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48、戦力外

 マリアとルシウスの二人の激突と同時に俺がホムラをゼルフがハクに向かって対峙した。

 ホムラもハクも服装は同じ、忍びの格好である。

 しかしその装備している武器はまったく用途の違う物を持っていた。


 俺の相手であるホムラの武器は近距離戦用格闘武器で、鉤爪(かぎづめ)。

 鉤爪は猛獣の爪を模したような、フック状の攻撃部位を持つ武器で双剣の様に左右に装備できる元の世界では暗器武器に部類される。また手の甲に付いているので握力の低下で落とすこともなければ刃を三枚着けている割に軽く軽技にも向いている。

 先程防いだ時に魔物の攻撃に近いと思ったのは魔物の爪と三枚からなる鉤爪が酷似していたからだった。


 対するゼルフの相手であるハクはホムラ以上に見た目にあっている遠・中距離の武器、鎖鎌。

 鎌と分銅を鎖で繋いだ武器で使い勝手が難しい武器(弥叉の感覚)で構造によっても戦い方が変わってくる武器だ。

 ハクが持っているのは鎌の頭部に槍先を付けて突きの攻撃も可能にしている。


 どちらも暗器武器を使用していて他にも武器を隠し持っていると思っていた方がいい。

 そして注意すべきは使用してくるスキルと魔法。

 闇魔法か付与スキルがあれば本来の武器の性能を知っている分、変速させる攻撃は反応が遅れる可能性が高い。

 看破系のスキルはまだ覚えていない。

 現在の俺のステータスはこれだ。

 

   クドウ ヤシャ(工藤弥叉)


  種族:鬼人種

  年齢:25

  性別:男性

  職業:旅人

  レベル:31

  HP:1736

  MP:1460

  攻撃力:310   魔攻撃力:270

  防御力:1170  魔防御力:630

  俊敏:1280   運:-20

  装備:クシャナ族の服装

  スキル:中級鑑定 アイテムボックス 環境適正Lv4 剣術Lv3 体術Lv2 探知Lv2 猫目Lv3

      HP回復Lv2  隠密Lv5 隠蔽Lv4 予見Lv6 

   強化系:俊足Lv8 耐久Lv1 吸収Lv1 

       見切りLv7 強腕Lv1 

   魔法系:MP回復速度LV2 MP消費緩和LV1 無詠唱Lv4

  魔法:雷魔法Lv4

  称号:神に見放された男  契約者 


 レベルをこう見ると本当に勇者と同じ素質を持っているのか疑いたくなってくる。

 同じマリア実戦訓練を受けているゼルフは、


   ゼルフ


  種族:魔物

  年齢:0

  性別:オス

  レベル51


 会った時は同じだったのが今では20差である。

 ・・・・・よく考えたら単体戦で俺相手になるのか不安になってきた。さっき攻撃を止めれたからいけるかもとか思ったけど20差はキツイよな。

 なんか脱線したがそんな鉤爪で攻めてくるホムラに対して出していたロングソードで迎え撃ち、ステータス差を前に善戦する。








 そんな展開にはならなかった。

 俺もゼルフも相手のホムラもハクも皆戦闘する意思はあった。

 その証拠にホムラと俺は一度は激突した。

 だがその隣で先に衝突している。


「”連弾・氷弾の36”」

「”連弾・水弾の54”」


 マリアとルシウスがホムラとぶつかった時にはすでに交錯しお互いに魔法を放っていて、その余波で全員が相手と戦っている余裕が無くなったからだ。

 前に見た親のガルロルフと冒険者の戦いで自分が見ている事しかできなかったのと同じ、近くにいるだけで立っているのがやっとの強者同士の対決。


「”氷爆”」

「”木圧殺”」


 マリアが魔物の一蹴によく使う氷瀑。

 いつもならそれだけで戦いが終わってしまう魔法をルシウスは出現した氷を木で圧迫して爆発を内部に止めて対応した。

 防がれたマリアだがこれは予想していたことなのか既に放った場所に姿はなくルシウスの眼前に迫っていて腕を振り上げていた。不意打ちにしてはまだ距離があり見切られると感じた。

 しかしルシウスはマリアに背を向け邀撃しようとしない。

 マリアの拳がルシウスに当たる所でマリアの身体が消えルシウスの正面に出現した。


「流石にこのぐらいは見切れるよね」

「小手調べにしては生ぬるい攻撃です」


 マリアの拳はルシウスの手のひらで止められておりマリアもルシウスもその結果がさも当然なことの様に言っている。

 マリアが使ったと思われるのは幻影、幻覚のスキルと予想したが、スキルを向けていない弥叉達でもスキルの使用したタイミングが分からなかったその攻撃がまだ小手調べである事にも驚愕する。

 一度お互いに距離を取りマリアが弥叉の前に着地した。

 これからギアを上げるのだと思い身構えていると目が合いマリアは不思議そうな顔をしていた。


「ヤシャなんで戦っていないの?」


 冗談とかで言っているのではないことは、これまでの旅でよく分かっている。これは本気でなんで戦っていないのか分かっていない顔だ。

 自分達の戦いがまだ手を抜いているから俺達も戦っているだろうという予想からきた純粋な質問であった。

 だからはっきりと言ってやる。ここで言っとかないと更なる二次被害の被害者になりそうだから。


「魔法の余波がこっちまできて戦っていられる状態じゃないんだ」

「ガルゥ~」


 ゼルフも同じ結論に至って賛同するように鳴いてくれた。

 しかしマリアには伝わらなかったらしく、


「なら避けながら戦えばいいじゃない」


 パンがないならケーキを食べればいいじゃない以上の無茶ぶりを要求された。


「まぁいいわ。ヤシャは下がっててこれからはちょっと本気出すから」


 弥叉から視線をルシウスに移したマリアの雰囲気が濃度を増した気がした。

 その証拠にマリアの表情はおもちゃを見つけた子供の様に純粋な笑みを浮かべているのに眼つきだけが狂暴な濁りの色が含まれている。

 今まで旅先でマリアと相手になった者はいない。

 あの終刻の洞窟でも先程の小手調べレベルで相手できてしまう実力差がありその所為かマリアはたまにどこか物足りなさそうな顔をしているのを知っていた。

 その鬱憤を晴らせる相手の登場に歓喜しているようだった。

 

 ルシウス達の方も待っていた訳ではなくホムラとハクを後方へ下がらせている。

 ルシウスもマリアを強者と認めたってことだ。


 弥叉はゼルフを頭に乗せて後方に下がった。

 最初から分かっていた事だがこの場はマリアに任せるしかないんだろう。



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