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温室にて

聖都フィズルーンの外れにゲードランドッド伯爵の屋敷がある。

彼は聖都にある国立学校の学校長で、第一級の資格を持つ貴族だ。

階級と言う物はうち自身良く分からないが、どうも偉いみたいだ。


結局ものすっごい仏頂面で私を伴い、ゲードランドッド伯爵とやらのガーデンパーティへ出席した。


エルちゃんを馬車に残し、私は今日もエルちゃんお手製の特性ドレスに身を包み…いや、めちゃくちゃ気合入ってる様で、いつもよりもなんか豪華な布やったり糸やったり飾りやったりでちょっと重たい。

隣を歩いてるライオスはやっぱり仏頂面。

綺麗なお姉さん達の視線をわざと話しながら、温室の近くへとやって来た。


「…あっ、見て見てライオス!あれ、うちの頭に付いてるお花と一緒!!」


「そうだな、あれはうちの庭にある物と同じものだ。

俺が苗をやったんだからな」


「そうやったんや…これ、綺麗もんなー」


言いながら、頭に飾られた真っ赤なダリアを触る。

葉っぱとお花をうちの髪に結い込んでいて、なんかちょっとだけ化粧もしてる。

綺麗なお兄さんやお姉さんを珍しいからきょろきょろ見回していると、一人の男の人が近付いて来た。

にわかに周りが騒がしくなる。


ダリアと同じくらいに真っ赤な髪を腰まで持ち、銀の瞳を持った彼は優雅な礼を取って…なぜか私の前に跪いた。


「こんばんは、麗しのレディ?我がガーデンパーティは楽しんで頂けていますかな?」


「…あ、はい。すごく」


その言葉で、この人がゲードランドッド伯爵なんやろうなと思った。


「それは良かった。…よう、ライオス。水臭いな、どうして俺に知らせてくれなかったんだ?」


「うるさい。そもそもどうしてお前なんぞに教える必要がある」


鼻で笑いながら、ライオスは結局私を抱き上げた。

そうなるんやろうなとは思ってたけど、こうも抱っこ慣れされてたらあかん気がして来たなあ。


「教えてくれないから、殿下に直々に聞きに言ったってーの。

初めましてお嬢さん、オレはゲードランドッド伯爵。

ライオスの親友であり国立学校の学校長だ」


「私はノギク。よろしくお願いします、伯爵」


「ふむ」


抱っこされながらの言葉に、伯爵はきょとんとして首を傾げる。


「一体どんな口のうまい女が憑いたのかと思えば…これは憑かれたと言うより陥落されたに近い様だ」


「ふん。お前には関係無いだろう」


「いいや多いにあるね。お前は俺の親友だ。そして俺はお前の親友だ。

そんなお前が選んだ女だ。もちろん俺が見定める必要がある。

…殿下にも頼まれてるしな。

しかしだ。…まさかこんな可愛い幼女だとは」


「幼女ちゃうねんけど」


「む?」


ハッとして、うちはライオスの方に顔を埋めた。

少しだけ苦笑した風な気配がして「温室、開けろ」と伯爵へと声を掛けた。


「オーケイ」


伯爵も表情を崩して、ジャケットから鍵を取り出して歩き出す。


「本来ならパーティの主催者を温室なんかに誘う阿呆は居ないがな」


「そしてそれを受ける阿呆もいる訳無いがな」


「あっはは、確かに。それで、何の話しだ?」


真顔になった伯爵を前に、ライオスは私を降ろした。

多分口を開いていいって事だろう。


「…ええのん?」


「ああ。こいつはそんな事気にするほど小さい心臓持ってる訳じゃ無い」


「そっか。改めまして、伯爵さん。

うちノギクって言います。なんか、他の世界からこっち来ちゃったみたいでライオスんとこに居候なってます。

こっちの作法は知らんし、なんか貴族の階級とかもあるみたいであんまりにも世界ちゃうから。

伯爵さんにも無礼になってまうかも知らんけど、堪忍な?」


にっこり微笑むと、伯爵は目を見開いて私とライオスとを見比べる。

そして数秒固まっていたのだが、もう一度私を上から下まで見た後に突然笑い出した。



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