幸せの欠片
Looted Honesty Goes Away... by Souji Yamato
勇者カインと町屋自由(高校生女子18才)が、エルフ村に到着すると――
そこには、廃墟どころか、殺伐とした焼け野原でした。
当然ながら、生存者など、誰も居ません。
それでも、エルフ村の跡地を巡ると、焼け残った遺骸を発見しました。
それは、誰かの腕でした。
その腕には、見覚えのある物が、握られていました。
――転移デバイスです。
カインは、予感がして、その腕を鑑定します。その腕は、死んだ相棒『エリン』の右腕でした。咄嗟に、カインが、絶叫します。
「あっ‥‥ああぁ、ぐうぅおぉおおぉぉーっ!」
醜いほど悲痛な叫びが、エルフ村の跡地に木霊しました。
その様子に、自由も、哀惜の表情です。
カインは、エリンの腕を、抱き締めています。
天の声(女神リンカ)が、自由に語ります。
『魔王の正体は、神界でも、謎とされていました。
――ですが、わたしは、確信しました。
あれは、神々の誰か‥‥
世界マトリールに、化身を創った【プレイヤー】です』
「なんですって!」
『そして、魔王こと【プレイヤーキラー】に殺されて、復活できたのは‥‥
‥‥神の化身と、半神たる異世界人のみ。
召喚された、自由、あなたと‥‥
おそらく、プレイヤーである、カインさんのみです』
「俺が、神の化身だったとはな‥‥セシルが、そうだとは、知っていたが‥‥
それで、セシルも、生き返っている」
『そうですか‥‥』
カインが、口を挟むと、天の声は、そう返事しました。
一方で、自由は、怒り任せに、何やら、考えを廻らせています。
程なくして、いきなり、空中に、通信ウインドウが開きます。そこには、件名として『カインのプレイヤーの従属神より』と表記されています。
謎の女神の声が、カインに告げます。
『カインさま、あなたの相棒、エリンの魂を保全します。
――この影響で、エリンの亡骸である腕が消滅しますが、ご安心を!
それと、エリンの復活禁止を解くには‥‥
禁止したプレイヤーが、どの神なのか、特定する必要があります』
「出来るのか?」
『出来ます。
ただし、特定には、魔王とやらを【断罪】属性で、攻撃する必要があります。
――無論、中級神如きならば、一度の攻撃で判明しますが‥‥
それ以上だと、殺すなどして、ログアウト過程の追跡が必要です』
「わかった、殺してやる」
『それでは、勇者の攻撃属性【断罪】を、化身カインに付与します』
カインが、殺気に満ちあふれながら、スキル『断罪』を習得しました。
それから、謎の声が、天の声に命じます。
『エルフの長老エルダンの魂は‥‥下級神リンカ、あなたが保全しなさい!』
『はっ、はい、わかりました』
『町屋自由、これで、あなたの夫は、たとえ千年後でも、復活が可能です』
「ああっ‥‥ありがとうございます!」
自由は、感涙しながら、謎の声(実は女神フェイト)に、礼を言いました。
自由が、喜ぶのを見て、カインが微笑んでいます。
こうして、勇者カインと町屋自由には『復讐と希望』の糸口が見えました。
Looted Honesty Goes Away... by Souji Yamato




