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S7、密会

 コロシアム中央の観客席は試合会場を見渡せる造りになっている為試合入場料が他の客席より高値で取引されているが、それでも多くの人がひしめき合っていて席の取り合いが見られる。

 その上部には特別観覧席が存在し、各国の王族や貴族、司教といった地位にいる者達も観戦していた。ほとんどの王族や貴族達は特別観覧席の大広間ぐらいある一室で見ているがその一室のさらに上部に学園へ多額の援助をしているスポンサーの為の個室が用意されている。

 そこにアロドフ国の国王であるアロドフ5世が会場を見渡せる席に座って運営側からもらった紙を見つめていた。

 宰相や執事などの使用人は部屋の外に待機させているので部屋にいるのは本当に国王1人だけだった。


―――コンコンッ


 ノックが鳴り、国王の返事がないまま扉が開いた。

 本来なら刑罰になる行為であったがそれを咎める者は居らず国王自身も特に気にした様子もなく来客の貴族は国王の隣の席へと腰掛けた。


「よく来たな。ま・・・なんと呼べばいい。名を聞かせて貰おう」


 国王は紙を見るのを止め、入ってきた来客を歓迎する。その声は勇者の会見の時と違い高圧的な声音ではあった。

 そんな国王の言葉を来客は国王の態度は当然だとばかりに口がつり上がり、くくくと笑って答えた。


「では、ロウとでも呼んでもらいましょうか。主人からは貴方を同族の友人達と同じ様に扱えと言われていますからね」

「それからその偽りの人の姿はどうにも好かん。人払いは済ましているこの部屋ではその姿はやめてもらいたい」


 国王の苦々しげな顔から本当に嫌な事が伝わりちょっと残念に思いながらロウと名乗った人の姿をしていた来客は国王が顔を外した僅かな間に青い皮膚をした人型の人外へと姿を変えた。

 紛れも無い魔族であった。

 しかし国王は顔色が変わる事はなく、これ以上挨拶に付き合う気がないとため息に近い吐息を吐くと表情を引き締め本題に入った。


「それで其方の首尾は」

「魔族共存派の連中なら勝敗の無い戦いで名誉の戦死になったよ。運良く生き延びたのもどっかの魔族が殺しちゃった」


 なんでもない事の様に淡々とそれでいて最後にはからかう様な口調で言ってくるが国王は自分の質問の答えが全て返ってきていないことから無言で魔族の続きを促した。

 ロウはそんな国王の反応につまらないという顔をした。


「戦争の進行ルート確保も概ね良好。今頃、魔王城は死ぬんじゃないかってぐらい後処理で動いているだろうさ」

「完璧ではないのか」

「あぁ、重要度の低かったゴブリンの集落からの進行確保の戦いでゴブリンにこっ酷くやられて派遣した連中は戦死。

 しかも連中が戦いになる様に工作したのもバレて街から苦情もきていて再戦は不可能だな」

「彼処には十分過ぎる程の戦力を投資した筈だが」

「魔王軍が援軍を寄越したのかって聞きたいのなら残念だがゴブリンの力だけで負けたんだと」


 チッ、と国王が不満気に舌打ちをした。

 その頭の中にはこれでは次が上手くいっても意味がないなといたり切り捨てるほかないという結論に至っていた。


『第1回戦3年ダイ・インゴウペア、共に戦闘部門に在籍しているだけにもの凄いラッシュ、ラッシュ、ラッシュ!!攻める手を一向に休めようとはしません』


会場ではすでに戦いが始まっていた様でアナウンサーの解説が聞こえてきた。

お目当の勇者ではなく学生同士の対戦である。

先程国王が見ていた紙にはまだ発表されていない対戦カードまで知っていたので国王は興味なかったがロウの方は戦いを見て面白そうに笑った。


「国王様もお人が悪いですねぇ」

「なんのことだかな」


惚けた仕草をする国王に対しロウは相変わらずの薄ら笑いで目だけ鋭く睨んだ。

一瞬の間の後、ロウの方が視線を国王から外すとため息を一つして試合の方に向き直った。


「主人から勇者の事は貴方に任せると言われて少々不安でした。勇者が魔物を倒すわけでもなく楽しく学園生活を送らせてなんているから成長しないのではと」

「ならこれからも余計な事はせずにこちらからの指示だけ従っておれ」

「主人の命あるまでは」


―――コンコンッ


 タイミングよく再び部屋のドアからノックが鳴った。今度は返事もなく入ってくる様な事はなく国王が許可してから失礼しますと一声添えて部屋へと入ってきた。

 すでにロウは魔族の姿から元の貴族の姿へと戻っている。

 入ってきたのは国王直属の執事で頼んでいた食事を運んでくると一瞬ロウの方を見た後、2人分の紅茶を入れ国王には食事をロウには菓子を用意し、席の後ろへと控えた。

 2人は用意されたものを食べながら大会の勝敗予想などの何気ない話をしながら特別観覧席から試合を楽しみだした。その様子は誰が見ても仲の良い国王と貴族のものであったと言えた。




◇ ◆ ◇




 ちなみに


『い・・・一閃!!

 常に防戦一方だったはずのヒトクサ選手デ・ナシー選手カウンターで入った一撃がクリーンヒット!!

 ダイ選手インゴウ選手共に脳震盪を起こした模様戦闘継続は不可能の様で無念の敗戦!!

いや〜初戦から成績上位にいる上級生を低学年の無名生徒が破るという番狂わせ‼︎この大会何が起こるか予想がつきません』


という感じて一回戦が観客の予想を裏切る形で入った事により大会のボルテージは一気に上がっている中、続くいて発表された二回戦のカードは、


『それでは二回戦の対戦は・・・今大会大注目の一人!!

新入生100人抜きを果たした事で御馴染み

勇者リュウの登場だ!!

相方は今年の戦闘部門主席‼︎戦闘部門の花

カグラ・C・ラージストン!!

どんな戦いを見せてくれるのか!!』


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