二人の友情
Looted Honesty Goes Away... by Souji Yamato
勇者カインは、例の『幼馴染ローザ』の許を、おずおずと訪れました。
現在、ローザは、もうすぐ、妊娠中期にも拘らず、薪割りの真最中です。
思わず、カインが、心配して告げます。
「大丈夫なのか?」
「まだ、大丈夫だと思う」
「こういうのは、個人差がある。医者に確認しろ」
「医者は、保証しないそうだ」
「じゃあ、止めておけ」
「おまえも、そう言うなら、止めておく」
ローザは、薪割り斧を、薪割り台に戻します。
カインは、平然を装いますが、内心では、かなり安堵しました。
そのローザの顔立ちは、正統派の美女ですが、完全ノーメイク(化粧が皆無)なので、世間からの評価が低くなっています。
しかも、身長が178センチ程あるので、それも、美女としての評価を、下げている要因のひとつでした。
間を置いて、ローザは、近くの丸太に腰掛けました。カインも、同じ丸太に腰掛けて、ローザと隣り合い、話しを始めます。
「ところで、渡したい物がある」
「ん、見たところ、個人システムの『更新処置カード』だな?」
「使ってくれ」
「わかった」
「‥‥更新できたか?」
「ああ、凄いな、新機能『装備レイヤー』は!」
「それが有れば、妊婦の安全が保障される」
「どうやら、薪割りを、再開できそうだ」
ローザは、健康的に汗ばんだ、満面の笑顔で応えました。それを見た途端、カインは、思わず、ローザの唇にキスをしてしまいます。
反省しながら、カインが告げます。
「すまない、こんなことを‥‥お前を、孕ませておきながら」
「じゃあ、気晴らしに、性欲処理でもするか?」
「いいのか?」
「わたしが、してやりたいんだ!」
ローザは、カインを、寝室へと連行しました。
おまけに、ローザは、汗ばんだ身体から、母性的な雰囲気を漂わせます。一方で、カインは、微かに、照れていました。
しばらくして、交わり終えると、二人は、ベッドに座り、裸のまま隣り合っています。ほどなく、カインが、謝ります。
「悪かった。お前の夢『冒険者になる事』を、妊娠で邪魔してしまって‥‥」
「大丈夫。産んだら、すぐにでも、冒険者になるつもりだから」
「そうか‥‥」
「それまでは、要塞都市ゲブラーで、冒険者ギルドの受付係をやるつもり」
「やれるのか?」
「ああ、何でも、人手不足で、八日後から窓口業務を、やって欲しいそうだ」
「だったら、ゲブラーまで、無料で護衛させてくれ!」
「よろこんで!」
尚、要塞都市ゲブラーまでは、馬車で二日の距離です。
続けざまに、カインが言います。
「それだと、出発は、五日後だな?」
「いや、余裕を持って、三日後で、お願いしたい」
「わかった」
「予定も定まったし‥‥もう一回、どうかな?」
「お願いする」
「じゃあ、次も、わたしが、上になるから!」
凛々しく、ローザが、嬉々としました。
けれども、カインは、ひたすら、幸せそうに身を任せ、ほとんど動かないため、ローザの方では、励みながらも、迸るほどの汗まみれです。
こうして、勇者カインは、幼馴染のローザから、クエスト『要塞都市ゲブラーまでの護衛任務』を無償受注しました。
Looted Honesty Goes Away... by Souji Yamato




