付いて行くのが辛くなってきた4日目になってからだった。

 この争いの前マリアは、「負けた方は重力増し」と言っていた。

 つまりこの魔物討伐数争いは負けた者に重力が増すだけで勝者の重力が戻るわけではない。お互いに争っていた俺達は魔物と会う度にどちらかの重力が増していく。

 ここで最良だったのはお互いに同数の引き分けにすることだったのだ。

 気づいたのなら何とかしようと思うだろう。

 だがそれは体力があっての事、魔物はそんな勝負をしているなんて関係があるわけがないので全力でこちらを殺してくる。そんな相手をお互いに討伐する数を同じにすることなんてできる余裕もなく勝つのがやっとだったからだ。

 そして今日5日目。

 先程ので俺の体重は4倍弱、ゼルフは3倍。

 修行の完遂どころかオガスまで無事に身体が持つのかすら今の俺達には分からない・・・









 

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