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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
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✟「閉ざされた森」3/4

「その依頼だと一日あたりこれくらいだな。」




バーガーが電卓で計算し、その数字をピザファットに見せた。




「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん・・・・」




ピザファットが0の数を数えていく。




「うっひょ~。傭兵ってのはこんなに金をもらえんのかよ!」


「傭兵になりたくなってきたか?いつでも歓迎するぜ!ピザ!!」


「おっと。ちょっと傾いたけどよぉ、相棒は裏切れねぇ。」


「何なら、その相棒も一緒に傭兵になりゃいい。」


「俺っちたちは恩人に恩返しもしなきゃならねぇ、少なくとも今すぐに探偵は辞められねぇのさ。」


「分かったぜ!これ以上は野暮だな。それで、依頼はするのか?」


「そんな金ねぇぜ!だから今回は依頼しねぇ。」


「分かった。それじゃあまた何かあったら呼んでくれ!」




バーガーとミステリンはその場から立ち去る。




「くそ~。金さえありゃあな~。」


「まぁ、ナタリーの護衛なら俺たちだけでも大丈夫だろ?」


「そうだな。たかが鉱石を採りに行くだけで、そんなに護衛も必要ねぇか。」




その後、エドゥ達は買い物を済ませ、旅の支度をする。




そして、出発当日の朝がやって来た。




「それじゃあ、皆さん気をつけて行ってきてくださいね。」


「ご武運を。」




レオと夫人に見送られながら、ナタリー、ピザファットそしてエドゥは馬車に乗り込んだ。




「「「行ってきます!」」」




ガタガタガタ




車輪が回り、車体が揺れ始めた。


エドゥ達を乗せた馬車が神秘の森、カティーニャへと向かう。


この鉱石を採りに行くだけの旅が、過酷を極めるとはまだ誰にも分らなかった。




「なぁ、窓開けてもいいかな?」


「えぇ、あたいは構わないわ。」


「俺っちもいいぜ。」




エドゥは窓を開け、外の空気を吸う。


馬車は既に森林地帯へと入っていたらしく、見渡す限り緑一色。


爽やかな風が中に入ってきた。




(あぁ、何か良いな。こういうのも・・・。)




