表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
81/514

✟「閉ざされた森」4/4

エドゥはこれ以上、話すのは止めることにした。


(こいつにはいくら言っても意味がないな…。)




考えを切り替え、少年の方へと目を向ける。




「ところで君を安全な場所に連れていきたいんだけど、どこへ向かえばいいのかな?」




すると、少年は待ってましたと言わんばかりに人差し指を伸ばし。




「あっちです。あっちに僕たちの集落があるので!!」




と言った。




「相棒、今の何か引っかからねぇか?」


「あぁ、まるで待っていたかのように。」


「罠ってこと?」




ナタリーが二人の会話に入ってくる。




「分かんねぇけどよ。でもこんな道が分からねぇ状態だろ?」


「あぁ、俺たちはこの子の集落に向かう以外選択肢がない。」




エドゥ達は少年の後をついていく。




「ここです。ここが僕らの集落です。」


「ほぉ~。ここがー。」




エドゥ達はようやく少年の集落へとたどり着いた。




「随分と高い場所にあるんだな。」




エドゥは見上げながら喋る。


その集落は山の一部を切り、棚状にしてそこに民家や田んぼを置いているようだ。


今いるこの場所から見ると、他の山にも同様の集落がある。




「他の場所にある集落にも君たちの民族が生活しているのか?」


「はい。僕たちは山の民と言われるぐらい、山に住むことにこだわってるんです。」


「ここは、一番高い山に作られてるのね。何か理由でもあるの?」


「はい。僕たちは山の高さで地位を決めているんです。」


「はぁ~。つまり、この集落にはお偉いさんが住んでいるわけだ。」




ギギギギ。




集落へと続く入り口の門が開いた。




「はい。ここは我らが長老がお住まいになる山の民にとって重要な場所です。」


「なるほど。ここに呼ぶってことはやっぱり罠か。」




エドゥはあたりを見回す。




(5人か・・・。)




こちらを伺う戦士たちがいるのがはっきり分かった。




バン




扉が閉まり、大きな音が辺りに鳴り響く。




「やっぱり罠だったな。相棒!」


「あぁ、ピザファット。ナタリーを守れ。こいつらは俺がやる。」




エドゥは右手を変化させる。


「さぁ、新必殺技を食らいたいのは、どいつからだ?」




「ジン、ばれたみたいだ。」


「作戦通りにいくぞ。あの能力者は俺が狩る。お前達はあのエルフを捕らえろ。」




戦士たちが飛び出してきた。


戦士の一人、ジンという男が一直線にエドゥに向かう。




「お前からか。いくぞ、新必殺技!!」


エドゥの右手に炎が纏わりつく。




「灼来風獣掌しゃくらいふうじゅうしょう」




バーナーのような炎がジン目掛けて放たれた。




「おっと!!」




ジンが身を翻し、エドゥの攻撃を避ける。




ドカー―ン。




ジンの後ろで凄まじい爆音が鳴り響く。




「おいおい。こりゃ当たったら一溜まりもねぇな。」




一方ピザファットは、防戦一方であった。




「なんで、俺っち達を狙うんだよ。」


「分からないわ。でもあたい達はここで負ける訳にはいかない。」


「どうすんだ?」




ナタリーは鞄から鉄くずを取り出し、握る。


鉄くずはひとりでに動き出し、棒状へと変化した。




「これを使って!」




ナタリーが鉄パイプをピザファットに投げる。




「よっしゃー。やってやるぜ!」






エドゥとジンは膠着状態だった。




(奴は恐らく能力者だ。だから、俺の方に一人で向かってきたんだ。一体何の能力だ?)




