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38、山賊



 今日も今日とてマリアによる実戦訓練は絶賛営業中でさっきも魔物と戦っていた。のだが街に近づいた為か遭遇する魔物のレベルが20前後と自分よりもレベルが低い魔物ばかりになってかなりの余裕があった。

 中級鑑定ができるようになってからこれまでの遭遇した魔物のレベルを見ていきHPやMP、攻撃力が見えなくてもレベル=ある程度の相手の力量の範囲が分かるようになった。

 それでようやく気付いたのだがあの洞窟内にいた魔物は相当強かった。

 これまでの道中で多くの魔物と遭遇したがその中でレベル40とは群れのボスとして群れを率いている魔物の事で、ボスだけあってほかの魔物よりも危険度が高い。それがあの洞窟では雑魚扱いで溢れている。

 今更だがそのことに気づいた時は背筋が冷えた。

 洞窟を脱出するまでの間マリアに実戦訓練で何度も死線を越えるような戦いを味わっていたがその中に外で遭遇した一番強い魔物よりレベルの高い魔物もいた。あの時はこれも普通の魔物と思って戦っていたが知らなかったとはいえ無茶苦茶危険な戦いを挑んできたのだ。

 幸いとして受け取っていいのか悩むが、今では単体戦で少しレベルが高いぐらいなら後れを取ることはまずなくなるぐらいには成長した。

 ただ強くなっているはずなのに日が経つにつれてガルロルフとの差が開いていく一方なので・・・どうにかならないかなぁ・・・・・



 話を戻そう。

 疲れて動かなくなった分、進む距離も増えたが夜の夜営に入ると魔法抗議まで暇な時間ができたので辺りを散策を始めた。特回復草や生命花とはいかないまでも面白い効果を持った薬草にあわよくばと期待しての行動だったがこれが予想以上に色々と効果を持った物が手に入って今では日課のように探し回っている。

 それで今もマリアが昼食の用意をしてくれている間ガルロルフを頭に乗せて薬草探しをしている。

 

 眼力草・・・食べると一時的に目を見た相手に恐怖心を植え付けられる。レベル差があると聞きにくくなる。

 無力草・・・食べると一時的に力が抜ける。

 殺人防止茸・・・味覚を一時的に無くせるキノコ。名前の正式名称は言わぬが花。


 色々とまた手に入った。

 最後の茸だけ効果より名前が気になるが取りあえずアイテムボックスにしまった。

 アイテムボックスもゴブリン村の時とは違い相当入るようになった。魔物の素材も多いし街で換金したらそれなりの金になると思う。少し楽しみだ。


「さっさと来やがれ!」

「いや!離して!離しなさいよ!!」


「・・・・?」


 収穫もあったしそろそろマリアの準備もできたろうから戻ろうと思っていたその時森の木々の向こうから人?の声が聞こえてきた。

 声色から察するに結構ヤバそうな気がするが、


「がう」

「ガルロルフも聞こえたのか」

「がう」


 ガルロルフは当然だと言わんばかりに鳴いてベシベシとそっちに行けと催促してくる。

 正直他人の諍いだし関わってまた面倒ごとに巻き込まれるようなことはしたくないんだが、まぁ聞いちまったし行かない訳にもいかないか。

 俺が分かったから叩くの止めろとジェスチャーして声がした方へと駆けていく。

 駆けた先は街道の開いた場所でそこには武装した集団同士が武器をぶつけて本気の殺し合いをしていた。

 男性風の格好の者は多くて誰が声を出したか特定しにくいが女性の声の主は片方の勢力の後ろで守られている女性の人?がいるのでそれだろう。


「がう」

「いや行けってあの中に入るのか?」

「がう(コクッ)」


 まぁここまで来んだから入るけど、さてどちらの援護をするべきか。

 ・・・・・やっぱ女を守っている方だな。というか捕まえようとしてる方が明らかに悪そうに見えるし、というわけで、


「そこの女子を守っている人達、助太刀しますよ」

「え?」


 一応断りを入れるが逆に突然声を出したから驚いた顔をさせてしまった。

 改めて説明する気もないのでそのまま前に行く。


「何者だ貴様」

「・・・・・運マイナスの男?」

「ふざけた奴め、邪魔だ!さっさと死ね」

「・・・・・遅い」


 一番近かった男が俺に気づいて斬りかかってきたがかなり動きが遅く避けてアイテムボックスから短剣を出すと剣を持った腕を叩き足を切って転ばせて無力化した。


「「「「「!?」」」」」


 なんか襲っている側も守っている側も驚いた様子で俺を見ているがそんなに俺のと異常が意外だったか?

