死からの覚醒
Looted Honesty Goes Away... by Souji Yamato
『‥‥いきなり、殺されたわね』
「誰だ?」
そう言いながら、カインが、目を覚ますと、そこは、暗い洞窟でした。
しばらくすると、再び、先ほどの声がします。
『わたしは、天の声と呼ばれる存在よ』
「ここは‥‥天国なのか?」
『違うわよ、単なる森の洞窟よ』
「‥‥そうなのか?」
『そうよ』
訝しがるカインに、天の声は、続けざまに言います。
これは、唐突すぎる告知です。
『カインは、聖女セシルの悲願によって、クラス【勇者】に目覚めました』
「セシルの悲願‥‥俺が勇者‥‥そうだ、セシルは何処に?」
『セシルなら、今でも、リンカ教徒どもから、好き勝手されてるわよ』
「好き勝手‥‥って‥‥」
カインの表情が、あからさまに、昏くなりました。
そのため、天の声が、厳しい口調で、説得します。
『諦めなさい。あの娘は、もう、あなたのセシルじゃないの』
「それでも、セシルを救けたい!」
『だったら、この森で、強くなることね。このままだと、また殺されるわよ』
「俺は‥‥強くなりたい」
カインが、そう告げると、目の前に、宝箱が出現しました。
宝箱を開けると、中には、鋼の剣と木の盾、革鎧と外套が入っています。
早速、カインは、それらを装備しました。
その後、天の声が告げます。
『それと、あなたは、能力【保管箱】が使えるわよ。
セキュアって、言ってみなさい』
「セキュア」
すると、カインの目前に、アイテムリストがウインドウ表示されました。
そこには、必需品の名前があります。
{水筒、保存食×20、回復薬×12、毒消し×3、短剣‥‥火打石}
カインが、アイテムリストに触れると、保存食の1食分が出現しました。
そこで、天の声が提案します。
『今は、取敢えず、その弁当を食べることね』
「わかった」
カインは、提案に従い、水筒を出現させてから、保存食を食べ始めました。
しかし、食事を摂るうちに、涙が込み上げて来ます。それは、セシルの事‥‥他の男による『授精の儀式』の様子を、思い出したからです。
カインは、泣きながら、食事を中断してしまいました。
けれども、天の声は、カインを説得します。
『泣いても、無理矢理【セシルを寝取られた】現実は、変わらないけど‥‥
強くなれば、力で運命ぐらいは、変えられる。
――だから、食事を摂りなさい。
生きて、強くなるためにね』
「‥‥そうする」
説得されて、カインは、食事を再開しました。
ですが、悲しみの涙が、何度も、食事の邪魔をします。
それでも、カインは、生きるために、食事を続けます。
Looted Honesty Goes Away... by Souji Yamato




