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10、X マリアの場合

弥叉が巻き込まれなかった場合のマリア編です。即急で作ったので短いうえに面白くないかもしれませんがご了承ください。

読まなくても本編には影響ないので飛ばしても構いません。

 戦後からどれだけの年月が経ったのだろう。

 仲間の敵討ちで挑んだ三人の勇者。

 勇者が現れてから幾度も勇者と魔族軍は接触をしたが自分が直接会いまみれた事は一度もなく同じ将達の討ち死に報告と戦況報告の際に聞かされる勇者の戦いだけしか知らなかった。

 その為最初は驚いた。

 これが本当に人間の動きなのかと、今までに戦った人間の最も強かった奴と比べる事すら無意味な圧倒的な実力。

 これでは部下が束になっても勝てないだろうと素直に認めてしまった。

 しかし、その最初の驚きが覚め落ち着いて対処し出すと落胆のが強くなっていった。

 確かに強い。報告で聞いた俄かには信じられない事もこの三人ならできると思う。

 力も速度も魔力も並みの将クラスの魔族なら相手にならないレベル。

 だが技がない。

 いや、技と言うのはある。

 今攻撃しているのも辺り一面を荒野にできる様な魔法や山を縦に一閃できる様な斬撃は一級品、一撃必殺の凄い技、でもそれを使っている勇者自身が未熟。

 強大な自身の技に振り回されていた。

 たぶん本人達に自覚なんてない。

 技が強すぎて少しぐらい未熟でも問題ない所為で気づいていないんだと思う。

 今までの相手は力づきで倒してしまえたのだろうけど自分にそんな未熟な技は通用しない。

 戦闘が続けば続くほど相手になれて余裕が出てくる。

 相手の大技を片手で打ち返したりなんて芸当を攻防の間に織り込めるぐらいだ。

 そんな戦況に苛立ったんだろう。

 勇者はいったん距離を取った。今思えばそのうちの魔法が飛び抜けていたのは息を切らしてしまっていた気がする。

 そして勇者の一人が二人を下げさせ、私を褒めながらなんか言って急に力を上げた。

 肉体が何倍にも強くなったようだった。

 でもその技は報告で知っていた。

 『限界突破』勇者の力を一時的に何倍にも膨れ上がらせる技だそうだ。

 結果は・・・私の圧勝だった。

 むしろ人数が減った分面倒が減って楽になったと言っていい。

 これが切り札ならもう勇者に負ける気がしないと思った。

 そこで余裕があったので勇者の血を吸った。

 それが間違いだった。

 血によって流れてきた勇者の記憶。それはこの世界とはあり得ない風景の数々、見た事もない文化、そしてこの勇者を送ったと思われる神と名乗った何か・・・・・。

 その予想を超えた記憶に身体を動かすのを戦いの中だと言うのを忘れて止めてしまった。

 そして勇者はその一瞬を見逃さず私に封印を使って来た。

 繋がれた鎖に物凄い力で自分の力が押さえつけられ身動きを取れなくなってしまった。

 繋がれてから力が内から排出できなくなり敗北したのだと死を覚悟した。

 だが勇者は止めを刺そうとするほかの勇者にこの拘束が聞いているうちは外力で殺す事ができないのだと説明していた。

 自分は死ぬ事ができなかった。

 勇者たちはこのまま私を放置するわけにもいかず私の周りの地形を変え私を隠した。

 それからは地獄だ。

 戦って死ぬ事もできず能力が完全に消えたわけではないせいで自然死もなく後悔の念に苛まれながら過ごしていく。

 何十年かして後悔の念から回復してからは今度は退屈と言う地獄になった。

 更に数年後自力で脱出しようと拘束を解こうと拘束を調べ出した。

 しかし結果は残念な物で自力での解除は不可能だという事が分かるだけだった。

 できても力の大半を捨てるのを前提に一か八かの命を懸けた賭けをしないとならない。

 私は解除できる機会を待った。

 しかし私の救世主はいくら待っても来る事はなく外界では二度目の勇者召喚が行われたそうだが参戦などできる訳もなくいつしか魔族ではなく人間が戦いに勝利したと聞かされた。

 更に待った。

 更に更に待った。

 更に更に更に待った。

 しかし救世主は現れなかった。

 そしてついに我慢の限界を迎えた私は一か八かの賭けに出た。

 力が失われるのを感じる。そして今までずっと私を拘束していた鎖が崩れていき、私は賭けに勝ち自由を勝ち取ったと思った。

 そして喜びの声を上げようとして私は永久の眠りについた。


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