馬車に揺られ、心地よい風を浴びながらエドゥは目を閉じる。





地球での記憶が呼び起こされる。


彼女と知り合って一年ぐらいが経過しようとしていた時のことだった。


彼女と僕、それと何人かの友人で山登りをしたことがあった。


その時もこんな感じだったかな。


山の小屋でトランプをやったり、暖炉の前で語り合ったりもした。


あぁ、懐かしいな。




「エドゥ、エドゥ。起きて・・。」




彼女の呼ぶ声が聞こえる。



「起きてってば!」




エドゥは叩き起こされた。




「何だ?もう着いたのか?」




エドゥは体を起こし、辺りを見回す。




「いや、相棒。どうやらまだ着いてねぇみたいなんだけどよぉ。」


「急に馬車が止まったのよ。」




エドゥ達は外へと飛び出す。


森は深い霧で覆われていた。


ライトで明かりをつける。




「!?これは」




馬と御者の姿が消えていた。




「嘘だろ?さっきまでいたのに。」


「気を付けて!何かが迫って来てる!」


「どういうことだ?」




ギギギギ




車体から何かを削る音が鳴り響いた。




「誰かそこにいるのか?」




光を向けるが、そこに人の気配は全くない。




ギギギ




だが、音は相変わらず鳴り響く。




「相棒!」




ピザファットが指をさす。




「文字だ。何かを俺っち達に伝えようとしてるぜ。」


「誰がこんなことを・・。」




ーオマエタチハコノモリカラデルコトハデキナイー




ザワザワザワ




木々が揺れる。




「おい。この木どんどん大きくなっていってないか。」




エドゥは目を凝らす。


だが、勘違いではなかった。


木は確実に大きくなり、かすかに残っていた光を遮る。




「痛ぇ!」




ピザファットが叫ぶ。




「どうした!?」


「相棒!やっぱり何かいるぜ。何かに腕を切られた・・・。」


「何?」




エドゥはライトで辺りを確認する。




「見えない・・・。透明になれる能力か?」


「そんなのどうやって戦えばいいんだよ!」


「捨て身の戦いにはなるが、こっちに攻撃が来た時に奴を捕まえよう。」


「まじかよ。まぁ、俺っちはいいけどよ。嬢ちゃんは守れねぇぞ。」




ザッザッザッ




地面を踏み、こちらへと向かってくる集団が見えた。




「何だ?あいつら。」


「相棒、俺っちすっごく嫌な予感しかしねぇぜ。」


「逃げて!暗殺者よ!!」




ナタリーが叫ぶ。




暗殺者たちは短剣を握り、こちらに襲い掛かってくる。


「相棒、俺っちも戦った方が良いか?」


「まだ、無理よ。今鎧を使ったらどうなるか、保障はできないわよ。」


「ピザファット、ナタリーを守れ。こいつらから一先ず逃げよう。」




「魂を差し出せ。」「さすれば再びかの地に誘われむ。」




暗殺者たちは口々に言う。




「何だ、こいつら気持ち悪いな。」


「山の老人傘下の暗殺者よ。聞いたことがあるの、奴ら南大陸を拠点にしている盗賊で構成された組織だって。」


「何でそんなのがここにいるんだよ。」


「分からないけど、あの骸骨のペイントは間違いないわ。」




エドゥに暗殺者の刃が襲う。


右手を獣の手に変え、刃を掴んだ。




「!?」




手に痛みを感じる。




(毒か・・・)




エドゥは炎で傷口を炙る。




「おぉぉお・・・。」「高潔な魂だ。」「その身にいくつの祝福を宿しているのか・・。」


「えぇい、どけ。この魂は私が頂く。」「何を言う!洗礼を受けるのは私だ!」




ざわざわと暗殺者たちからざわめきが起こった。




「「「「早い者勝ちだ!!」」」」




ナタリーやピザファットには目もくれず、暗殺者たちはエドゥを標的に選ぶ。




「おぉぉぉぉ!」




エドゥと暗殺者たちが対峙する。


服に付いている重りを外し、エドゥは暗殺者を翻弄する。




「今度は浮いたぞ!」「打ち取れ!」




エドゥは暗殺者たちの頭に踵を落とす。


踵から放たれた炎が、彼らの髪に引火する。




「熱い!!火を消してくれ!」


「近寄るな。それぐらいで臆する者の魂を老人は求めておらん。」




引火した暗殺者を周りの暗殺者が短剣で刺していく。




「ひっでぇことしやがるな・・。」




ピザファットの口からそんなことが飛び出していた。




「奴らに構うな。あっちから逃げるぞ。」




エドゥは二人を、誰もいない方へと誘導する。


その時だった。




「た・・・助けて!」




明らかにこちらに助けを求める声が聞こえた。


エドゥは声の方を振り返る。


暗殺者たちに捕まっている一人の少年がいるのが目に入ってきた。




「よし。敵を攪乱する。ピザファット、隙を見つけて少年を助けろ。」


「えぇ、俺っちがやるのかよ。」


「いくぞ。」




エドゥは風の魔法と炎の能力を混ぜる。




「おりゃあああ!」




炎が風に乗せられ、四方八方へと飛び散った。




「くそ!どうにでも、なりやがれ!」




ピザファットは少年を抱えて、エドゥ達のところへ戻る。




「相棒、俺っちはやったぜ。」


「おぉ。よくやった!皆逃げるぞ!」




ピザファットはナタリーと少年を連れて走った。


エドゥは火を付けて、風を飛ばす。


火が波のように広がっていく。




「くそ!」「追え!追え!」「洗礼のチャンスがぁああ!!!」




暗殺者たちは地団駄を踏むが、炎の海の中を渡る者は流石に現れなかった。






「大丈夫か?」


「はい大丈夫です。危ないところをありがとうございました。」


「それにしても驚いたわ。暗殺教団なんて御伽噺でしか聞いたことがないのに・・・。」


(山の老人か・・・。教会の遠征軍が半壊するほどの能力者、この森から早く出た方がいいかもしれない。)




「相棒!山の老人だってよ!俺っち達で、そんな奴こてんぱんにしちまおうぜ!」


「馬鹿言うな。暗殺者もまともに倒せなかったくせに。」


「大丈夫だぜ!相棒!」


「何を根拠に・・・。」

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