「強いな、あんた。俺のダチも中々強いんだが、それ以上かも知れねぇ。」




ジンがエドゥに話しかけた。




「何故、俺たちを狙うんだ!お前達も暗殺教団って奴らとグルなのか?」


「さぁ、どうだろうね。」


「関係ないんだったら、俺は君たちと戦いたくない。」


「そんなこと言っていいのか?俺と戦わなければ、あそこにいる太っちょが死ぬぜ!」


「ハハハ、あいつは死なないよ。何があってもね。」


「それなら捕まえるだけさ。」




「気来風体掌」




エドゥはジンを吹き飛ばそうとした。


次の瞬間。


エドゥの体が後ろから強い力で押された。




「何だ!」




エドゥは後ろを振り返る。


しかし、後ろには誰も居なかった。




「なんでさっきの必殺技を使わなかった?」


「まだ、君たちが本当の敵か分からないからだ。」


「お人よしも良いけどね。そろそろチェックメイトだよ。」




ジンがピザファットの方を指さす。




「おりゃ!どうだ。俺っちだってやりゃ出来るんだぜ!」




ピザファットが棒を振り回して、戦士を薙ぎ払った。


次の瞬間。


激しい衝撃波がピザファット達を襲った。




「うおっと…。あれ?」




先程までいた戦士たちの姿がどこにもいない。


ピザファットは辺りを見回す。




「やべー。俺っち強すぎたから、全員吹き飛ばしちまったぜ。」




エドゥはその瞬間気付いた。




「違う、ピザファット!周りにいる!」




エドゥは走り出した。幸いピザファットとの距離はそんなに離れていない。


(最悪でも気来風体掌で彼らを吹き飛ばせば!)




エドゥは、構える。




「気来風体掌!!」




「おっと、俺がいるのを忘れてないか?」




ジンがエドゥの妨害に入る。




(もう遅い!既に技は放った。)




エドゥはそう思っていた。




グググググ


エドゥの頭上からなにやら音がする。




「ぐっ!!」


エドゥは空気に押され、地面に打ち付けられていた。


(これは、俺の必殺技?どうして?)




そして、ピザファットの方を見る。




「お前ら、何を・・・」


ピザファットは槍で突き刺された。




ナタリーは、手を上げ降伏する。




「よし、二人の能力者を長老に会わせろ。エルフの男はそのまま殺せ。」




ジンが戦士たちに指示を送る。




「おい、これを見ろ。」「なんだ。再生しているのか?」




戦士たちがざわめきだす。


ピザファットの傷が徐々に回復されているのだ。




「こいつも能力者か。」


「ジン、どうする?」


「分からん。一応長老様に伝えてみるか。それまではそこの牢屋に閉じ込めて置け。」




ピザファットは牢屋へと放り込まれた。


そして、エドゥとナタリーは半ば強制的にその長老の元へと連れていかれる。




山の頂上付近に荘厳な建物が建てられていた。


エドゥ達はその建物内へと案内される。


「長老。能力者を連れてきました。」


「うむ。」




長老がエドゥとナタリーの顔を見る。




「儂がダークエルフ族の長老ですじゃ。」


「いきなりこんなことをしてどういうつもりだ。」


「そうよ。あたい達をどうするつもり?」


「警戒するのもごもっともですじゃ。ですが、安心して下さい。あなた達には何もいたしません。」


「つまり、ピザファットには何かをすると。」




長老は目を指さす。




「儂のこの目には未来が見えるのですじゃ。」


「未来?」


「えぇ、このまま何もしなければどうなるかという未来がこの目には入ってくる。」


「それがピザファットを殺すことと何か関係が?」




長老が首を縦に振る。




「まずは、我々が今置かれている状況をお伝えせねばなりますまい。」




長老の話では、このカティーニャの森で最近暗殺教団という組織が拠点を作り、度々ダークエルフ族を襲っているらしい。




「儂の未来を見る目に移ったのは、"山の老人"の復活という恐ろしい光景ですじゃ。」


「ちょっと待って!山の老人ってのは作り話でしょ?」


「儂もにわかには信じられんかった。しかし、確実に"山の老人"は存在していたのじゃ!」




長老が話を続ける。


「"山の老人"は元々神の使いだった不死なる存在。倒すには伝承通り聖剣が必要なのですじゃ。」


「待って、それじゃあ聖剣の存在も?」


「えぇ、作り話ではなく実話かと。」




ナタリーの目が輝く。




長老は深呼吸をする。


「しかしエルフ族の男が聖剣を奪い、我々は全滅してしまうのですじゃ!!」


「まさか、ピザファットがそんなことを?」


「儂の未来視は靄がかかり不鮮明ですじゃ、しかしこの場所にエルフ族は一人しか来ていない。」


「待って下さい。それだけでピザファットを疑っているんですか?」


「疑うには十分すぎると思いますがのぉ。」


「だから、子供を使ってあたい達を連れてきたってわけ?」


「その通りでございますじゃ。エルフ族の妨害を止めさせ、暗殺教団に対抗できる戦士を同時に確保できた。」




長老はニヤリと笑って見せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