 レベルを見るにレベルは35~45でさっき無力化したのは36とこの中では弱い方か、それにしては手応えなかったが、


「ぬおらああああ」


 そんなこと考えている間に次の相手が来て剣が迫ってきた。

 それを風を切る刃鳴りを感られる程度に余裕を持って避けると相手の首を叩く。


「せいっ!」

「ぐふっ!」

「やっ!」

「あがっ!」

「ていっ!・・・と」


 そのまま近くで切り合っていた人三人にも隙だらけだったので一撃喰らわせて改めて最初に仕掛けてきた人の方に向き直ると四人全員がその場で蹲ってしまっていた。

 意外とあっけない。魔物の同レベルではこの程度牽制ぐらいにしかならなかったんだが、・・・もしかしてアルみたいな戦いなれた兵士や傭兵ではないのかもしれないな。


「危ない!!」

「死ねぇ!!」


 また考え事をしてる間に斬りかかってこられた。今度は後ろからの死角の位置での攻撃に守られている女性が危険を知らせて声を出している。

 確かに本来なら死角で間違いないのだが、今回に限ってはその心配は全く感じられない。

 なぜなら


「ガブっ!」

「いでぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 頭に乗っていたガルロルフはきれいに斬りかかる剣を払いのけて腕、足、顔と計五か所に引っかき傷を作って再び頭に着地する。俺が余裕ある相手に俺より戦いが上手いガルロルフが死角を守ってくれているので心配することはないのだ。

 ガルロルフが倒したので計5人。

 形勢は決まり勝てないと悟った襲っている側の男達は武器を捨てて逃げ出していった。


 残った人達は俺を警戒してか武器を持ったままこちらの様子を窺いながら女性を守りやすい位置に移動していた。

 一応助けた相手にその態度は失礼な気がするが、


「止せ!皆の者武器を下せ!」

「しかしもし敵なら」

「敵がさっきの劣勢で助ける意味はないだらう。いいから武器を下せ」


 そんな兵の行動を守られていた女性は止めるよう注意して全員武器を下したので良しとした。


「まず助けてくれたことに感謝します、ありがとうございます」

「いえ、たまたま悲鳴が聞こえたので」

「それにしてもお強いのですね。四人を一瞬で無力化した手際も頭の上に乗っている魔物の力も素晴らしかったです」

「そこまで褒められるようなことはしていませんよ。それよりその腕は先程やられたのですか?」

「えぇ、不覚にも深いものをもらってしまいました」


 先程まで俺に隠すようにしていた腕を見せてくれた。

 貫かれたようで損傷が酷くしかも上から強く掴まれた痕も残っていた。これは腱か神経がやられている可能性がありこのままでは握力はが戻らないかもしれない。

 思った以上に酷い怪我だった。


「・・・これを食べて下さい」

「あのこれは?」

「傷に効く薬です。よく効きますよ」


 俺が渡そうとしているのを周りの男達は怪訝そうな顔をしながら睨んできたが女性の方は俺の渡した物を遠慮なく受け取って飲み込んだ。

 そしてその効果を実感した女性は驚きのあまり叫んだ。


「・・・これは何を!何を渡したんだ!」


 その反応に勘違いして周囲の男たちが腰にある武器を抜き俺の方へ向けてきたが、


「やめなさい!」


 女性は自分の剣を抜いてそう言うと服をめくり傷が治っている腕を見せた。

 傷跡も綺麗に消えている。良かった良かった。

 女性に渡したのは特回復草で相変わらずの回復力で負ったばかりの傷も治癒したようだ。

 男達は女性の腕が治ったことに驚いたがその後は嬉しそうに騒ぎ出した。

 もう俺を警戒する者はおらず疑って悪かったと頭を下げてくるのを気にしていないと頭を上げさせると、


「俺は弥叉だ。よろしく」


 自分の名を名乗った。もしこの近くの街について知ってたら聞いてみようと話を切り出そうと思っていったことだったが返ってきた言葉は、

 

「私はシャル。この辺りを監視している山賊の頭をしている」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・助ける方ミスった?






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